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コラム(22日)、米副大統領候補J・Dヴァンス氏に込められた意味、経済的グローバル路線への挑戦か

バイデン大統領がついに選挙戦からの撤退を表明した。その直後に共和党の副大統領候補について考えるのは不見識かもしれないが、トランプ氏のこの選択こそが次のアメリカ、ひいては世界の近未来を占う上で重要な意味を持つ気がする。M A G Aを叫び続けるトランプ氏の戦略がアメリカ第一主義であり、保護主義的、非協調的、2国間交渉優先主義であることは間違い無いだろう。気候変動問題にも後ろ向きだ。人権に配慮する気配は一向に見えない。ウクライナ戦争を機に国際協調路線に傾斜する西側陣営にとっては、相容れない路線のように見える。その後継者がヴァンス氏だ。若干39歳。トランプ氏の孫みたいなものだ。そのヴァンス氏を後継者に指名したトランプ氏の意図は、経済的な反グローバリズムを錦の御旗とする長期戦略ではないか。

B B Cはヴァンス氏について次のように解説する。「私は『ネバー・トランプ(トランプは絶対だめだ)』派だ。彼を好きになったことは一度もない」、「なんてばかなやつなんだ」、「非難されるべき人物だ」。これらはヴァンス氏が2016年、インタビューやツイッターで述べた言葉だ。この年、同氏は回顧録「ヒルビリー・エレジー」(まだ読んでいない)の出版で一躍有名になった。Amazonの紹介文には「ラストベルト(錆ついた工業地帯)と呼ばれる、オハイオ州の出身。貧しい白人労働者の家に生まれ育った。回想録は、かつて鉄鋼業などで栄えた地域の荒廃、自分の家族も含めた貧しい白人労働者階級の独特の文化、悲惨な日常を描いている」とある。大統領選挙でトランプ氏を勝利に導いたラストベルト。生活破壊の張本人は中国だ。工場は軒並み中国に移転、近隣州を含めあたり一体がラストベルトになる。これがヴァンス氏の戦いの原動力だ。そのヴァンス氏がなぜトランプ信奉者に変身したのか。それはまた次の機会に譲る。

ヴァンス氏を副大統領候補に指名したトランプ氏は、一貫して同じことを言っている。ひとことで言えば経済的反グローバリズムだ。国内の製造業を復活させ、白人労働者の生活を改善する。ドル安の主張もこの流れの中にある。関心はB L Mではない。白人労働者だ。そのために再戦を目指し、中国を徹底的に敵視する。ラストベルトを作り出したのは中国だと言わんばかりだ。“もしトラ”が実現しても4年間だ。これを長期的な戦いにするために39歳のヴァンス氏を副大統領に指名した。後継者を育てつつ、中国には60%の関税をかけて破壊する。戦術も一貫している。中国を敵視する一方で、もう一つの大国・ロシアやインドとの関係改善を目指す。ヴァンス氏の奥さんはインド系アメリカ人のウーシャ氏。東部の名門エール大学と英ケンブリッジ大学で学位を取得した弁護士だ。次の世代に向けた新しい勢力の誕生でもある。とはいえ一部で囁かれ始めた“確トラ”にはまだ多くのハードルが残っている。

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