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ウンコを投げつけられた思い出

小学校の頃、イジメられていた。
時期は、2回あり、小学校3年生と、6年生の2年間。
今思うと、人生で2年間だけか、とも思うが、小学生にとって、イジメから逃げ続ける1年は、とてつもなく長く感じたし、今でも結果的に暗い影を落としている2年間だ。

小学校2年までは、ボクは、学校で問題になる、悪いグループにいた。
小学校2年まで、佐藤くんという友達がいた。佐藤くんは、小学校2年が終わったら転校した。
ボクは小学校1年から6年まで同じクラスだったヒロくん、という友達がいるんだが、佐藤くんは、いわばガキ大将的な存在だった。ボクとヒロくんは、佐藤くんの舎弟になる感じで、一緒に遊んでた。
舎弟と言っても、小学校2年の頃で、佐藤くんにいじめられたという思いは無い。
佐藤くん、ヒロくんとボクは、廃墟になった家に侵入し、そこを秘密基地として、学校帰りにそこで遊んでいた。
その家は、1968年のカレンダーがそのままだったり、窓の下に、猫の死体が見つかったり、家財道具も何故かいろいろ残っていて、今思うと、「心霊スポット」等とうわさされそうな、本当に気味の悪い場所だった。
ヒロくんの自宅のすぐ近くだった。
周囲を囲んでいるトタン塀の隙間から、ボクらは忍び込んで、ガラスを割って室内に侵入し、放課後、長い時間、そこでダラダラ過ごしていた。
今思うと、携帯電話はもちろん、ゲームボーイ等も発売される前(何しろ、幼稚園の頃、初代ファミコンが発売された世代だ)、屋内で何をダラダラ話をしていたのか。。。しかし、いつまでいても、ボクらは楽しかったという思いがある。

学校でも何度か問題になった。
学校帰りの放課後、寄っていたから、「学校の帰りが遅い」と、親から何度も怒られた記憶があるし、どこからチクられた(密告された)のか、小学校の先生からも、何度も「空き家に侵入してはいけません!!」と怒られた。
何故か、首謀者は、佐藤くんだ!と、先生からも目を付けられ、担任だった、大学卒業したばかりの新任教師、木村先生も、手を焼いていた思い出がある。

そんな小学校2年の途中で、川上が転校してきた。
川上は、最初の日、ボクの小学校の制服(岡山県は、小学校にも制服があるのだ!)とは全く違うブレザーを着て、おとなしくしていた思い出がある。
川上は、いつの間にか佐藤くんやヒロくん、ボクとつるむようになった。
川上は、最初こそおとなしくしていたが、やがて、やんちゃっぷりが出てきた。ボクやヒロくんは、比較的おとなしい性格だったから、ヒエラルキーで言うと、No.2の位置に川上がついた。
しかし、佐藤くんの無法者っぷりというか、行動力の前に、川上はおとなしくしていた気がする。あと、何故か佐藤くんは、ボクを信頼してくれていた。ボクも佐藤くんには何でも相談したし、「親友」というイメージでいた気がする。
佐藤くんは、ボクが休み時間に、自由帳に描く絵を、誉めてくれたし、お気に入りのミニカーを共有したり、佐藤くんのお母さんも、ボクの家に来たりしていた。

ところが、その佐藤くんが、小学校2年の終わりに転校することになる。
我々のパワーバランスが崩れた。
小学校3年になると、川上が、ボクとヒロくんを支配しようとし始めたのだ。
何かというと、川上は、ボクとヒロくんを、つねるようになった。
肘や、太ももである。
今でも、「川上はつねるヤツ」という思いがある。
そして、命令するようになった。
「俺と一緒に帰れ!」
「俺と同じ行動をしろ!」

今思うと、転校生だった川上は、寂しかった、不安だったのだと思う。
休み時間ごとに、ボクとヒロくんを連れだして、一緒に行動をしなかったら、力で支配しようとした。
一番酷かったのは、忘れもしない、

川上は、ボクに向かって犬のウンコを投げてきた。

川上は手で持つのではなく、棒を使って。
見事、ボクのシャツに川上の投げたウンコが命中した。
川上は嬉しそうに「うわー!!ウンコマン!!ウンコマン!!」と笑っていた。

ボクは、ウンコがついた部分を水道で洗った。
ボクは、自慢ではないが、「泣かない」ということで有名だった。
小学校の間に学校で泣いた思い出は、ほぼ無いのだ。
ウンコがついた時にも、泣かなかったはずだ。

ただ、非常にショッキングだった思いだけは、今でも思い出す。
棒を持ってウンコを投げつけた川上の顔は今でも思い出す。
川上も、「今日は調子に乗り過ぎたかも!?」という顔をしていて、隣には、引きつって、仕方なく笑うヒロくんの顔もあった。

晴れた日だった。半袖だったから夏だったと思う。

小学校3年は、このように夏以降、川上に支配されていた。
歩道橋の上に川上がいて、ボクとヒロくんに唾を吐きかけられたり、何かというとつねられたり、とにかく川上に支配されていた。

そんな川上は、突然、3年生の3学期に転校していった。

ボクらの従属する生活は、そうしてあっけなく終わった。

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