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『IVSセッションの共通点から見る、次の「to Earn」進化の方向性』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.7.11

■IVSセッションでのGameFiトレンド

今日からモリプトのWeb3ニュースも平常運転です。

さて、7月6日~8日に沖縄・那覇で開かれたIVS2022 NAHAも大熱狂のうちに無事閉幕しました。自分自身がGameFiプロジェクトをやっていることもあり、この3日間ではGameFi周りを注目して見ていました。

ニュースメディア「Metaverse Style」さんの取材記事がちょうど同じような目線でセッションを追いかけられていて、モリプトが聴けなかったものも取り上げられていたのでご紹介します。


■「Play to Earn」からの脱却

特に人気だったのはブロックチェーンゲーム関連のセッションだ。過去2年ほど、ブロックチェーンゲーム業界では「Play to Earn(遊んで仮想通貨を稼ぐ)」形式のゲームが多くのユーザーを集めて急成長し、グローバルで巨額の投資を集めるケースが多かった。

しかし今回開催されたセッションでは、スピーカーが口々に「Play to Earnからの脱却」を口にしていたのが印象に残る。

GameFiに関するセッション自体が多かったうえ、上記の通りどのセッションでも「Play to Earnからの脱却」の文脈を謳っていました。

もっと端的にいうと「for Earn」=収益のためだけにプレイすること、収益性だけで集客することからの脱却です。


■GameFiを語る歴史テンプレ

CryptoKittiesでNFTゲームが始まり、NFT自体の収集と売買でゲームがファイナンスと結びついたGameFiの誕生。

次にAxie Infintyがトークン=FTを導入し、EarnをFTで行うFT中心のゲームに移行。

そして現在はSTEPNが「Play」の部分を「ウォーキング」などビデオゲーム以外の「X」で成立させるトレンドを作った。

しかし「Earn」を目的にしすぎ・させすぎて崩壊することが見えてきた。「to Earn」というより「for Earn」になりすぎた。

そこで次は「Earnからの脱却」だ。

こんなのがセッションでのテンプレ説明でした。


■脱却のさせ方の3つの方向性

「for Earn」脱却のための方向性は3つあると考えています。

1.「Play for Fun」の方向性

ゲームとしての楽しさをより上げていく方向性です。生活できるレベルで稼げる収益額の大きさを売りにするのではなく、本来のゲームの楽しさをより上げていくべきだ、というもので、ゲームをWeb3化する文脈やメタバース系to Earnの体験をよりリッチ化させるものもこちらを指向します。

「コミュニティが大事」「STEPNで運動習慣が身に着いた」(のでEarnが小さくてもいい)と思わせる方向も含まれます。


2.「Earn」原資の多様化の方向性

ある程度大きなEarn規模を維持することを目指しながら、NFT購入の収益にEarn原資を頼らず他の収益源を組み合わせる方向性です。大きなEarn額を謳えば集客に効くのは間違いありませんのでマーケテイングコストを下げる代わりに、あくまでもある程度のEarn規模の提供を目指します。

よく言われるのが企業や自治体などのスポンサード、(STEPNでのパンダスキンのような)Earnと関係ないユーザー課金がイメージされています。

しかしこれまでのように生活できるレベルの多額ではない、がポイ活程度の低額でもない、というのは共通感覚です。


3.「X to Earn」の「X」をより実用的にする方向性

「X」がそもそも収益を生み出すものであったり、もともとお金を払って利用するものを当てはめて、X自体で生み出される収益をEarn原資にするという方向性です。

たとえば気象観測装置を設置してくれたらEarnできるよ、という天気予報の精度を高めるWeb3プロジェクトの例です。

「Play to Earn」=ゲームで稼げる、「Move to Earn」=散歩で稼げる、「Sleep to Earn」=寝て稼げる、の違和感は、「X」の部分が本来収益を生み出すように思えないからだというのが理由です。

もちろんMoveで健康増進→医療費や健康保険費用の削減につながる、という説明はされますが、だったらその恩恵を受ける国や自治体が助成金を出す受益者負担であるべきです。

Sleepも睡眠ログを収集する目的だというなら、ログ提供者に払える額はほんのわずかになるはずです。なぜならログデータを研究機関に売却して収益を得るならログ1人あたりの仕入れ値は僅かなはずだからです。

この気象観測装置の設置についても1件あたりの収益は僅かなはずですが、個人で気象データを販売するのは難しいのでデータを買ってくれるプラットフォームがあることはありがたいものです。

またログデータ全体を使ったプラットフォーマーのビジネスモデルも、これまで天気予報に欠かせない実観測データを世界レベルで広範囲に設置できれば、地元農業の収益性改善や、燃油コストや警備コストに大きな影響を与える海運の航路選定に役立てることができ、国や海運会社から結構大きなEarn原資を得られる可能性があります。


ドラレコでマップデータを収集する「Drive to Earn」も似たような構造です。地図の元データを集めるためにドラレコを設置、得られたデータを購入するという形式のEarnです。これからドローン配達用に精緻なマップデータが必要になると言われていますし、ドラレコですから保険会社に事故データを販売する出口もあります。

いずれも個人でデータ販売するのは難しく、プラットフォーマーが仲介することで成立するデータビジネスです。

気象データやマップデータの収集はつまり「X」がもともと収益を得られるべきものであるという点がこれまでの「to Earn」と異なります。


他にも「月謝の置き換え」というのも「Xの実用化」のひとつです。

ジムに通う時には会費や月謝を払いますが、それを先払いさせる位置づけでNFTを購入してもらい、通い続けてくれるインセンティブとして割引額にあたる程度のEarnをFTで提供、もし卒業するなら会員権にあたるNFTを二次流通市場で売却して原資回収するという方法で、ジムに毎回参加したくなるEarnというゲーミフィケーション要素で活性化するものです。

預り金の一部返却と引当金の分配みたいなスキームなので新規ユーザー獲得にある程度依存してしまうことや、ブームが去って一斉退会されるときちんと引当金を維持していないと破綻するという問題はありますが、それはリアルなジムでも似たようなところはあります。ゲーミフィケーション要素だということが重要です。


■「to Earn」は次のステージへ

これら3つのパターンのどれがうまく行くか、組み合わせ方は、などまだ模索が続くはずです。

どの事業者が成功例を掴めるか。切磋琢磨の中でWeb3がマスアダプションしていくきっかけとなるプロジェクト・プロダクトが登場し、時代の針が徐々に進んでいくのだろうと思います。

IVSはその片鱗を目の当たりにできた良い機会でした。我々もガンバリマス。

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