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奈良の林業
私は奈良県出身で、木に関わる仕事をしています。
今回は、私の勉強のため、奈良県の林業について、情報をまとめてみます。
私的な記事になり恐縮ですが、どなたかのお役に立てば幸いです。
奈良県はとても豊かな自然を持つところです。
ぜひ、魅力を知っていただければ嬉しい限りです。
7割以上が森林な奈良県
奈良県は、面積の多くが森林です。
桜で有名な吉野を中心に、林業が盛んに行われてきました。
強さと美しさを兼ね備えた奈良の木
県の面積の約77%を森林が占める奈良県。
特に吉野林業地域おいて、「密植」と呼ばれる植林方法が受け継がれてきました。また、吉野特有の土壌成分から、心材が淡いピンク色をしている木が多いのも特長です。それによって、まっすぐに成長し、同心円で年輪が細かく均一で、節が少ない木材が生み出されているのです。
江戸時代から酒樽用として高く評価
年輪の詰まっている奈良の木は強度が高く、江戸時代から酒樽の樽丸用材として高く評価されてきました。酒樽を作るための材木を調達するのに地の利が良かった吉野では、需要のあるスギを植林するようになります。また木取りの仕方によって、柾目(まさめ)、板目(いため)、杢目(もくめ)の違いができ、用途や使用箇所など活用方法も様々。
吉野材の歴史
吉野地方では、1500年頃(足利末期)に造林が川上村で行われた記録があります。
吉野材が多量に搬出されるようになったのは、天正年間(1573〜1593)豊臣秀吉が当地を領有し、大坂城や伏見城を始め、畿内の城郭建築その他社の普請用材の需要が増加し始めた頃からです。
特徴は『密植』
奈良県の林業の特徴に、『密植』があります。
通常よりも同じ広さに対して多く木を植えることを指します。
こうすることで、木を太らせずに高さを出し、年輪幅が細かく均一な木をつくってきました。
極端な密植
1ヘクタールあたり8000本~12000本という、高密度の植栽を行うことで、年輪幅が細かくて均一な材を育成しています。
歴史と技術に裏付けられた優れた奈良県産木材
奈良県では古くから「吉野林業」と呼ばれる密植、多間伐、長伐期施業に代表される集約的な林業が進んだことから、奈良県産の木材は年輪幅が狭く均一で、見た目にも美しく、強度に優れ、建築用材として高い評価を受けてきました。 奈良県地域認証材は優れた品質を備えた奈良県産のスギ・ヒノキを使用しています。
一般的には1ha当たり3,000本程度を植林しますが、奈良県の木材主産地である吉野地方では1ha当たり8,000本から10,000本程度植林されてきました。
密植することにより、幼齢期に幹を太らせずに高さを伸ばすことができ、その後、弱度の間伐を繰り返すことによって年輪幅が密で均一な強い材料をつくります。
吉野林業と土倉庄三郎
吉野地方は、古くから林業で栄えた地域です。
そこには、土倉庄三郎という方の功績があります。
造林方法からインフラ整備、そして教育まで、偉大な功績を残した方です。
土倉庄三郎は、天保11年(1840年)に奈良県吉野郡川上村大滝の林業家の家に生まれました。父から山林経営の手法を学び、伝統の吉野林業を集大成し、日本全国に植林の意義を広め「林業興国」を説きました。
庄三郎は卓越した先見の明の持ち主であり、その行動は林業分野にとどまらず、政治、経済、教育など多方面に及びました。ここでは「日本林業の父」「吉野林業の中興の祖」土倉庄三郎の非凡な功績の数々をご紹介します。
おわりに
奈良県は、とても自然豊かなところです。
また、林業の産地として栄えた実績があり、いまでも吉野杉、吉野桧などはブランド化されています。
これを大切に残していくのも、いまを生きる私たちの役割。
節度を持った暮らしをしていきたいものです。
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