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インド人の英語#6(有気音と無気音)

インド人の人名やヒンディー語の英語表記を
見ていると、これなんて読むの? 
というものをたくさん目にします。

例えば、インドクリケット代表のキャプテンを
長く務め、強力なキャプテシーで人気の、
偉大なキャプテン「MS Dhoni」。
インド独立の英雄で、第二次世界大戦での
日本のアジア侵攻を契機に東条英機と協力して
インド独立を目指した
「Subhas Chandra Bose」。
インドの大都市、ムンバイの空港名にもなった、
17世紀のマラーター (ムンバイ周辺のマラティ族 ) 
王国の英雄、「Chhatrapati Shivaji」。

などなどですが、この3人の名前を見て、
共通して、ん?
と思うところがありますでしょうか?
ちなみに、それっぽくカタカナにすると、
「MS ドーニ」「スバス チャンドラボース」
「チャトラパティ シヴァージ」
となります。

そう、お分かりですね。「dh」「bh」「chh」 の、
この h ってなんじゃ?
ってことです。ちなみに私も現地で働いていた時に、
「Madhav」という方と働いていたのですが、
カタカナでは「マダヴ」さんなのですが、
日本人からは「マドハブ」さん、
と言われ続けておりました。。

中国語を勉強されている方は、
最初の発音の練習で、早々に出てくる、
「有気音」「無気音」はご存知でしょう。
発音しながら、息を強く出す「有気音」、
息を強く出さないように発音する「無気音」。
英語ではあまり意識しませんが、中国語では有気音と
無気音は明確に区別します。
そして、インドで広く使われているヒンディー語も
この有気音・無気音が非常に重要で、
日本語の「カ」に近い音は、無気音の「ka」と
有気音「kha」が、
「ガ」も「ga」と「gha」が、と、
2つの音があるのです。。
さらに、t と d については、そり舌音と
舌を歯にくっつける音があり、
日本語の「タ」と「ダ」に近い音は、
4つあるのです。。
(しかも、そり舌か、歯にくっつける音かは、
英語表記では区別がつきません・・・)
なんだか、ヒンディー語の発音に興味が
出てきた方はこちらへ。

ということで、子音にくっついている h は
いわゆる「ハヒフヘホ」を発音する h ではなくて、
有気音ですよ、ということを示しているのです。
単語の先頭か、母音の後ろにある h は
「ハヒフヘホ」を発音する h です。

ちなみに、、、日本でもよく、「サイトウ」さんを
英語表記するときに、「Saito」なのか
「Saitou」なのか、
はたまた、「Saitoh」だったりしますが、
この最後の「Saitoh」の h は日本語の伸ばす、
という意味で使っていますよね。
h は各国語でこんな使い方をされる
運命なのでしょうか・・・

この 「h は有気音」がちゃんとわかっているか、が、
インドのことを詳しく知っているか、
実は表面的しか知らないのでは、の区別をつける
リトマス紙になるかもしれません。
インドが行政手続きをIT化して効率化している
事例として、インドの身分証である
「aadhaar card」のことを触れている
記事がたくさんありますが、
残念ながら、多くの記事で、また、Wikipediaでも
「アドハー」と書かれてしまっています。。
読んでくださった方はお分かりですね。
これは「アーダッール カード」または
「アーダール」と読むべきものでして、
「ハー」というように、「ハヒフヘホ」の音が
入ってはいけないのです。
ですので、したり顔でいろいろインドのことを
語っている人が、
「アドハー」など、この「有気音のh」を
理解していなさそうだと、、
ええ、この人はインドのことは表面的にしか
知らないんだな、
そう思っていただいても大丈夫かなぁと思います。

ということで、インドの英語は「有気音のh」に
気をつけましょう、というお話でした。

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