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1on1の方程式。「部下が求める」×「普段話せない会話」×「カウンセリング・コーチング・マネジメント」

1on1の在り方は、組織によってさまざまです。

「1on1ってメンタルケアをする場ですよね」
「マネジメントの場でしょ。OKRの進捗確認がメイン」
「業務のフィードバックをしています」

クライアントとお話していても、目的や時間の使い方、会話の内容が全然異なります。

私たちハイマネージャーも、ハイマネージャーとして大切にしたいこと、「1on1のあるべき姿」の定義が必要だなと感じ、まとめてみました。

1on1で話すべき、3つの要素。

1on1で、どんなことを話すべきなのか?

1on1で話すべきことは、3つの要素にまとめられると思います。
(あくまで要素なので、専門的なスキルというわけではありません)

1on1定義_1

カウンセリング
=部下が普段吐き出せない悩みに耳を傾ける
コーチング
=問いかけを通じて部下の内省を促し、次に活かせる学びを言語化
マネジメント
=マネージャー・会社⇔部下の「期待」を擦り合わせる

「カウンセリング」は、メンバーが抱えている悩みに耳を傾けること。

メンバーは普段、「会社の利益のため」に働いています。だから自己を犠牲にして、自分のことをないがしろにしていることが多いのではないでしょうか。

家族や友人、同僚には吐き出しづらい悩みがあるかもしれません。
「会社のために」と我慢して、自分を押し殺しているかもしれません。

そんな時に、会社内で多くの時間を共に過ごすマネージャーが悩みに耳を傾けることで、楽になることができます。

「大変だったね、何が辛かったの?」
「最近頑張ってるね。ストレスになっていることはない?」

と、相手を承認しながらも、悩みを引き出す問いかけをしていく。

悩んでいるときは解決策が必要なのではなく、「ただ聞いてもらう」ことが大切だったりします。

「コーチング」は、日々の仕事のパフォーマンスを振り返り、学びを言語化すること。

「こうしろ」と指示をするのではなく、「次にどうしたらいいか?」といった問いかけを通じて内省を促し、部下の成長のきっかけをつくることゴールです。

指示をするだけでは、部下はいつまでもマネージャーに依存してしまい、成長することができない。問いかけを通じて自立を促すことができます。

わかりやすいのは、経験学習サイクルを回すこと=コーチングでしょうか。

「うまくいった / できなかった理由はなに?」
「次に生かせる学びはなに?」
「それを活かして次は何に挑戦する?」

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「マネジメント」は、期待の擦り合わせをすること。

会社の中には2つの「期待」があります。

「会社が」、メンバーに成果として期待すること。
「メンバーが」、仕事や会社に期待していること。

「会社が必要としていること」と「メンバーがやりたい仕事」。
その2つの擦り合わせがマネジメントの大きなポイントです。

「期待の擦り合わせ」が、メンバーのエンゲージメントを向上させ離職を防ぐために、重要なポイントになっています。

「この会社でどんな経験をしたい?」
「次のOKRでどんなことに挑戦したい?」

と、まずは相手が仕事に対して期待していることを引き出すことが大切だと思います。

1on1では、部下が求めている会話を。

冒頭でも書いたように、クライアントの方とお話していると、この3つの要素のどれかに偏っている傾向がある…という印象があります。

ただ一方で、3つの要素をバランスよく話すことが、1on1の目的ではありません。

忘れてはならないのは、「1on1は部下のための時間である」ということ。
つまり、部下が求めている会話をするということです。

成長意欲が高い部下だったら、「コーチング」要素が強くなっていい。逆に、気遣いしいで繊細な部下だったら、「カウンセリング」要素が強くしたほうがいいかもしれない。

プライベートな悩みの相談に乗るでもいい、仕事の上でうまくいっていないことに対して、改善策を一緒に考えるでもいい、普段伝えられていない感謝の気持ちを伝えるでもいい。

「部下が求めていること」であれば、どんなことを話してもいいと思います。

先ほど、1on1の話すべき内容を3つに定義しましたが

大切なのは「何を話すか」ではなく

「それが部下が求めているのか?」という視点です。

「普段話せないこと」を話す。

さらに深掘っていくと、1on1だからできることは「普段話せないことを話す」こと。

普段の仕事では、部下はいろんなことを溜め込んでいるはずです。

パフォーマンスが上がらない悩みだったり、マネージャー自身に改善してほしいこと、プライベートな悩みもあるかもしれない。

しかし「期限までに成果を出す」という仕事の文脈では、業務時間内にそういうことに関するコミュニケーションを取ることは難しいかもしれません。切り捨てられてしまうことも多い。

しかし、自分の中にある不満や葛藤、悩みを抱えて溜め込んだまま仕事に打ち込んでも、最高のパフォーマンスを出すことは難しい。それに、その人が仕事を通じて幸せを感じられなくなってしまうかもしれない。

そんな時に、マネージャーが部下にもっと寄り添えるのではないか。
そう僕は思っています。

「成果」や「評価」から一旦離れて、普段話せないような思考や感情を共有する。溜め込んでいたものを吐き出すだけでも、楽になれる。

ある意味、ハイマネージャーとしてはカウンセリング要素の強い1on1の在り方を理想としています。

文脈を変えることで、会話を変える。

では、どうしたら「普段できないような会話」を生み出すことができるのか?

僕は最近、「散歩1on1」にはまっています。

散歩1on1だと、プライベートなことなど、普段話しづらいことも話しやすくなる。

なぜかというと、「普段の仕事の文脈から切り離した時間」だからなんじゃないかなと。

文脈はいろんな要素で構成されています。
それは「場所」や「目的」であったり、「時間」であったり。

図1

散歩1on1をしているときは、「場所」を変えています。
ゆったりとした雰囲気の中であれば、悩みも吐き出しやすい。

例えば、デートの時にいい雰囲気のお店を選ぶのも、同じです。

文脈が変われば、会話も変わります。

「場所」は分かりやすい文脈のひとつです。
それだけでなく、事前にいつもとは違った「目的」を共有したり、「時間」を朝一番に設定してみたり。

意図的に文脈を変えることで、「普段生まれない会話」を生み出すこと。

これが、マネージャーに求められることじゃないでしょうか。

まとめ

ここまでの話をまとめます。

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①部下が求めていること
②普段の仕事では話せないこと
③「カウンセリング」「コーチング」「マネジメント」の要素

この3つが重なる部分(円と三角が重なっている部分)の会話が、1on1で生まれていたらいいなと思います。

ハイマネージャーも、OKR設定・1on1・称賛などが行え、マネージャーをサポートするプラットフォームを提供していますが、このツールだけでは組織は変わらないことは重々承知しています。

だからこそ、1on1のようなソフト面のコミュニケーション支援もしています。

Twitterもやっています。OKR・1on1・CFRなど、マネジメントに関わることを中心につぶやいていますので、是非!


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