インド記 part3

「インド記 part1」
https://note.mu/morg/n/n7dc5f33602d1
「インド記 part2」
https://note.mu/morg/n/n6599dcfe81f3


前回の記事からすっかり時間が経ってしまった。

実は前回の更新の後にムンバイを再訪した。

今回はインドのお正月ディワーリーの直前だったからか、空気が良く快適な訪問だった。というのも、part1でも述べたが、ディワーリーは光のお祭りとも呼ばれているためか、なぜか花火と爆竹をぶっ放しまくるので、PM2.5による大気汚染が発生してしまう。13億人が花火をあげるのだから仕方ない。

インド政府はPM2.5を削減する花火の開発に国を挙げて取り組んだそうだが、失敗に終わったようだ。今回のディワーリー後もひどいモヤだったらしい。

ちなみに今回の訪問では杖を振り回しながら野良犬2匹と戦うクレイジーな老人と遭遇したのだが、その話は置いておいて、前回の続きに戻る。

ラヒムに連れられてインドの駅に入った。

チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅という、世界遺産になっているゴシック建築のとても美しい駅なのだが、中に入ると結局はインド。そこらじゅうの床に寝転がっている人がいる。

果たして、電車を待っているのか、ただ時間を潰しているのか見分けがつかない。

インドと聞いてイメージする「電車の外につかまって乗っている人たち」も本当に沢山いる。

聞くところによると、混んでいるから外につかまっているのではなく、車両の中が暑いから風を浴びるために外につかまっているらしい。驚き。

とはいえ、ただの駅なのでものの数分で見終わってしまい、ラヒムは次に行きたいところがないかと聞いていくる。もう十分満足したのだが、どうやら時間ギリギリまで案内しないといけないようだ。

しかたなくクリケット競技場に行く。

ルールを教えてくれと聞いても、難しいからやめとけと言われる。唯一、試合時間について教えてもらったが、どうやら短いもので半日程度、決勝になると5日間掛かるらしい。

いったいこの国はどうなっているんだ。

クリケットを見てもあまり面白くなかったので、町を散歩することにした。ラヒムが通りかかった建物をイチイチ説明してくれる。

ただ、とにかく暑い。これ以上歩いていられないので「そろそろ帰ろうかな」とラヒムに言ったところ、彼の話し方が突然神妙になった。

「この後病院に行く」というので詳しく聞くと、母親が重い病気で入院しているという。どう重いかは言いたくないらしい。

大変なのだろう。

お金がなく何も買ってあげられないので、とりあえず毎日顔を出しに行っているらしい。

なんて親孝行な息子だ。

病院の場所は「遠いところ」らしい。

沢山稼いで病気を治してあげたいらしいが、まだ稼ぎが少ないらしい。

それなら昼間に町をブラブラしてないで働けば良いじゃないか、とぶっちゃけ思ったが、その時気が付いた。

そう、彼は今まさに働いているのだ!

なんだ、そういうことならハッキリ言いなよ!ということで、500ルピーを差し出たときのラヒムの笑顔は忘れられない。

ラヒムは"Oh my friend!"と言いながら握手し、颯爽と信号のない道路を渡って消えた。

そう、これが初めてのムンバイ訪問だった。

-完-


石像

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