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憧れのToledo大学 出会いと滞在(前編)

昨年,Toledo大学The Engineering Center for Orthopaedic Research Excellence (E-CORE)に短期滞在した.
アメリカのオハイオ州にある州立大学だ.
正直なところ,Toledo大学という大学は,ある論文を読むまでは聞いたことがなかった.

腰椎を勉強している方であれば,一度はこの表紙の右上の腰椎の画像を見たことがあるのではないだろうか.

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有限要素解析を用いて腰椎の椎弓にかかるストレスを解析した,徳島大学西良先生の論文の画像だ.

私が初めて見たのは,臨床2年目の頃だろうか.
腰椎分離症の研究をするのに調べていて行きついた.
当時は,正直よくわからなかったが,"なんてきれいなんだ."って思ったものだ.
ストレスが大きいところは赤く,低くなるにつれて順に黄,黄緑,青と示されていた.
理論とかはわからなかったが(今でもよくわからないところ多い)視覚に訴える理論的な解析に憧れたのを今でも覚えている.

時がたって,腰椎分離症を中心に臨床研究していた自分は,
仙腸関節をテーマに掲げて大学院に進学した.

修士一年目は研究室で持ち回りで論文を抄読していた.
私が仙腸関節の有限要素解析の論文を発表した時だった.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29509655/
指導教官から「これは西良先生が留学していた大学だな」と言われて,驚いた.と同時に思った.

"ここに行きたい"と.

私が修士をでた大学には短期留学支援制度があり,入学前からそれに応募したいと考えていた.
選考に受かれば,航空券,宿泊費など合計30万円まで大学が出してくださる.これは大きい.
自分でやり取り・手配いをして相手が承諾しているという証明を提出する必要がある.
いきなりメールのやり取りだけで行くのもどうかと思ったし,やはり直接依頼したかった.

修士一年目にテキサス州のオースティンで開催されたOrthopaedic research society(ORS)というアメリカの学会で発表することができた.
これは短期留学先を探すのに絶好の機会だと思った.
事前に配布される抄録を見て,その学会にToledo大学の方が来ることがわかった.
国際学会でToledo大学の方にお会いできるチャンス.できる限り準備をした.
準備なんて大したことではないが,次の通り.
・学会期間中のいつどこの会場に来るかを調べる.
・Toledo大学の骨盤領域の論文を読みあさり,質問を考える.
 ➝論文は印刷して当日持参してそれを見せながらディスカッションする.
・そのデータを見たい,滞在したいということを伝える.これだけだ.

学会当日,共同演者の方にお会いすることができた.予定通りだ.
西良先生の知り合いかと聞かれた.
国境・時を超えて,有名人だ.
知り合いとは言えたものではない.学会で少しだけ話したくらいだ.
持っていった論文を見せながら,ここのストレスはどうなっているのかとか分布はどうなっているのかとか,立ち話をすることができた.
研究室にいつでも来ていいからと,Goel教授との間を取り持ってくれるとのことだった.

Yes!!

その後,Goel教授とのメールでのやり取りをして3週間お世話になることが決まった.
そう,そのGoel教授という方が西良先生のアメリカの父であり,アメリカでの指導教官の方とのことだ.有名雑誌Spineの編集委員も務めている.
いろいろ調べていたらtoledo大学の方はSpineの編集に数多く関わっているようだった.

想像以上にWelcomeで見学や滞在は望めば可能ということがわかった.
「求めよさらば与えられん」だ.
自ら進んで求める姿勢が大事だ.

welcome to toledo

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無事,大学からの支援を頂いてオハイオ州のトレドにやってきた.
広島➝成田➝ダラス➝シャーロット➝トレド となかなかな長旅だった.
アメリカの空港は桁違いに広く,相変わらず乗り換えは焦る.
空港での認証用の写真は別人だ.疲労がよく見える...いや,これが現実か.

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トレドは都会過ぎず,田舎すぎず.アメリカの古き良き時代の雰囲気が残る素敵な場所だった.

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欲を言えば車があると良かった.
いや,車がないおかげで毎朝,帰りも大学とホテルの間を研究室の方が交代で送迎してくださった.
車の中で流れていたBilly Eilishの "Bud guy"が忘れられない.
この曲を聴くとその時の光景が蘇る.
私はこの現象が好きで,海外に行くときはこれまでにあまり聞いたことがない曲をiphoneに入れておく.
それを滞在先で適当に聴く.日本に帰ってからその曲を聴くとその当時の光景が思い出されるのだ.
100%ではないのだが,それもまたいい.
ロサンゼルスのときはカフェでたまたま流れていたOneRepublicの"Apologize"だ.今でも蘇る.

研究室に伺う前日,滞在中のホテルにGoel教授から電話がかかってきた.
初めての会話が電話とは焦った.
得意のボディランゲージが使えないではないか.
日本人に慣れてみえるのか,ゆっくり話してくださった.明日の朝の送迎についての連絡だった.
ご丁寧にありがとうございます.

助教のDr.Denizはメルセデスで迎えに来てくれた.
アメリカではそこまで自家用車を買うのは難しいことではないらしい.
メルセデスも確か20,000$くらいだったとか.
Uberは快適だった.安く目的地に連れて行ってくれるだけじゃなく,地元の方ならではの情報を教えてくれた.
ウォーキングもして回ったが,いろいろ危険だから,あまり歩かないほうがよいと.
その辺りもアメリカらしい.

3週間という短い滞在だったが,刺激的な日々が始まった.


ちなみに胃袋に最も刺激的だったのはBlaze Pizzaだ.チェーン店なのだが,量も味も最高.
写真は全乗せ.これ1食分だからたまらない.正直店員が何言ってるかよくわからなくて,Yes.Yes.言ってたら出来上がった.ただ週3で食べたかもしれない.おかげで体重はプラス7kgだ.

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Toledo大学 仙腸関節編につづく

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