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朝の月

#写真小説

 朝の青い空に、白い月が浮かんでいる。
 僕はあれを見る度に、ミルクキャンディーを思い出す。
 青崎さんのくれたキャンディー。
 青崎さんは中学の頃のクラスメイトだ。友達と呼べるほど親しかった訳ではないけれど、たまに会話する程度の関係。
 あれは、早朝の教室での出来事だった。
 あの日、職員室に用のあった僕は普段より早い時間に登校したのだが、すると静かな教室に青崎さんだけがいたのだ。ポケットからキャンディーを取り出し、舐めていた。学校でお菓子は禁止されていたのに。僕に見られていると気付いた青崎さんは、「内緒ね」と笑って僕にキャンディーをひとつくれた。あの甘い味が、今も、僕の中に残っている。

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