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【読書感想】自分を大切にしてあげることー安達茉莉子著『私の生活改善運動』を読んで

安達茉莉子著 三輪舎  2022年出版

 クレヨンハウスのTwitterで紹介してて面白そうだから購入してみた。

 一人暮らしの著者が生活改善しようとして、料理だったり、洋裁だったり、本棚作ったり、取り組んだことがエッセイ風に書かれている。

 私も一人暮らししてて、生活楽しむためにいろいろ工夫してて、自分にあう本棚むっちゃ探したし、着心地の良い服を自分で作ってみたりしたのは同じで、その過程は共感はできる。特にこのエッセイで良かったとこは、最後の「生活”回復”運動編」で母と娘の関係が綴られているところがすごく良い文章だった。大きな姿見が地震で割れてしまって、破片が飛び散った部屋をなかなか片づける気が起きない。「エイヤ」とやってしまえば済むことなのにそれができない。実家に帰って母と話す。帰ってきて、「もう愛のない状態には一秒もいられない」という感情が沸き起こってくる。著者が自分が幸福になること、自分で自分の生活を作り始めて、自分の生活を好きなものに変えて、自分が幸せになるように幸せを受け取っていいんだ、と思うようになる。その描写がちょっと不思議に私は感じた。なぜなら、私は傍から見たら結構不幸な人生送っていると思うんだが、自分が幸せになること、幸福になることは当然で、そこに罪悪感も何も感じたことはないという生き方をしているので、幸せを受け取っていいんだ、という感覚はあまり分からなかった。私は、今だにその大きな幸福はやってこないが、私の生活改善は、洋服作ったり、着心地のいい服選んだり植物育てたりすることに小さい幸せを感じて、それを噛みしめながら生きていて、そういうことが幸せだとおもって生活してる。その先に大きな幸せがやってきたらいいな、とは思うが、こういう小さい幸せを大事にしていきたい、と思っている。

 経済的にも、なにもかもついてないな、とは思うが、植物に花が咲いてうれしいな、と、思うし、おいしいもの作って食べれば、自分一人で満足する。たぶん、割と、私は自分で自分のこと愛してるし、自分をできるだけ大切にしたいと思ってる。でも、確かに一人で生活してると、著者が壊れた鏡をなかなか片づける気が起きなかったように、「エイヤ」とやってしまえば済むことになかなか取り組めなかったりすることが起きる。荒れてる部屋をみて心が荒んでると思う。そういう気持ちになると、一人でやり切れなくなる。そういう自分を好きでいてあげること、大事にしてあげること、がなかなかうまくいかない葛藤が、このエッセイにとても細かく書かれていて、とても共感したのであった。


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