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『社内懇親イベント、Z世代の本音は「面倒くさい」理由は「タイパが悪い」』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.12.1


■社内懇親イベント、Z世代の本音は「面倒くさい」。若者に嫌われないチームビルディングのかたちとは?

会社が企画するイベントは若者に不人気

こんにちは、入山章栄です。

この連載の第177回で「飲食店を検索するのに、食べログは使わない」と教えてくれたBusiness Insider JapanのZ世代代表・荒幡温子さんですが、社内の運動会やビンゴ大会などの懇親イベントには、どんな意識を持っているのでしょうか。

今日から12月です。毎年感じますが、1年経つのは早いですね。

年末と言えば忘年会や納会など会社での懇親イベントが多く開かれます。リモートワークが普及したとはいえ、今年も多くの会社で開かれるはずです。

この社内懇親イベントについて、大好きなポッドキャスト番組のひとつ、BUSINESS INSIDERさんの有料記事の音声版「入山章栄の経営理論でイシューを語ろう」の最新回で取り上げられていました。

正直、社内懇親イベントが苦手だという方は多いのではないでしょうか。
このポッドキャストでは、特に若い世代で苦手な理由を明快に言語化しています。

一言に集約するならば

「タイパが悪い」

ことが社内懇親イベントが嫌われる根本原因であるというのが、改めてナルホドと思わされました。


懇親イベントの必要性と効果は理解している

懇親イベントをやる目的や意義は、Z世代と呼ばれる若者も理解しています。年配世代が「わかってねーなー」と考えるのは誤りで、むしろ正しく理解しているからこそ、社内懇親イベントは効率が悪いと考えるようです。

社内懇親イベントが開かれる目的=

・コミュニケーション量を増やすこと
 日常業務に忙しく不足しがちなコミュニケーション量を補うこと

・横のつながりを作ること
 ふだん直接業務で関わない人のことを知ること

・トランザクティブメモリーを高めること

トランザクティブメモリーとは、同一の知識を組織の全員が記憶するのではなく、組織内の「誰が何を知っているか(Who knows What)」を共有することを重視するという考え方です。 1980年代にアメリカのハーバード大ダニエル・ウェグナー氏によって提唱されました。 組織力向上のために必要な情報共有の姿をあらわします。

上記の3点はいずれも同じ目的のことを言いかえたようなものです。

日々業務をこなすだけだと「誰が何を知っているか」を知ることもできないし、頼みたい時に頼める人間関係ができないし、会社や仕事に愛着も湧かないので、業務らしくないコミュニケーション手段で解決しよう、ということです。

カフェや社食が充実している会社も、上記を目的としているのだろうとしています。

しかし、この目的を果たすのによく行われる懇親イベントの形式は、これまでのウェットな常識を言いなりに受け入れないZ世代から見ると「無駄が多い、タイパが悪い」と感じるのだということです。


懇親会の「タイパが悪い」とは?

飲み会や忘年会などの「副次効果」としてトランザクティブメモリーを高めようとしているのがタイパが悪い。もっと端的に、目的だけを果たす効率的なやり方を採ればいいのに、と感じているとしています。

・業務時間内にやってほしい。土日はもってのほか。夜ではなくランチタイムがいい。
・5人くらいで話すのが効率的。10人になると3グループくらいに話題が別れて集まった意味がなくなる。
・ビンゴ大会は要らない。ボーリングも要らない。カラオケはもっと嫌、しゃべれないから意味がない。

だからこそ、大人数で集まる、勤務時間外で開かれる、ビンゴ大会が催されるような会社忘年会は、目的と手段が合っていないように見え、タイパが悪く見えるわけです。

タイパがいいトランザクティブメモリーの高め方は、直接的に15分の1on1をたくさんやる、5人程度のランチ会を業務時間中にやる、などの手段だとしています。「副次効果」狙いでなく、ダイレクトにやってくれと。

忘年会の幹事を任された社員は、良かれと思ってテンプレ的にビンゴ大会を企画しがちですが、ビンゴ大会はこのポッドキャストの中では重点的に嫌われているので(笑)周囲の人に本音を聞いてみた方がいいかもしれません。


個人的にはどちらもわかる

まずそもそも、Z世代とシニア世代などを対立構造にしない方がいいと思っています。シニア世代でも昔若かったころから今のベテランの歳になっても、会社のウェットなイベントが苦手な人は多いと思います。

「忘年会はイヤです」という意見が、最近はSNSなどで匿名でなら言えるようになってきたというだけでしょう。若い人が上司などシニア世代に面と向かって「イヤです」とは今でもなかなか言えません。

それでも、シニア世代は仕方なくでも社内懇親イベントに出た経験は多く、長年の経験から例年開かれるものだと思い込んだり諦めたり、ある意味受け入れており、若い世代は、表立っては言わないものの、イヤだと素直に思っているということだと思います。

個人的には飲み会自体は好きで、トランザクティブメモリーが~とか難しいことを言わなくても、駄話だけで10杯飲めます。ただし、業務でなければ飲んで楽しい人と飲みたいですし、上司部下の関係で飲む時は業務モードのままです。業務モード、営業モードで飲むこと自体が私は楽しいと感じるほうです。

そして、いわゆるパーティーの類は正直苦手です。パリピ属性値がゼロなので、大人数のパーティー会場に放り込まれると隅っこに立ち尽くして人知れず帰ります。こんなタイプの忘年会は本当に苦手です。

社内懇親イベントはタイパが悪い、は確かにわかります。しかし、ドライに業務をスキルでこなすだけのマンマシーンのような仕事の仕方も割り切って気楽かもしれませんが、スキルだけで評価されるのがつらいシーンも起きますし、コミュニケーション能力もスキルのうちだというのもよくわかります。

そして業務モードの社内懇親イベントを一切開かないとなると、実際には業務上の支障も出るだろうと予想しています。仲のいい人だけが強いグループになったり、帰依心が本当になくなりみんなで難局を乗り切るモードになれないドライな関係になるなどは起きるでしょう。社内懇親イベントは、タイパが悪くても業務上はやる意味はあるんじゃないかと考えています。

弊社でも忘年会は28日の仕事納めの日にやるべくお店も取ってありますが、程よく楽しめ、ツラくはならず、タイパ発想しなくて済むくらい気楽な感じでやれたらいいなと思います。

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