現代的な課題ーー『共有地をつくる』を読んで
平川克美著 ミシマ社 2022年出版
Twitterで伊藤亜紗が勧めていたこともあり、なんか面白そうだな、と思って、早く読みたくて、新刊で出たらすぐに、メルカリで発見して落札した。
結局、全体的に、実体験から基づく具体的な話で、喫茶店を作った、という話なんだが、「勧進と喜捨」という考え方があって、「勧進」は日本の古くから残る布教のシステムであり、宗教教団や地縁共同体などが、関係者から喜捨(寄付)を募って共同体の施設などを作るシステム。らしく、要するにもうけを考えないで寄付してもらうことらしい。勧進は「無縁」とも関係してて、ってという話なんだが、クラウドファンディングとも違い、なんか一読しただけではすっと入ってこない考え方で変なの、と思った。システムに「無縁」ってどういうことなんだろう。
Linuxの話は面白かった。会社携帯で、このあいだオードリー・タンの話読んだばかりだったから、そういうコンピューターでオープンソースでなんかやるのって面白そうだな、と思った。
この本、途中までは読んでて納得できるとこなどがあったが、やはり共同体というものは、めんどくさい地縁を引きずっているというか、彼の具体的な、こういう偶然のつながりもありました、って話も、なんか閉鎖的で内輪的なノリのように思えてしまった。
ちょうど並行して読んでる『人新世の「資本論」』にも通じてるな、と思ったのは、要するに、脱成長ということである。それはこれからを考えていくうえで、キーワードになっていくだろうな、と思った。
「不平等や格差は、私有の結果やむなく生じた結果なのではなく、むしろ社会が積極的に不平等や格差を作り出すことで、人々を競争させ、それを社会発展の動力とするように仕向けてきたわけです。」p.42
という言葉が印象的に感じた。でも、この考え方だけでは物足りない。この著者の「共有地」という考え方が、今の時代を見ているようで、古い日本の考え方に基づいているようだが、それがシステムにまでつなげて考えられているのがいまいち納得いかなかった。
最近の時代にあったタイトルの本だな、と思って、興味をそそられたが不完全燃焼で終わった。
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