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【読書感想】『現代韓国と女性』という本を読んで

『現代韓国と女性』 春木育美著 新幹社 2006年出版

 現代韓国の社会的女性の問題が調査され、統計的にデータを出し、論じられている書物。

 韓国文学を読むようになって、韓国の教育制度とか、女性の社会進出とかってどうなっているんだろうと思い、この本を手にしてみた。韓国文学理解するにはとても良い本である。

 驚いたのは、「1986年に与党民正党の女性室が中心となり、(略)日本の男女雇用均等法をモデルとした男女雇用平等法試案が作成された」らしい。その後反発にあうが、半年後にすぐに議決されている。日本の男女雇用均等法がモデルになってるなんて、意外だった。その後、韓国はクオーター制導入やら、性暴力特別法やら、女性にまつわる法改正がとても早い。日本のように託児所がすごく少なかったり、課題は山積しているが、女性の社会進出の進展がすごく早い。韓国政府は、大きな予算の確保を必要としない女性政策を経済に直接関係しないものに関しては、女性運動団体の要求受け入れを積極的に推進してきたという見方もあるらしい。しかし、制度的な変化は目覚ましい。現実問題としては日本と同じく、女性の非正規雇用が多いといった点など、共通点は多いが、政府の取り組みは早いように感じた。

 少子化問題が日本以上に大変らしいが、多分、解決していく速度も速いんじゃないかと思われるが、どうなんだろう。クオーター制はぜひ日本にも取り入れるべきだと私は思うが、今度は韓国を見習ってみて、日本がそういう制度を取り入れてみたらどうだろう。隣国なのだから、お互いもっと影響し合って、国を良くしていったらいいのにな、と思う。現代社会と女性の問題は韓国と共通するところがとても多いので、学べる点は大いにある。

 この本の著者が、あとがきに韓国にいた時、近所のおばさんたちが家族のように慕ってくれて、とても心強かった、とあった。この書籍自体は法律や社会制度について論じてある研究書だったけど、そういう話があるからこそ、こういった本を書いてみようと思った原動力になっている。韓国映画観ても、韓国のおばちゃんたちのパワーがすごいんだな、というのはひしひしと伝わってくる。もっとそういった生の声が反映された本も読んでみたいと思った。


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