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ブロックチェーンを体験してみよう 〜 Ethereum編 自分の通貨を発行してみる 〜

マンガでわかるブロックチェーンのトリセツ』(小学館)の著者、森です。ブロックチェーンといえばビットコインがいちばん有名なわけですが、その次に出てくるものといえば「Ethereum(イーサリウム)」かと思います。今回はこのEthereumを使って「世界中で使える自分の通貨をスマホだけで作っちゃいましょう」というネタです。

そもそも通貨を作るって「」しかできなかったことなんですよね。それがビットコインの登場によって大きく変わりました。世界中で使ってもらうにはもちろん通貨の「信用」が必要ですけど、今や技術だけであればスマホだけでできちゃうってすごくないですか?
スマホさえあれば仲間内で使うなり、会社の中で使ってみるなり自由にできますよ!

そんなわけで、早速試してみましょう!

1.お財布ソフトのインストールと初期設定

今回ご紹介するアプリは「MetaMask」です(iPhone版「MetaMask」、Android版「MetaMask」)。要は Ethereum 用のお財布アプリです。Bitcoinのときと同じく、テストネットでも使えて、ERC20と呼ばれる独自のトークンを取引できる機能が入っています。PCでお使いになる場合はGoogle Chromeのエクステンションがあります。長らくアプリ版は出てこなかったのですが、ついにリリースされたので今回のネタにしました。(以降はiPhone版で進めています。Androidは多少違うかもしれません。)

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インストールが終わったら早速立ち上げて初期設定を済ませましょう。

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パスワードの入力を行うと、シードパスフレーズが表示されます。見るためにはパスワードの入力が多分必要です。(iPhoneでFace IDの許可をした場合は顔のチェックをするだけでした。)

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シードパスフレーズはアドレスのバックアップです。これらの単語の並びでアカウントの情報を保存できています。全部記憶できるならいいんですが、メモ書きを残しておきましょう。再度入力して次に進みます。

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2.テストネット(Ropsten)に切り替える

無事にEther(ETH)の残高(0 ETH)が表示されればOKです。このままだと、仮想通貨(暗号資産)を扱う「メインネット」を見ていることになりますので、無料で使えるテストネットに切り替えましょう。

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上のWallet表示をタップそて、続いて「Ropsten Test Network」を選択します。Ethereumはテストネットが複数あります。いくつかの機能の有無という差がありますが、ここでは執筆時に一番メジャーな「Ropsten」を選択しています。残高表示の画面に戻ってRopstenの表示が確認できれば完了です。

3.Etherを取得する

続いてテストネット(Ropsten)用のEther(ETH)を手に入れましょう。EtherはEthereumの中で基準となる共通の通貨です。メインネットの場合はEtherは仮想通貨として扱われており、世界中で取引されています。テストネットのものとは別物ですので不安がる必要はありません。自分のトークンを作るためには手数料としてEtherが必要です。テストネット(Ropsten)用のEtherはいくつかのサイトにて配布されています。配布しているサイトのことを「Faucet(蛇口)」サイトと呼びますが、MetaMaskでアクセスされることを期待しているサイトが多くなっています。訪問してEtherをゲットしましょう。

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送金のためのトランザクションが動いて、しばらくすると1 Ether もらえるはずです。なお、Etherをある程度持っているアカウントではもらえないので、何度ももらったりするのはやめましょう。

4.自分の通貨(トークン)を発行する

Etherが手に入ったならばいよいよ自分の通貨を作ってみましょう。本来は自分の通貨を作るために「スマートコントラクト」というブロックチェーン上で動作するプログラムを作る必要があります。が、MetaMaskを使っていれば必要事項を入力するだけで作ってくれるサイトが有りましたのでそちらを利用します。

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ここで自分の通貨の情報を入れます。「Token name」は通貨の名前です。好きな名前を入れればよいでしょう。「Token symbol」は通貨の略称です。日本円なら「JPY」、米ドルなら「USD」みたいなやつです。それっぽい略称をつけましょう。「Token decimals」は小数点以下の桁数です。「18」が初期値になっています。Etherは最小の単位として「wei」という単位があります。1 Etherは1,000,000,000,000,000,000 wei (10の18乗 wei)ですので18が初期値になっているのかと思います。こちらはそのままでも良いですし、細かい単位がややこしい!というのであれば「0」にしてしまうのもありでしょう。「Token supply」はこの通貨の発行額です。現世界での流通額なので思い切って大きな数字にするのも良いでしょう。「Initial supply」は発行者の送られる金額です。Token supplyと同額で良いのではないでしょうか。

今回は私のお友達で、小説家「支倉凍砂」先生の作品で、未来の月面を舞台に株取引を行う経済ビジュアルノベル「WORLD END ECONOMiCA 」にあやかって、月の通貨である「ムール」を作ってみます。「Token name」は「Mools」、「Token symbol」は「MOL」にしました。皆さんは好きな名前にすると良いでしょう。発行額などもお好きに入力して下にスクロールして「Advanced」設定を行います。

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これにて自分の通貨の作成は完了です。あとは眺めるもよし、MetaMaskを使って誰かに送ってみるもよいのではないでしょうか。(送金の方法は多分迷うことはないと思いますが、ご自身で試行錯誤してみてください!)

まとめ

スマホだけでプログラムせずに自分の通貨を作ってみたのですが、いかがでしたでしょう?体験しないとわからない事もありますよね。今回はテストネットを使いましたが、メインネットでやれば仮想通貨(暗号資産)と技術的には同じものが作れますよ。ホントに換金できる暗号資産をつくるには交換所で取り扱ってもらったり法律に従う必要がありますけどね。その辺もチラッと書いてあるマンガもよろしくおねがいします。


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