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【読書感想】編集者とはーー駒井稔著『編集者の読書論』を読んで

駒井稔著 光文社新書 2023年出版

 本屋歩いてたら出会って、買おうと思っていたら、図書館に偶然あったので借りた。

 どこの出版社の人か知らないが、編集者らしい。読書論や読書術について書く編集者は多いが、この本は最近読んだ本のなかでも、結構面白かった。

 世界の編集者が各国でどんな本が売れて、どんな本を読んできたかということが述べられていて、古典が多く取り上げられていた。といっても日本人の私でも知っている本が多かった。

 ヘンリー・ミラーの『わが読書』という本が読んだことなくて面白そうだと思ったけど、なぜか児童文学扱いだった。この本に紹介されてる児童文学は結構大人向けっぽいものが多いと感じた。たぶん、この著者にはあまり「児童文学」と大人向けの文学を分けて考えてないんじゃないかなと思った。

 フランスの編集者の読書論にエッツェルのことが書かれていたが、私は彼の名前をジュール・ヴェルヌの編集者としてしか、認識してなかったが、バルザックやプルーストと関わりのある人だと初めて知った。

 フランス文学のバタイユのことについて、なにか述べている作家といえば三島由紀夫とよく言われるが、私はなんちゃってバタイユ研究していた割にはほとんど読まなかったなあ、と遠い目になった。

 この本を読んで疑問に思ったのは、日本の編集者事情だ。日本の編集者って出版業界では偉そうな感じだと思っていたが、この著者の本を読んでみたら、そういう、えばった感じの文章ではなかったが、最後に編集者は「クリエイタ」じゃんって書いているところが、どうなのかなー、と思った。欧米における editorの地位は日本とは違うという話も書かれていて、あまりこういうことは知る機会がないので、面白かった。編集者という職業が「クリエイタ」という考え方は日本だけのように感じた。外国の出版関係の editorやwriterはかなり独立しているように私は感じるし、日本のクリエイタというカタカナ文字の言葉の概念はおかしい。


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