外星通訳一族、 ”AKIMOTO”8
『俺らの気分を害すとどうなるか?もう知ってるでしょう?』
——2代目翻訳官 秋元 和久 が各国首脳に向けて放った警告———
————秋元邸 西側の「来客用屋敷」 応接間にて
「……それは、本当なんだな?ゴウジ?」
藤一郎は親友に、 秋元 郷治に再度問いかける。
「ああ、ワシも信じたくないが、そうだ。」
郷治が一息ついて口を開く。
「…………ウルスの若者が、異星人と遭遇した。我々よりも、恐らく技術レベルが高い種と。しかも戦闘までして見せたぞ。当人は攻撃してないが。」
「…………。」
「予測はしていたが、当たったところでどうすればよいモノかわからん。が、出来る限り手は打つ。……おそらく、ワシらでないと対応不可能じゃしな、それにウルスの民の混乱度合いも酷い。やはりワシらからすると、技術と身体能力はもかく、意外と幼くも見えてしまうよ。不思議とな。」
「それは、こちらも同じだ。ただ複雑なのかそうではないかの違いでしかない。……後日、恐らくお前か、孫が招集される。無論、各国首脳陣からのお声でな?」
「フン、だろうな。だがこちらに打てる手なんぞ、たかが知れてる。」
「先ほどから出ている……その打てる手というのは、切り札になりえるか?」
「切り札?そんな大層なものではない。ただの役割分担じゃ。」
「……聞いても?」
「なに、簡単じゃ。こうなることを想定して————」
郷治の顔が、少し曇る。
「まだ15だった頃に、孫を公僕にしたのだからな。」
藤一郎は、少し聞いたことを後悔した。
————————内閣首相官邸
「今、おそらくここで話している内容は、外務大臣に祖父が話している頃でしょう。」
誠児は、ウルスの民からもたらされた情報を「首相」に伝えていた。
「私がこんなことを聞くのは何だがね、専門家として意見を頂戴したい。」
首相が尋ねる。
「私に答えられることなら何なりと。」
「ウルスの民は我々を頼るか?」
「ハイ。確実に、今ですら、質問と相談の応酬が、嵐のように続いております。今は父が対応しておりますが……我々は、あくまで地球人の中の、
いえ、日本に所属している通訳でしかありません。各国の意見を、伝えるのが我々の生業’(なりわい)です。それ以上でも以下でもありません。」
「ですので、各国の意見が固まらない以上、むやみな質問には答えられません……戦争になったときの助力についての質問など、我々の一存で決めていいわけがない。」
「もしも君たちに事を一存すると言ったらどうする?」
「我々の一存で異星人との戦争を決意する覚悟と能力がすべての地球人にあるならばすぐにでもそのように答えてます。が、そうではないでしょう?」
「あと、我々が戦争犯扱いを受けた場合はそれこそ我々はウルスの民に対して保身のために地球人を消すよう求めるであろうと明言いたします。」
「当然だな。……少なくとも今度の会談に「地球語」がわからぬ地球人が介入することはない。」
「安心しました。」
「だが、外野はそうはイカン。日本にも数匹「どうしても地球を亡ぼしたいようにしか見えぬ馬鹿」が紛れ込んでいる。駆除は急いでいるが、それでもそいつらの声は耳に入りやすい。……そういったものが少数であることは、重々承知していてくれ。」
「なかなか物騒な物言いですね?スキャンダルになるのでは?」
「そうなったところで政権は変わらん。君らへの対応も、これ以上悪化などさせたくもない。いつ消されるかもわからんのにな。」
「政権が変わったらもう一度元に戻れるように彼らにやり方を教わりましょうか?」
「恐ろしいことを言うな、君は。」
「冗談だと思います?」
「そうしておく。」
「わかりました。」
「では、3日以内に首脳陣を招集する、準備をしてくれ。その際に、君らの持っている札を見せていただこう。……頼んだぞ、翻訳官。」
「お任せください。ですが……」
「ですが?」
誠児は、少し気まずそうに答える。
「そうなった場合、一番活躍するのは私ではありません。」
私は現金な人間なのでしょう。お金をもらえると嬉しいとおもい、モチベーションが異様に上がります。そうするとどうなるか。書きます。異様に書きます。つまり続きます。 作品の完結には、皆さまのご助力も、私は必要としています。余裕があるときにだけでいいので、補助を宜しくお願いいたします。