Eテレ「おかあさんといっしょ」人気曲『からだ☆ダンダン』体操は生命の進化の歌だった
『からだ☆ダンダン』体操とは?
『からだ☆ダンダン』はNHKのEテレの人気コーナー「おかあさんといっしょ」で現在毎日流れる人気曲です。
作詞は漫画家として活躍されている吉田 戦車さん、代表作は『伝染るんです。』や『ぷりぷり県』でギャグ漫画ではありながらもメッセージ性があり、人気バラエティ「アメトーーク!」のギャグ漫画サミットの回では、芸人のバカリズムさんや麒麟の川島さんなど、番組MCを務めるような方々にも愛されている漫画家です。
その曲調は明るく楽しく跳ねるようなリズムであり、体操の曲として体操のおにいさん・おねえさんと一緒に振り付けに沿って体を動かして楽しむことができる曲です。
歌詞とリズム、振り付けは非常に親和性高く、とても気持ちよく体を動かすことができます。
また、途中で曲の速さが変わる展開があり遅くなったり早くなったり、楽しい仕掛けがたくさんの曲となっています。
曲に秘められたメッセージは…人類の進化!?
そんな「明るく楽しい」という『からだ☆ダンダン』体操ですが、この歌詞をなんども読んでいるうちに筆者の森々田は「これは人類の進化を歌っているのではないか」という仮説にたどり着きました。
以降にその考察と理由を、パートに分けて述べていきたいと思います。
(※筆者は生物の教員免許は持っていますが、深い生物学に関しては素人であり調べながら記事を書いています。間違いなどがあればご指導いただけると幸いです。)
パートごとの考察
1.生命のはじまり、海
まずは曲のはじめ、すべてのはじまりは「母なる海」です。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、今から20〜25億年前、生命はすべて海からはじまりました。
最初はバクテリアなどの細菌を起源とし、次にクラゲのようのような生き物が生まれ、その後に誕生するのがオウムガイや三葉虫など殻を持った生き物です。
これはまさに歌詞にある通り「こっかく」が「かくかく」そのものなわけで、カニ、エビのような甲殻類からはじまったことを示唆しています。
三葉虫はカニやエビは同じ節足動物であり、祖先であると言われています。
ここまではまだ脊椎を持たない「無脊椎動物」です。
そして、このような生命の祖先が誕生してから幾度の進化を繰り返し、やっと誕生するのが魚類です。
ここでついに「脊椎動物」が生まれ歌詞の通り「こっかく ほねほね」がはじまります。
歌詞ではサメさん、サバさんと記述されていますが、サメは魚類の中でも比較的早く誕生した魚類であり、ここも学びのある歌詞になっています。
次に登場するのは「かいそう たいそう コンブにワカメ」、つまり海の中の海藻=植物ですね。実は陸の生物のはじまりは植物だと言われています。
海の植物が生まれたことで光合成が進み、酸素が陸に増えていきます。
同時にこの酸素が紫外線と反応し、オゾン層を作りました。
これにより、陸でも生命が生きられるようになりました。
海藻の誕生は生命の進化にとって重要な要素だったわけです。
そして今から約4億2,000万年前、植物が海から陸へあがり、陸上の生き物が誕生します。
まさに歌詞の通りの順番で「海の生き物→陸の生き物」への進化が行われたわけです。
2.陸の生命、そして人類の誕生
ここからは陸の生き物の誕生です。
歌詞で登場する「恐竜」そして「マンモス」は大昔の陸の生き物として代表的で誰しもがその姿をイメージできるものです。
恐竜が生きていた時代は今から2~1億年前、その後恐竜は絶滅したと言われています。
それに対してマンモスが生きていた時代は400~1万年前と、恐竜に比べると現代に近く感じますね。
海と陸どちらにおいても歌詞での登場順がそれぞれの種の誕生順を正確に反映していることに驚きます。
体操の動きとしては四つん這いになって右手右足、左手左足を順番にあげる、ダイナミックで楽しい振り付けになっています。
曲の中でも一番くらいにカロリーの高い振り付けです。
その後の歌詞ではついに人類の祖先である類人猿、そして(種の名前ではないですが)現代人という順に登場します。
ちなみに「げんだいじーん」の歌詞の振り付けは、手をグーにして顎の下につけて腕を組む、「考える人」のようなポーズになります。
知恵の蓄えをもって「現代人」を表現しているのかもしれませんね。
3.文明の発達
ここからはスピーディーに現代社会に近づいていきます。
まずは「忍者」が登場しましたね。
日本における室町時代から江戸時代に存在したといわれる忍者は、子どもたちも大好きです。
ゆっくりとそろりそろり歩く振り付けも緩急があって楽しませてくれます。
このパートの最後は駆け込みで「アスリート」の登場です。
歌詞と振り付けともに、足音を立てないように動いていた忍者の対比として使われています。
「アスリート=Asreet」という英語表現の登場がより文明の発達を感じさせてくれます。
4.人類はソラへ
ついに最後の解説パートです。
一気に科学が進歩していきます。
まずは「エンジン」の登場です。
水や火、電気などを使った「エンジン」の登場は大きな分岐点でした。
人類は蒸気機関を手に入れたことにより産業革命を迎え、その後は電気の発達によりさらなる発展を迎えます。
電気を使えるようになり、農業の効率もかなりレベルアップします。
自慢の人参も大量生産できるようになったことでしょう。
そしてついに、1903年、ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功します。
人類の長年の夢であった空を飛ぶという行為に手が届きました。
このパートの歌詞はまさに、この文明発展の流れをなぞっているものと考えられます。
続く歌詞は
となります。
人類は自由に空を飛べるようになり、そして空だけでなく宇宙(ソラ)へ飛び出しました。
海を起源としていた生命の誕生から、最後は地球を眺める視点まで進むことができました。
まとめ
順を追って考察をしてきましたがまとめると
海で生命の祖先が誕生する
海から陸へ、そして恐竜から人類へ
人類は文明を発達させていく
空、そして宇宙へと到達する
という流れで生き物・人類の進化を歌った歌詞であると考察できます。
明るくて楽しい、子供向けの曲だと思いきや、ダーウィンの進化論を彷彿とさせるような深くて学びのある曲だったんですね。
この曲を覚えれば、生命の進化を大まかに学んだも同然です。
吉田戦車さん、すごい…!
これからもジャンル問わず様々なコンテンツの考察記事を書いていきたいと思いますので、もしよかったら記事への「スキ」だけでなく、森々田アカウントのフォローもよろしくお願いいたします。