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『産業用ARグラスのVuzix、「ARグラスで何を見ているか分かりづらくする」技術を発表。』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.11.17


■産業用ARグラスのVuzix、「ARグラスで何を見ているか分かりづらくする」技術を発表。機密性やエネルギー効率向上

多くの場合はARグラスの前方に「光漏れ」が発生するという課題がありました。「光漏れ」はエネルギーのロスが発生するだけでなく、現実空間で話している相手とのコミュニケーションを阻害する可能性があります。さらにプライバシー面での問題や、軍事利用における隠密性の問題が生じます。

ARグラスの3大課題だと私が考えているうちの2つが解決できそうな技術が発表されました。

モリプトが考えるARグラスの3大課題

1.異形(いぎょう)で普段使いしたくならないデザイン
2.表示されたAR情報が外部から見えてしまうこと
3.ARグラスで目が隠されコミュニケーションが取りづらくなること

他にも電池持ち、価格、重さ、ARコンテンツの少なさ、単体動作、スマホ連動での対応機種などなど課題はたくさんありますが、これらは時間が解決するはずです。

そのうえで上記の3大課題は、最適解が見つかっていないか、解決技術の方向性が見えないと感じていたものです。

今回Vuzix社から発表されたのは課題2と課題3の解決ができるものです。


外部からAR情報を見えなくする技術

AR情報が外からは見えない

これまでのARグラスは、上記の写真の左側のようにAR情報が外部に漏れてしまっていました。

ARグラスの使い方として、
「道案内をARグラスで表示、歩きスマホせず安全・スムーズに目的地にたどり着ける。」
はよく言われますが、外部に道案内の内容が漏れるとプライバシー面で問題です。

「会議でお客さまと対面したときに、カメラで人物を認識してプロフィールを表示、しばらく会っていなかった人もARグラスが誰なのか教えてくれる。」
確かに便利ですが、ARグラスに相手の情報を表示していることを悟られたら恥ずかしい。

情報が漏れて恥ずかしい思いをする、という感情面の課題を抱えるデバイスは普及しません。この課題を解消できる技術が開発されたというのはARグラスの一般普及に大きな影響を与えます。

外部への情報漏れをなくす過程でエネルギーロスを減らすことにも成功したとしています。外部から見えなくするために別のエネルギーを使う対処法ではないアプローチを採ったようです。


AR表示中も「目」が相手に見える

旧来のHOLOLENS2では目が外部から見えない

外部に情報が漏れなくする技術開発のおかげで、あわせて「ARグラスで目が隠されコミュニケーションが取りづらくなること」も解消されています。

上記の写真の右側はマイクロソフトのMRゴーグル、HOLOLENS2です。こちらはグラスをかけている男性の目が見えず、異様に光っています。こんな人と対面で会話したいとは思えません。

またHOLOLENS2は軍事目的でも導入されていますが、光が外部に漏れること自体が身を危険にさらします。

写真左の新技術を用いたほうは、HOLOLENS2と比べればまだ目が確認できます。油で汚れたメガネのように青みがかって見えますが、サングラスよりはずっと目が視認できます。

これなら相手の表情を読み取りやすく、コミュニケーションが円滑になりそうです。


普段使いできるデザインは超小型化・後付けで解消?

上記の写真では残念ながら「異形(いぎょう)で普段使いしたくならないデザイン」は解決されていませんが、

仙瞬科技は2022年末に設立され、通常のメガネにAR機能を持たせる技術に注力している。先ごろ、独自開発のDigiWindow技術を搭載した初の日常用メガネと、直径・厚さ2ミリ未満、重さ1グラム未満のニアアイディスプレイモジュールを発表した。

普段使いしているメガネのレンズに後付けする「直径・厚さ2ミリ未満、重さ1グラム未満」という超小型ARレンズも開発されてきていますので、デザインの自由度は将来はずっと高まりそうです。

メガネを日常的に使っている私にとっては、メガネに後付けできるARユニットのほうがありがたいかもしれません。視力は毎年のように変わるので、ARグラスそのものを視力の変化に合わせて買い替える必要がないほうが助かります。

ARグラスは最も楽しみにしている新技術のひとつですが、デザインがよくなるかどうかが普及の大きなキモだろうと思っています。ARユニットの超小型・後付け化がデザイン課題のブレイクスルーポイントかもしれません。

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