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「断片小説?」 「と、俺は呼んでいる」 ある日の夕方。 おつかいの帰り道、僕は、変な人を目撃した。 夏が終わってもまだ暑いのに、黒い長いコートを着ている、男の人。 彼の手には虫取り網。そして、足元にはノートが広げて置かれている。ノートが風で飛ばないようにか、四隅に石が乗せてある。何してんだろう……。 うーん。 不審者かな。 学校の先生に報告しないといけないやつかな。 なんて事を、僕が考えていた時だ。遠くの方から、何かが飛んできた。空をゆらりゆらりと飛ぶ様子
僕は同性愛者なのだけど、両親から「孫の顔が見たい」とせがまれており、まぁ、僕も子供は嫌いじゃないし、と考えて赤ちゃんを造る事にした。 泥をこねて人間の形をつくり、呪文を唱えて魂を入れる。 昔どこかで買って読んだ本によれば、これで人間が出来上がる……筈だったのに、何が駄目だったのか……どうにもうまくいかなかった。泥が、人の血肉にならない。 泥は泥のまま、産声をあげた。 「ぼぶうああ ぼぶうああ」 赤ちゃんの泣き声といえば「おぎゃあおぎゃあ」だと思っていた。実際にはこん
とある研究所から流出したウイルスが、世界をゾンビでいっぱいにした。 「おい、坊主、ここじゃないのか」 「そう……そうですね、ここ、ここだ……」 僕達の目の前には、ボロボロになった建物。経年劣化というよりは、人の手で破壊されたような感じ。多分ゾンビか、それに抵抗しようとした人間が暴れた痕跡だ。 なにしろここは、ゾンピパニックが起こった最初の場所。 件の研究所。 「やっと着いた……」 僕達はこの研究所を目指して、ずっと旅をしていた。ゾンビで溢れる悲惨な世界をなんとか