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デモじゃなくてマーチーー『MARCH1-3』を読んで

 ジョン・ルイス他著 押野素子訳 岩波書店 2018年出版

 黒人解放運動をコミックにしたもの。オバマ政権になってからの現代の時代と、1960年代の黒人が差別されていたころのアメリカとが交差されるように書かれており、オバマが大統領になるまで、こういった経緯があるのね、と知られるには貴重なマンガだと思った。

 ジョン・ルイスという1960年代に黒人解放運動に参加した黒人が作者、原案者なのだが、無抵抗、非暴力運動をしてきて、それが経緯を追ってマンガ化されている。純粋にかっこいいな、と思った。デモのことをマーチと呼ぶのもよいな、と思った。

 黒人文化を積極的に知りたいと思って、いろいろ本読んだり、してきたが、こういうマイノリティから歴史が生まれる、って感動的なものがある。というか今の政治とかみてると、この当時の若者たちが抱いた感心を今の若いものは持てない。そこに危機感も感じるし、そういう時代じゃない、とも思える。でも、こういう歴史は重要で、知らないではいられないし、忘れてはならないと思う。

 2020年にこの本を読んだが、最近、ジョン・ルイスさん、お亡くなりになって、このマンガのことを思い出した。作家、ファッションデザイナーなど、いろんな著名な方が亡くなると、ひとつの時代が終わったように感じるが、ある人物が亡くなったからといって、彼や彼女の生きた時代がなくなるわけではない。なんかジョン・ルイスさんの死を想うとそんなことが頭によぎったのでした。


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