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【読書感想】影響を受けた本を聞けばその人が分かるー落合陽一著『忘れる読書』を読んで
落合陽一著 PHP新書 2022年出版
新聞の最新の売上ランキングに上がっていたので購入して読んでみた。
具体的に「忘れる読書」とはどういう感じなのかが書いてあるというよりも、自分の読書歴のなかから影響を及ぼした本をピックアップして、紹介するという内容の本。
ニーチェの『ツァラトゥストラはこう言った』、世阿弥の『風姿花伝』、『エジソンの生涯』など、落合さんが昨今活動の活動内容を見てると、こういう本から影響を受けていたことがとても分かる。落合さん著の『デジタル・ネイチャー』という本も読んだが、なんで彼がこういう風に考える本を書いたか、というのも、彼がこういった本から影響を受けていることがとても分かる気がした。どんな本を読んできたか聞くと、その人が分かる、という話はよく言われることだが、この本はとてもそれを感じさせる一冊だった。
「メディアアーティストとして活動しているため、視点はいつもアートを「創り出す側」にあります。」といいつつも、大学に属しているし、様々な顔を持つにはこういったいろんな本の影響があったことが分かる。
でも「「どうしたらアートを生み出す美意識を磨けるか?」という問いへの私なりの答えは、「自分でストーリーを練り上げられる人になるための訓練をし続けること」です。」p. 33 という問答にはあんまり納得がいかなかった。まず、質問も「アートを生みだす美意識」ってなに?って感じだし、「ストーリーを練り上げる」ということも、よくわからなかった。
ガウディだったり、サイバネティクスだったり、とても落合陽一さんらしいと、紹介されてたどの本をみても思ったけど、なにかが物足りない。なんか、できすぎてるのかも、この本。紹介されている本が整いすぎている。というか、今の落合陽一像にあまりにもぴったりしすぎるので、面白味がないのも事実だったかも。落合さんのやってることに全面的に崇拝している人は、この本はバイブルみたいに感じるかもしれないと思うが、読書歴としてはあまり意外性がなく、ちょっと残念だった。残念ではあったが、ここまで落合陽一のイメージにぴったりな本が完璧にあがっているのは、ある意味狙っていることなのかもしれないとも思った。
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