『能登半島地震の支援にSuicaを活用。避難者情報の把握と一元化DXはデフォルトにすべき』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.1.27
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■能登半島地震で石川県が避難者情報の把握にSuicaを活用へ、JR東などが協力
妻が先週「避難所にいる人の名簿とか作らんのかな」と話していました。
日本全国から石川県の被災地に乳幼児用オムツやおにぎりなどの「モノ」が送られてきて、善意ではあるものの、荷捌きの人手が取られたり不要なものが余るなど困らせているという報道があった時です。
避難所・避難者のデータがないことが問題だった
確かに高齢化が進んだ地域では乳幼児用オムツは余ってしまうこともあるでしょうし、現地ニーズを把握せずに勝手にモノを送り付けようとする人の知識不足ももちろん問題なのですが、赤ちゃんがどのくらいいるのかを把握できていないデータ不足が根本問題です。
避難している人が、どこに何人いるのか、どんな人がいるのかを把握できれば、避難物資をどこにどのくらい届けるべきかが把握できるようになります。
公的に設置した避難所だけなら、聞き取りなどで名簿を作ることはできたかもしれません。しかし避難者は公的避難所だけにいるわけではないことが名簿作りを難しくしていました。
避難所には支援物資を受け取りに出入りするが寝泊りは車中など別の場所にいる人、ホテルなど避難所以外に避難した人、他県などより遠方に避難した人などもいます。
被災者全員の居場所を特定することは完全には難しいでしょうが、公的避難所を通じて支援物資を配る際、どこにどのくらい、何を届ければいいのかを把握することにある程度特化すれば、全員を把握する必要はありません。
物資を配布する公的避難所にいる人・出入りする人・近隣にいる人が把握できればよく、公的避難所を中心に名簿が作られればかなり機能するはずです。
名簿作りをSuicaとFoundryでDX
妻が言っていた「避難所にいる人の名簿」を、今回はアナログな聞き取りではなく、SuicaとFoundryというデジタル技術で実現するとのこと。
Suicaを1.8万枚配布というところばかり報道されていますが、重要なのは石川県庁に作られる避難者情報の一元集約システムのほうです。
1次避難所の状況確認はもちろん、1.5次・2次避難している人、出入りだけの人、避難所を転々と移動する人、県外避難者などの情報を石川県庁に一元集約するのがFoundryです。
避難所に出入りする際や支援物資を受け取る際などにSuicaをタッチすることで、避難所ごとの人数、だれがどこにいるのかの属性分布はもちろん、時系列ごとに人数の増減も把握でき、未来の需要予測もしやすくなります。
またSuicaタッチだけでなくLINEやコールセンターも使う想定となっています。避難者の情報を把握し一元集約できることが重要で、Suica以外の手段も柔軟に使うことが重要です。
Suicaの選択はマイナンバーより適している
今回、Suicaを選択したことはとてもよかったと感じます。
NFCカードはスマホと違って電気を食いませんし、タッチするだけなので老若男女問わず簡単に使えます。チェックインやログインをするシステム、顔認証するシステムだと構築も登録も大変ですから、Suicaはよい選択です。
原理は同じですが、マイナンバーカードを使うのは筋が悪いと感じます。マイナンバーはきちんと本人確認しなければならずチェックに時間がかかります。また未登録者をこの際に登録させようという色気も働きやすく、急いで救援するという目的が叶いにくくなります。
今後の被災支援のデフォルトに
Suicaの導入やFoundryによる情報集約は、今回はじめて発明されたように報じられていますが、実際はある程度事前検討はされていたアイディアのひとつなのだろうと思います。
現代の日本の避難所は、昭和22年に制定された災害救助法に基づき設置されています。
災害が起きた時、避難所が開設されることは常識として皆が知っています。避難所に行けば救援物資が得られ、安全に寝泊りできるということを皆が知っています。
しかし、Suicaなどで避難者情報の登録をし、情報を一元集約して管理することや、集約したデータに基づいて支援物資を適切に分配することなどは、「今回がはじめて」のような状況です。
これからも必ず災害は起きます。地震だけでなく台風、水害、土砂崩れなど他の災害もたくさん起きるのが日本です。
阪神淡路大震災から今年で29年、東日本大震災からやがて13年経ちます。その間にも広島の土砂災害、熊本地震、熱海の土石流災害など、避難所が開設される級の災害が数多く起きています。
災害支援の専門組織の必要性も今回改めて声が挙がっていますし、情報集約のシステムや手順の標準化も平時からやっておく必要があることを再認識させられました。
避難者情報を一元集約して支援ニーズを把握するというやり方も、今後の被災支援のデフォルトとしておき、今後は当たり前に実行されるようになるべきです。
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