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#写真小説 ぽちゃん! 子供達の頭に、落ちてきた水滴。 見上げると、真っ赤な実が雨の名残を抱えており、それが落ちてきたのだなとわかりました。 「みなさん!」 先生が子供達に呼びかけます。そうです、この子達は皆、小人の学校の生徒達なのであります。 「さぁみなさん、持ってきた葉を広げましょう」 先生の言葉に、生徒達はそれぞれに持参した葉を広げて、落ちる水滴を受け止めました。このようにして集めた水滴が小人達の生活用水になるのです。 これが小人の学校の、生活の授業の様
珍しく、休日だっていうのに早い時間に目が覚めた。 布団から出ないまま、枕元のスマホに手をのばして時間を確認して、用事もないし二度寝してもいいなと思いながら、ふと、体にかかる重みに気付く。 俺は体を横向きにして寝るタイプなんだが、その状態で、背中に何かよりかかっているなという感覚があるんだ。いや、幽霊とかじゃない。 これはまるで、冬場のクツだ。 あ、いや、靴じゃなく。クツってのは実家で飼われている猫の名前で。くつしたを履いているみたいな足の模様からクツシタって名前にな
昔々あるところで、ある心根の優しい人が、不幸な目に遭った方へ自分の気持ちを贈ってあげようと、千羽鶴を折っておりました。 ところが、はて、どうしたことでしょう。 紙で作られた折り鶴が折ったそばからまるで生き物のように羽ばたいて、その人の手から飛び去っていくのです。閉めている窓の隙間にうまいこと平らな体を潜らせ、外の世界へ出て行きます、空高くまで飛んでいきます。 「おおい、おおい、どこへ行くの」 呼びかけても、帰ってきません。 その人は諦めずに鶴を折り続けましたが、何羽