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アンビュランス感想:マイケル・ベイ最高傑作が全然観られてないこんな世界なんて

マイケル・ベイの作品が興行トップ10圏外で最初の週で1億も稼げてないとかこの世界おかしくない?狂ってるよ



 というわけでマイケル・ベイ監督最新作のアンビュランスを観たんですよ。ただ、書こうと思っても心身の体調がよろしくなくて延びてこんな今更な時期に記事を公開することになってしまった。不甲斐ねえ。


 さて、マイケル・ベイといえば彼氏面したくなる映画監督第4位、破壊大帝、世界一米軍を格好良く映せる人類、カーチェイスと爆破の中で生まれた狂人、などといった異名がたくさんありますね。そこまで知らない人ではアルマゲドンとトランスフォーマーの人としか知られてないのが悲しすぎる。

 なんでここまで悲しくなっているかというと僕ね、映画はマイケル・ベイで育ったも同然なんですよ。アルマゲドン生まれトランスフォーマー育ち。レンタルビデオの会員証作ったばかりの時にバッドボーイズを真っ先に借りたり。

 とまぁ思い入れが物心付いたころからあるようなもんです。子供の頃に思い入れがある映画監督といえばスピルバーグよりマイケル・ベイなんです。(その割にはアイランドとパールハーバーは観てないしロストエイジと最後の騎士王はやる気がなかったんだろうなぁと思うなど都合の悪いところだけ見ない都合のいい女ムーブしてますが自分)

 そんな彼の新作が劇場公開されたとなればそりゃあだ。しかも非フランチャイズのオリジナル作品はかなり久々の劇場公開。ドン引きの犯罪者の実話がマイケル・ベイ御大の作風に合ってはブラックジョーク満載な『ペイン&ゲイン』と、御大の本領発揮なんだけどパールハーバーの反省か実際の事件に至るまでがめっちゃ簡略された『13時間 ベンガジの秘密の兵士』の傑作2つがビデオスルーという有様でした。キレるでほんま。

 そして、今作のアンビュランスと来たらだ。まさかの本国から二週間先駆けで公開でIMAX上映もされた。親日か?狂うでほんま。


 さて映画の話をしましょう。今作は25ミニッツというデンマーク映画のリメイク。しかしリメイク元は70数分程度の短い上映時間に反してアンビュランスはなんと130分と少しという上映時間。こりゃもう色々付け足されたとしか言いようがないしもはやリメイクというより別物ですね。たぶん。


 マイケル・ベイの作風の一つといえば、カーチェイス中にそんなことしてる場合か!?ってのが多いですよね。今作は銀行強盗シーンを終えたら7割方そんな感じに進みますが舞台が救急車の中。怒鳴り散らしたりに飽き足らず、エグい治療シーンに救急救命士を脅すシーンも追加。カーチェイスの途中に挟む様々を描いてきた御大の本領発揮ですよ。しかもそこがキャラを描く舞台となっているので無駄がない。

 そして救急車を中心に描くと来たら?そりゃそう、カーチェイスもド派手に盛りまくり。

さらに銀行強盗と銃撃戦のシーンは掴みとして終わらず現代版ヒートでの銀行強盗銃撃戦といえるほどにめっぽう撃ちまくりゴアありまくり怖いお兄さん居まくり。


 さて、マイケル・ベイの異名の一つに米軍を描くのが世界一上手い人類ですね。つまり、職業人を描くのにも長けているんですよ。今作は銀行強盗一味だけでなく救急救命士と警察が描かれてめっちゃ格好良い。

 主人公の一人である救急救命士のお姉チャンは(演:エイザ・ゴンザレス)が終始格好良い。仕事に対しての情熱が感じ取れるがどこかドライ。しかし、銀行強盗に巻き込まれて救急車をハイジャックされ人質にされてもめげないしょげない折れない。強盗一味に一転攻勢を行おうとしたりクソみたいな状況でも患者優先で一生懸命治そうともする。この事件を経たあとの彼女のアンサーと姿には思わず涙が出そうになった。こんなように仕事に向き合いてえって思った社会人も多い筈。

 もう一つ、警察の班の一つであるSIS(特殊事件操作係)の登場が序盤の銀行強盗シーンで匂わされるんですが、このチームがコワモテ集団すぎて怖い。

 ボーダーラインなどの秩序側の怖い仕事人を描いた作品を見てたら察することは出来るでしょうけど、それをあんま知らない人が観たら銀行強盗同士が鉢合わせするのかって誤解するくらいにいかつい。そんな奴らと銃撃戦が起きたら見てても恐ろしいしカメラの振れも相まって観てる側にも緊張感が与えられる。

 怖いお兄さんといえば銀行強盗含むギャング一味も怖い怖い。警察の人間を殺すことに一切の躊躇なくエグいやり方でで殺すことに特化した諸々が出てきたり、話し合いも一切その場に居合わせたくないほど。


 今作の主演の一人でジェイク・ギレンホールが出てるんですが、これが業深い。こいつ一人にマイケル・ベイの作風を全載せしてるくらいに狂ってるサイコ兄貴と化している。

 身内には優しく他人と敵には容赦ないといういつものマイケル・ベイって感じ。家の夕飯は置いといて飲みに行こうぜって感覚で銀行強盗に弟を誘って速攻で行うに始まり、やること成すことが巻き込まれてる側には冗談じゃないし、カーチェイス中にそんなことしてる場合?!ってしでかすし、言ってることがハイテンション直行で意味不明な脅し文句を抜かす。なんだ、いつものマイケル・ベイ作品か。一人に背負わせるな、業が深すぎる。

 しかし、そのサイコ兄貴(と弟以外のギャング一味)以外はマトモなんですよ。一緒にカージャックした弟(演:ヤーラ・アブドゥル・マティーン2世)は後悔したり救急救命士と患者を助けようとするし、救命士はコトをなんとかしようと右往左往。警察側もバッドボーイズでも元デルタでもないんでマトモな言動をする。うそ、SISのリーダーが犬を連れてきたせいで少しだけマイケル・ベイ作品特有のハプニングが起きる。

 なので尚更ジェイク・ギレンホールの演じるサイコ兄貴の狂いっぷりが強調される。身内には優しいというのがあって弟思いの面も強調されるのだが、こうして描かれる身内思いと狂人の二面性が剥離しすぎてあるシーンでは感動するべきかブチ切れが怖いと考えるべきなのか。

 カーチェイスと銃撃戦については……言わずもがな。早く映画館で観るんだよ。もう上映が終わりかねないぞ。


 思い返せばほんとよく出来てたなぁって気持ちと書くのが遅すぎて思い出せることが少ないかもなのでもう一回観に行きてぇって感じのポジティブな感情がいっぱいいっぱい。

 ところで、よく彼氏面されたり俺がよく分かってるとか世界が嫌いでも俺は好きってされるマイケル・ベイ御大の作品でよく得るものがないって言われてますけど、アンビュランスはかなり得るものがいっぱいあったでしょ。仕事してる人の吟次とか、兄弟愛を持っていてもそこに至るまでが悪に偏っていたら救われないとかさ。

 それで描かれるものがない?ツッコミどころたくさん?冗談でしょ?省略されたのでツッコミどころが出来たのであればしゃあないけど描かれるべきところはよく計算されて編集されてたと思うぞ?

 カメラ振れまくりのシーンは銀行強盗や銃撃戦の緊張感のためだし、ドローン空撮の動きは画期的だったし。カーチェイスで喋りまくりは今作に限っていえばキャラをよく描くためにされてたんじゃないのか?俺はそこらへん諸共がマイケル・ベイ最高傑作の所以だと思ってますよ。よく計算されてると思うぞ。(これぞ彼氏面)


 だからだ、俺が彼氏面したくなるほどの作品ってどういうこっちゃって思った人はぜひともぜひぜひ観に行ってやぁ。


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