月 3 月山 2023年11月11日 08:34 #写真小説 月が、ぽっかりと浮かんでいた。 真ん丸だった。あぁそうか、今日は満月だったのか。「月が綺麗ですね」 と、呟いてみる。ひとりぼっちで。愛を伝えるべき相手は今、俺の隣にはいない。いや、これからもずっといない。 愛する彼女。もう失ってしまった彼女。 ささいな口論が、永遠の別れを生み出した。 俺は空に浮かぶ月を見つめる。あの月のように美しい人。彼女の事を忘れる日など、きっと永遠に来ないだろう。 それにしても、あぁ、見事に真ん丸だ。 まるで。 まるで、彼女を埋める時に掘った、穴のようだ。 ダウンロード copy #小説 #掌編 #写真小説 3 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート