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『ARグラスと使うPC「Spacetop G1」の実機レビュー記事から、スマホの次のデバイスはAI専用デバイスではなく「スマホのAR PC化」を確信』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.6.7

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■ディスプレイなし。ARグラスと使うPC「Spacetop G1」を触ってきた

米Gizmodo編集部が、Spacetop G1のデモイベントに参加してきました。以下、体験レポートです。

いつものニュース記事引用ではあるものの、誤解されそうなタイトルですね・・・先日ご紹介したAR PC「Spacetop G1」を触ってきたのは米Gizmodo編集部の方で、私ではありません。

先日「Spacetop G1」をご紹介した時は

・ARグラスをディスプレイとするAR PCは、超アリ!
・カフェなど外出先で仕事をする時も、周りからディスプレイが見られずセキュリティ面でも安全。
・高齢化が進む先進国では老眼ユーザーが多くなるので、大きなモニターに大きな文字を表示するニーズが高まる。
・ノートPCベースではなく、スマホベースのほうがいい。軽作業はスマホの液晶、重作業はキーボードとARグラスをつけてPCモードで行うのが理想。

とまとめました。

今回の実機レビューでは、私が想像していた使い勝手が期待通り実現されているなぁと感じたところと、想像と違った部分や気を付けなければならないところに改めて気づかされたところがありました。


実機レビューでは概ね期待通り

製品発表の情報だけで妄想すると、期待を裏切られることがあります。

AIデバイス「rabbit r1」の評判がすこぶる悪い。製品発表のプレゼンテーションでは評判がすごく高かったのですが、期待された機能の多くが『その機能は準備中』などと使えないそうです。

やはり実機レビューは大切です。

今回の「Spacetop G1」の実機レビューは、記事を読む限り、概ね期待通りだという印象をもちました。

まず、付属のARグラスを装着すると、目の前にふわっと浮かぶ黒い背景のなかにあるシンプルなUI。Appleの空間コンピューターのように、ウィンドウをあれこれ開けます。リサイズや移動も可能。

ウィンドウを無数に開けること、開いたウィンドウをリサイズや移動ができること、は期待通りです。特にリサイズができないと老眼対策になりません。

近い将来、ARパソコン時代になってスクリーンに囲まれて仕事する自分の姿…、正直、容易に想像できてしまいました。

特殊な使い勝手ではなく、普通に普及しそうだと感じたのだろうと思います。ARグラスを使うのは特殊なはずですが、ARウィンドウで仕事をする体験に違和感を感じさせない作りが実現できているのでしょう。

似たスペックのパソコンとベンチマークのスコア比較したいなとは思いつつ、Spacetop G1ほどたくさんのウィンドウ表示できる端末はないので、比較したいところはどうせ比較できないわけで…。

少し心配していたのが、処理速度でした。
大きなモニターに大量の情報を表示するのは、通常のPCでも高いグラフィック性能が要求されます。またウィンドウをたくさん開けばそのぶん動作が重くなることも懸念されます。

しかし実機レビューでは「重い」や「もっさり」という感想はなく、「Spacetop G1ほどたくさんのウィンドウ表示できる端末はない」というほどたくさんウィンドウを開いて問題なかったようですから、処理速度は問題ないようです。

この実機レビューで、私のイメージ通り、今までと同じパソコン仕事をARグラスの大きなバーチャルモニターで違和感なくやれるという印象を持ちました。

しかし一方、ちょっとイメージと違った部分も書かれていました。


想像と違った部分

まず、付属のARグラスを装着すると、目の前にふわっと浮かぶ黒い背景のなかにあるシンプルなUI

画面が目の前にふわっと浮かぶ様子はイメージ通りなのですが、「黒い背景」にモニターが浮かんでいるというのが想像と違いました。

こんなイメージ画像が載っていますが、実際は「黒い背景」なのだそうです。

採用されているARグラス「Xreal Air 2 Pro」の仕様の問題なのでしょうが、目の前の風景のうえにウィンドウが開く、いわゆるパススルーな表示を想像していました。

「黒い背景」にウィンドウを浮かべた方が表示内容が見やすいかもしれませんが、

周りにいるリアルの人とコミュニケーションをとるには、グラスを外すか、グラスと鼻の隙間から覗くしかありません。

と、ARグラスをかけていると周りが一切見えない状態になります。

ウィンドウを非表示にすれば目の前の人を見ることができるパススルー表示と、黒い背景モードとを切り換えられるといいのにな、と感じました。

カフェで仕事はできなくなるんでしょうけどね。

むしろカフェで仕事がしやすくなるのがARグラスのメリットじゃないかと思いましたが、目の前が真っ黒で周囲が見えないのは、地域によっては置き引きも心配になります。

ちなみに、ARグラスと端末本体(キーボード部分)は切り離せないので、部屋の中を動き回るなら持って移動が基本。で、自分が動くと開いていたウィンドウも付いてきます。

ARグラスはケーブルで本体とつながっているので、ワイヤレスな気軽さがないことはあらかじめわかっていました。それもあって本体はスマホのようなポケットサイズで、ARグラスはワイヤレス接続だといいなと思っていますが、実機レビューではケーブル接続であることが少し意識されています。

Apple Vision Proと違い、各部屋にウィンドウを置いてくることができない「自分が動くと開いていたウィンドウもついてくる」仕様なのは、パソコンで仕事をするシーンではむしろ好ましいと思いますが、パススルー非対応でケーブル接続+大きな本体という「ウロウロするな」という仕様だからかもしれません。

とすると、ウロウロしたくなります。スマホ+ワイヤレスなパススルー対応ARグラスならウロウロできそうです。

ハードでいえば、ARグラスのペアとなるキーボードはちょっと期待値より下でした。一見AppleのMagic Keyboardっぽい見た目なのですが、タイピングの感覚が違います。キーを叩いたときの深度が浅いというか、叩く感覚が物足りない。悪いというわけではないんですけどね。

キーボードはあまり意識していなかった部分ですが、打鍵感は人それぞれ好みが違いますので、本体にキーボードがくっついているよりも、キーボードが自由に選べる方が好ましいと感じました。

やはり「液晶つきのスマホが本体」+「キーボードとARグラスを必要に応じてつなぐ」がベスト。加えてARグラスはワイヤレスでパススルーがいいなというのがこの実機レビューでの印象です。


ソフトウェア充実が課題。AR PCの標準化を是非!

デモ時点ではここにあるアプリ=ネイティブでサポートしているアプリはほんのわずか。InstagramやYouTubeはアプリではなく、Webブラウザを介して観覧します

Berliner氏いわく、ゆくゆくはARに特化したアプリをもっとリリースしたいとのことで、現在開発中だといいますが、いつ頃どんなものがでるのか詳細は明かされず。

一番の課題は、ARに最適化したネイティブソフトウェアの少なさです。

OSはAOSP (Android Open Source Project) をベースにがっつりといじったもの」ということで、Windows OSでもAndroid OSそのままでもなく、この「Spacetop G1」用にソフトウェアが開発される必要があります。

「Spacetop G1」の普及台数が少なければサードパーティーのソフトウェアメーカーが参入しづらくなります。

Microsoft Office系のソフトウェアはGoogle Cloudなどで代替できますし、SaaSソフトウェアはブラウザさえ動けば使えるものも多いので、昔ほどOSへの依存度は高くありません。

しかしグラフィックや映像編集の業務ではAdobe系のソフトが動かないと話にならないこともあるでしょう。

Android OSベースとはいえ、スマホ用アプリをARグラス上で動かしてもPC的な業務では使いにくいはずです。

AR PCは違和感なく十分使えるハードウェアだと感じましたし、「rabbit r1」のように酷評されるようなものではなさそうですが、やはりソフトウェアの充実が鍵になりそうです。

AR PCの規格を標準化・オープン化して、「Spacetop G1」以外のAR PCが登場しやすくすることが重要です。これはおそらく、スマホのPCモードを普及させることにもつながります。

AppleはVision Proという別ハードを提示しましたが、理想的にはiPhone+ARグラス+キーボードだと個人的には思います。VRゴーグルは持ち歩くのにかさばりすぎます。

AndroidなのかiOSなのか、はたまたWindows OSの再モバイル化なのか、Metaがスマホを出すのか、AR PCをきっかけに群雄割拠・切磋琢磨がまた起きるかもしれません。いずれにせよ、AR PCソフトウェアの充実のために、規格の標準化・オープン化を進めてほしいと思います。

スマホの次のデバイスはAI専用デバイスではなく「スマホのAR PC化」。結構確信してます。

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