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インド人とカースト#1(概論)

日本人は、インドのカースト制度について、
興味がある人が多いと思います。
昔のインドの紹介本として、名高い
「河童が覗いたインド」や、
社会の教科書などで取り上げられて
いるからでしょう。
確かにインド社会の社会問題として、
公正な社会を望む方にとっては
大きな問題でしょう。
私もその話にも関心がありますが、
ここでは、それはインド自身の話であって、
あくまで、日本人と付き合う上でのカースト、
日本に来ているインド人と付き合う上での
カースト、という点に絞って
書いていきたいと思います。

今回は概論として、日本人にとって関係のある
カースト制度の考え方、
捉え方を見ていきましょう。
そもそも、「カースト」という言葉自体が
インド人が使っている言葉ではなく、
ポルトガル語がもととなっている言葉でして、
「カースト」といっても通じない
可能性が高いのです。
インド人的には、「ヴァルナ」と
「ジャーティー」です。

「ヴァルナ」はヒンドゥー教の前身、
バラモン教から始まっている考え方で、
世界史を勉強された方や、ブッダに関する
漫画や本を読んでいる方はご存知かもしれません。
バラモン(司祭階級)、
クシャトリア(王族・武士階級)、
ヴァイシャ(商人階級)、
シュードラ(農民・サービス階級)
そしてそれに属さない、不可触民や部族民 に
分けられ、バラモンを頂点とした身分階級のこと。
知識的にはそうですし、社会問題としては、
この不可触民の話が興味のあるところ
なのでしょうが、実際には、
インド人の生活により直結しているのは、
「ジャーティー」の方です。

「ジャーティー」は身分の上下というよりは、
職業制度でして、日本の江戸時代の
「蛙の子は蛙」というもの。
自分がつく職業が代々受け継がれ、結婚も
同じ職業集団でなされます。
大工、洗濯屋、羊飼い、鍛冶屋、などなど、
その職業の特権を握っていて運営している集団で、
通常、所属している家族しか参加できません。
このジャーティーの数は、無数にあり、
地域地域で全く別物です。

書いている通り、日本人的興味があるのは
「ヴァルナ」でしょうが、実際のところ、
こちらは大多数のインド人にはあまり影響はなく
重要なのは「ジャーティー」の職業制度、です。
日本人は「カースト制度」=「身分階級」、
こんな制度があるはけしからん、
と考えがちですが、
大多数のインド人にとっては、
「カースト制度」=「職業集団」であり、
身分の上下という感覚はあまりありません。
繰り返しますが、社会問題としての影響、
重要性を言っているのではなく、あくまで、
大多数のインド人の生活にとって、です。
社会問題としてのカースト制度は、
私が軽々しく論ずるには適切では
ないと思いますし、日本人が外から
とやかく言う問題かどうか、もあります。

ということではありますが、
私たち日本人が付き合っていくうえで、
どう考えていけばいいのか、それは次回に。

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