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掌編

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ノンシリーズ掌編まとめ。
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2024年4月の記事一覧

片手に我が子、片手にスマホ

 左手で、我が子の手を握り。  右手で、スマホを持ち。  そして私の目は、スマホの画面をじっと見つめている。 「あのさ僕さぁ、大きくなったらサッカー選手か漫画家かケーキ屋さんになるの」 「そう、いいわね」  息子の呼びかけに答えながら、私は思う。  スマホって便利だ。  スマホって素晴らしい。  人生の楽しさが、喜びが、この小さな機械の中にある。 「あっ! ねー、あの雲さー、怪獣みたい! 怪獣! 見て見て!」 「本当ね、怪獣みたいね」  息子の無邪気な声を聞きながら、私はスマ

自称未来人

 2000年頃の事である。  未来人を名乗る男がいた。  男の話には妙な信憑性があり、勿論彼を疑う者もいたが、信じる者も数多くいた。  男は「タイムマシンが故障して未来に帰れなくなった」「すぐ戻るつもりで遡行届も出していないから救助が来ない」と言い、この時代に家も金もないと主張。そこで男を信じる有志の者達で生活費や物資、住む場所を提供し、彼を支援した。男はそのお礼として、未来の話を人々に語って聞かせた。  男の語る話は面白く、人々は喜んで彼を支援し続けていた。数年間の間は。