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【読書感想】『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』を読んで

青月社編 青月社 2014年出版

 面白そうな本だな、と出版された時から思っていたんだが、機会がなくて読めなかった。今年は、アニー・エルノーがノーベル賞受賞したのできっかけに、よし、この本にどんな人が上がっているのか気になるから読んでみようと思った。

 都甲幸治さんの前書きから始まる。

 よくこんなに世界中の作家集められたな、と思うほど、多岐にわたって作家の紹介がしてある。ちょうど、ボブ・ディランの名前が挙げられていたけど、彼は2016年に受賞してる。カズオ・イシグロも。ノーベル文学賞って誰が候補になるか正式な発表はしないのに、どうしてこんなにこの人が取りそう、と名前が出てくるんだろう。この本によると、海外のブックメーカーのオッズを頼りに作り上げられているらしい。私としては、日本人の多和田葉子もいれてほしかったと思った。

 歴史的な小説を書いている人が多いようにも感じた。村上春樹とかジュノ・ディアスとかはそうでもないが。そして、どの作家が書いたどの作品でもみんな長そう。読むのはタフそうだが、絶対に面白いのは間違いない。

 毎年ノーベル賞の季節になると、すごく騒がれる。毎年毎年、村上春樹騒ぎがあるが、さすがに今年はちょっと落ち着いたように感じた。本好きの私としては、直木賞も芥川賞も確かに気にはなるが、ノーベル文学賞は誰が取るのか気になる。サルトルは受賞を辞退したが、確かに賞なんて、と思う気持ちも分かるが、やはり名誉ある賞である。

 ミラン・クンデラ、トマス・ピンチョン、ポール・オースターなど自分がすでに読んでて知っている作家も載っていたが、知らなかった人の方が圧倒的に多い。特に生まれた国で育ってなくて、のちに移住した人などそういった作家は抑えていなかった。大多数に有名な作家ではなく、本当に重要だと思われる作家が注目されるからノーベル賞はおもしろい。

 私がチェックした作家は、ダーチャ・マライーニ。イタリア出身の日本育ちのフェミニストだそうだ。

 この本は、本好きの人がこれから読む作家を選ぶには大いに役に立つ本である。


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