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不信心者のためのGospel TVガイド。

『TV GOSPEL TIME』Title

■不信心者にも、音と映像で”光”を。

ゴスペル音楽がお好きでない、またはご関心がない、という方にはご縁のないお噂でございますが。

youtubeでは相当数のゴスペルの映像や音源がアップされていて、その恩恵を受けております。様々ある中でも、1960年代のアメリカで制作されました
『TV GOSPEL TIME』というゴスペル専門のスタジオライブ番組の映像が多数アップされていて、これがめっぽう現是利益のある有り難いお札。

今となってはOld Schoolなスタイルながら、音楽としてのインパクトはまったく衰えていない。濃厚な伝道師の数々が出演したこの番組『TV GOSPEL TIME』から、個人的にお気に入りの説教節をご紹介できればと思った次第。
私のような、神も仏もないという不信心な異教徒にとっても、I Saw the Lightな名演の数々と信じます。

■『TV GOSPEL TIME』とは。

米wikiの『TV GOSPEL TIME』によれば、

『TV GOSPEL TIME』は、1962年から1965年まで3年間NBCネットワークで放送されたアメリカの日曜朝のゴスペル音楽テレビ番組である。この番組はシカゴを拠点とし、放送時間は30分であった。

1962年10月20日のビルボード・ミュージック・ウィークによると、『TV GOSPEL TIME』は黒人視聴者にアピールするために作られた最初のテレビ番組であり、ニューヨーク、ワシントンDC、オーガスタ、チャールストン、コロンバス、ボルチモアの6つのテレビ市場で開始された。番組を放送する都市の数は、1963年1月までに20都市に、1965年までには50市場にまで増えた。

『TV GOSPEL TIME』は、同様のゴスペルをテーマにした放送である『Jubilee Showcase』が1963年にシカゴのABCネットワークで放送を開始する1年前に放送された、ゴスペル音楽専用の最初のテレビ放送であった。TVゴスペルタイムは、黒人ミュージシャンだけが演奏する音楽の初のテレビ放送でもあった。

 web訳、改行は引用者

という番組。黒人視聴者にアピールするために作られた最初のテレビ音楽番組という点では、ドン・コーネリアス『Soul Train』の先駆的存在といっていいかもしれない。能書きはこれくらいにして、さっそく日曜朝の教会へ。

♪Sunday I go to church, then I kneel down and pray…………

■VIDEO

●Sister Rosetta Tharpe

ロックンロールのGod Mother。この出演ではGibson SG Customでディストーションが効いたソロをぶちかます。
1930年代後半のDecca録音ではアコギによるギターエヴァンジュリスト風なソロ録音だったが、1940年代に入ってからはLucky Millinder Orchとのコラボでスイングと融合、さらにナイトクラブにも一緒に出演。俗世との交歓という点でも先駆者だった。戦後はMarie Knightとのデュオ路線でヒットを飛ばす。結婚式をワシントンのGriffith Stadiumで開催し、2万5千人が集まるというほどの人気を誇った(フランス盤アンソロジーにライブ音源収録)。 私にとって最も偉大な人。


●The Blind Boys of Alabama

1939年から現在も活動を続けているThe Blind Boys of Alabama。何をおいても、リードをとるClarence Fountainのド迫力。スタジオ録音よりも、この『TV GOSPEL TIME』でのライブの方がよりリアルに生々しい。圧倒されるとはこのこと。


●The Consolers

The Consolersはギターエヴァンジュリスト系のSullivanとIola Pughという夫婦デュオ。Iolaのぶっといボーカルに圧殺されそうな気分。
Gospel研究の第一人者アンソニー・ヘイルバットの『Gospel Sound』(初版)を読んで、彼らがビルボードのチャートにアルバムがランクインするくらいの人気者だったことを知った。


●The Meditation Singers

自分としては不思議なのだが、The Meditation Singersについては英語版のwikiでもほとんど記録が残されていない。かつて日本の音楽雑誌でも表紙を飾ったことがあるDella Reeseが 創設メンバーとして人気グループとなったし、1953年にReeseが抜けた後その穴を埋めたのがリーダーErnestine Rundlessの娘でLaura Leeだったりと、話題には事欠かないのだが。

『スヰングジャーナル』の表紙を飾った世俗歌謡転向後のDella Reese (1960年、wiki)

この番組では、Rundlessと世俗歌謡転向前のLeeが並び立った時代の映像が拝める。もうRundlessのボーカルが凶暴でたまらない。ゴスペル時代のReeseも良いけど、Rundlessも再評価されないものか。


●Georgia Louis

番組のホストも務めたGeorgia Louis。実にイイ歌手。好き。
バイオについてはこちらに追悼文のサイトがあって詳細が書かれている。経歴も素晴らしいが、なぜか今となっては名前が広く知られていないよう。MOTTAINAI.

●Georgia Louis&Ruben Willingham

Georgia LouisにThe Swanee Quintetの看板だったRuben Willingham牧師の共演。Willingham牧師の”説教節”を伺っていると、私が師と仰ぐ人生幸朗師匠をなぜか思い出してしまう。”ぼやき福音”とでもいうか。味があるんだよねえ。

Ruben Willingham牧師とThe Swanee Quintetについては、上記リンク先に子供時代のJames Brownとの出会いが記されている。


●The Soul Stirrers

R.H.Harris、Sam Cooke、Johnnie Taylorなど偉大なシンガーを輩出した名門。この時のパフォーマンスも熱い。この時期のStirrersは、そのSamが興したレーベルSARから作品をリリースしていた。当然Samの曲もやっているのでいわゆるSam調の色彩が濃いが、スタジオ録音もなかなかイイ。

Soul StirrersとSam、そして先のThe Swanee Quintetはなにかと因縁があるので、興味のある方はコチラを。


●Julius Cheeks & the Knights of Washington, DC

リードを取るJulius Cheeks牧師はかつてThe Sensational Nightingalesで大活躍したスターのひとり。アンソニー・ヘイルバットの『ゴスペル・サウンド』でも一章を充てられているほど。しかしwikiにはなぜかこの”the Knights of Washington, DC”についての言及はない。
この動画では御本尊のCheeksよりも、なぜか奥様でピアニストのMargie CheeksによるLittle RichardかJerry Leeかの如きパフォーマンスに目が奪われる。


■Ending

ということで、結構な数のゴスペルシンガーたちが登場するこの番組、私のような半可通にはまだまだ鉱脈の掘り下げが足りないが、解る人には宝の山なんだろうね。また教会に行かねば。

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