【短編】優しいあなたが笑ってくれれば幸せだ
仕事が楽しい坂下未来はまだまだ子どもを持つことを考えられない。大学の友人と話したことをきっかけに、夫の勝也に子どもが欲しいか尋ねるが、話は斜め上に進み始める。
仕事は楽しいし、あなたがいれば幸せだし。
ぴぴぴぴぴぴぴ–。
どこの家庭でも聞かれるだろう、どこか安っぽい電子音が鳴る。未来は目覚まし時計を乱暴に止めると布団を頭からかぶった。しばらくして、ガバリと飛び起きる。枕元で充電していたスマホを引っつかんで日付と曜日、予定を確認する。–間違いない。今日は出社の日だ。
「あ