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ライブレポ、というよりZeppワンマンライブそのもの、そして未来

 今から1年前、Zeppでのワンマンライブが発表されたとき、僕はぼろぼろ泣きました。
 ですが、意外なことに、ライブ本番はほとんど泣きませんでした。
 初めてのZeppライブ、OG集結という特別なライブ。前日は、眼が冴えて眠れなくて、ようやく眠りに落ちたのは午前四時過ぎでした。緊張だとか楽しみだとか、そういう理由ももちろんありますが「実感が湧かずふわふわした心地だったから」というのが一番大きかった気がします。
 午前11時、現地に到着すると、会場前には長蛇の列ができていました。メンバーののぼりが立っていて、電光掲示板には写真が表示されていて。否応なしに、気持ちは上がります。また、昨年マジパン運営から離れたKマネさんが、奥さんとお子さんを連れて会場に来てくれていたことも、ファンにとってはうれしいことでした。

 無事にグッズ購入を済ませ、公開リハーサル見学のため、会場へ入ります。Zepp Shinjukuは地下四階にフロアがあるので、観客は階段を下っていきます。途中のフロアには、メンバーの等身大パネルが置いてあります。

 結局「Zeppでライブをするんだ」という実感がようやく湧いたのは、フロアに入ったときでしょう。
「やっぱり広いなあ……」
 広くて高いステージ、後方には大きな階段があります。後ろの無限大形のライトは、8周年の「8」を意識したものでしょうか。後ろまでびっしり並べられた椅子、ミラーボール。ここで今から、ライブをするんだ。いや、このときでもまだ、本当には実感していなかったのかもしれません。
 やがて開場し、続々と人が吸い込まれていきます。当日券すら出ない、完全ソールドアウト。あんなにたくさんあった椅子が、すべて埋まる。
 14:30。開演を告げるOvertureが鳴ります。「待ってくれ、本当に始まるのか」正直僕は、そんな心境でした。
 しかし、そんな緊張は肩透かしを食らいます。舞台袖から出てきたのは、メンバーではなくちびっ子たちだったのですから。
 こんな演出は初めてです。なんだこれは、と戸惑っているうちに、メンバー登場。聞きなれた前奏が始まります。
「ま、わ、せー!」
 『ぱーりーないと!!』です! いつもの空気感にしてくれる一曲目として、これ以上はないでしょう。一瞬にして、我々はマジカル・パンチラインの世界に引き込まれます。ステージで踊るメンバー、子供たち。後ろのほうの観客までみんな、一斉にタオルを回します。あんなに広かったステージが、まったく広く感じません。特殊効果もめちゃくちゃかっこいい。

 2曲目は『Melty Kiss』です。ドリーミュージック移籍後ファーストシングルにして、マジパンの代表曲と言っていい曲です。もっともコールやMIXが入る曲でもある。盛り上がらないはずがありません。
 3曲目は、マジパンの自己紹介ソング『マジ☆マジ☆ランデヴー』です。6人時代に発表された曲ですが、歌詞は今のメンバーにアレンジされたもの。久しぶりに来るファン、初めてマジパンを見る人たちへの自己紹介も兼ねているのでしょう。堂々と落ちサビを歌う山本さんへの「はーちん!」コールが響き渡ります。ここまですべて前体制の曲だな、とこのとき気づきます。
 ここでMC。さすがにZeppでのワンマンライブということで少々気負いは見られるものの、ステージ上のメンバーはいつも通り笑顔いっぱい。
「盛り上がっていくぞー!」
 続いての曲は、ポニキャン時代で一番の盛り上げ曲と言っていい『マジカル・ジャーニーツアー』です。益田さんの「もーっと!」は会場一体になって腕を振り上げます。
 ノリノリのままで『Spotlight』に突入。ようやく新体制での曲です。歌詞の「ミラーボール」で、フロアのミラーボールを見上げたのは僕だけではないでしょう。照明がカッコいいZeppにぴったりの一曲です。
 激しい勢いのまま、名曲『名もなきヒーロー』へ。沖口さんが歌う落ちサビでは、紫のペンライトが回ります。次に持ってきたのは、ポニキャン時代からのパーティーソング『108煩悩Bomb』。やべえ、超楽しい。夢のZeppだとか、会場が大きいとか、そんなことまるで頭に浮かびません。ただただ、ライブが楽しい。とことんファンを楽しませる、容赦ないセトリです。
 続いては『Alright』。個人的にはとても好きな曲なのですが、普段披露される機会は少なく、意外な選曲だな、と感じます。しかし、その選択の理由はすぐに分かります。
 『Alright』は、メンバー自身がペンライトを持ち、サビで手を左右に振ります。そうか、新しいメンバーカラーでのペンライトの波を見たかったんだな、と。
 ここでMC、上がりに上がったテンションも小休止。続いては撮影可能曲、という予告のあと『Shiny Shose』の前奏が流れます。新体制においてもっとも盛り上がるうちの一曲ですが、もっとも撮影映えする曲でもあります。なぜなら、サビで指差しがあるから。カメラを構え、必死にメンバーを追います。
 ファインダーを通して見ることで、より分かることがあります。それは、メンバー自身がとても楽しそうなこと。緊張や不安、大舞台だからよく見せようという気負い等、一切ありません。今までで一番広いステージなのに、そんなことを感じさせず、とにかく元気いっぱい。いつものマジパンじゃん。いや、いつものマジパンのコアの部分をワンマン用にぎゅっと凝縮してる、と表現するのが的確でしょうか。

 短いMCのあと、ついに新曲が披露されます。「今のマジパンだから歌える曲」「体力的に大変」さあいったいどんな曲なのか、と期待し前奏を待ちます。
 音が鳴って、三十秒で感じます。
「やべえ、めっちゃ楽しい曲じゃん!」
 楽しくて、可愛くて、カッコいい。矛盾しているようですが、新曲『マジカル・トキメキハイビーム』は本当にそんな曲です。コールもめちゃくちゃ入れやすい。振りも可愛くておもしろい(話題の振付師、槙田紗子さんによる振り付けだそうです)。ライブ後のファン同士の話でも、絶賛の声しか聞こえてきません。未見の方は、お楽しみに。

 新曲でガンガンに盛り上がったところへ放り込まれたのが、激しい曲が多いポニキャン時代でも、もっとも激しいハードロックナンバー『万理一空Rising Fire!』です。
「いぃくぞぉ!!」
 いや、ここでその選曲は反則ですって。楽しくて楽しくて、フロアはもう狂乱状態。激しさをそのままに『私が私を燃やす理由』。カッコよすぎでしょ、マジパン。可愛いだけじゃないんだぞ、マジパン。このセトリは、古くからのファンならきっと大喜びのはず。会場のどこかで見守っているはずの佐藤麗奈も、きっと。
 ここで一転、照明が落ちステージは静かになります。
 そうして鳴ったのは『ひとかけら』のイントロ。
 いやだから、そのセトリは反則だって。元は浅野杏奈のソロパートだった歌い出しを、今は五人のユニゾンで歌います。僕は、心の中で、昔と今を重ね合わせます。
 この曲で改めて思うのは「メンバーみんな歌が上手い」ということ。決して歌メンではなかった沖口さん、吉澤さん、頼りなかった新メンバーたちが、とても成長したということ。そしてその姿を、OGたちや久しぶりに来たファンに見せつけられたということ。そんな充実した気持ちが、静かに胸を満たします。
 五人は最後、背中合わせで輪になります。吸い込まれるように消えるアウトロ。照明が落ちたステージ。
 次の瞬間です。
 ステージ袖から、四つの人影が現れます。
 いよいよ、OGメンバーの登場です! なんの前触れもなく始まる曲。聞き違えるはずもありません。心の底から、あの六人で、この九人で聞きたいと思っていた曲です。
「ウォウ、ウォウ、イェイ、イェイ!」
 マジカル・パンチラインの歴史においてもっとも大事な曲はなにか。答えは人それぞれである、と前置きしたうえで、僕は『もう一度』だと思っています。
 これまでいくつものピンチがありました。もうダメだと諦めかけたこともありました。でもそのたび、もう一度、もう一度と、こぶしを振り上げ前に進んできました。九人で歌うのに、これ以外の選択肢はありません。
 気になるのは、歌割です。最初、益田さん、山本さん、宇佐美さんの三人が後方の階段に上ります。前に立つのは、あの日の、あのころの六人です。
 待っていた。ずっと待っていた。もう一度、この六人での『もう一度』が聞けることを。この六人の名前を心から叫べる日を。小山さんのカッコいい歌声も、浅野さんの力強い歌声も、清水さんのキュートな歌声も、吉田さんの溌溂とした歌声も、あのころと変わらない。
 後半、前列と後列が入れ替わります。今の五人での『もう一度』です。あの六人での『もう一度』は最高だよ。でも、この五人での『もう一度』だって最高だよ。それ以外ない。
「みんな一緒に!」
 会場にいるすべての人が、声を限りに叫んだことでしょう。六人での最後のライブ、コロナ禍のため声出しはできませんでした。ようやく。ようやくです。三年越しの夢です。いや、初めてZeppでライブをしたいと思いを口にしてから、五年越しの夢です。グループ結成以来最大キャパでのライブという意味では、八年越しの夢です。
 現役メンバーもOGも今のファンも昔のファンもみんな一緒に、こぶしを振って、声を上げること。
 夢が、叶った瞬間です。僕の席から、沖口さんと浅野さんが目を合わす様が見えました。その瞬間、二人の目に涙が浮かんでいました。その姿に、僕もぐっときました。
 最後、九人が横並びになります。『もう一度』といえば、ラストのロングトーン。いったい誰が務めるのか。
 真ん中に立ったのは、宇佐美さん、そして小山さんでした。
 新旧二人の歌姫によるユニゾンのロングトーン。鳥肌が立ちました。すごい。すごすぎる。二人とも、まったく音がぶれない。音程も外れない。だが、どこまで伸びるのか。どちらが先に限界を迎えるのか。
 驚いたことに、終わりまでぴったり同時だったのです! 指揮者もいないのに、ここまで完璧に合わせるなんて。長年一緒にライブをしているならともかく、二人が同じステージに立つのは初めてです。本当に、すごい。二人ともすごい。
 感動的な『もう一度』から一転、MCではまったりした雰囲気が流れます。小山さんとハートを作ろうとして吉澤さんが振られていたり、浅野さんとはハートをしてもらえて喜んでいたり。懐かしいよ、このまったり感。これもまた、いつもの(四年前まで「いつも」だった)マジパン。
 でも、清水さんは、笑い半分ながら「手が震えてる」と口にしました。「私も」と浅野さん。そりゃあ、そうだよ。緊張しないはずがない。三年ぶりのライブ、夢だったZeppのステージ。浅野さん、清水さん、小山さん、吉田さん。本当に四人とも、今日このステージに立つ決断をしてくれて、ありがとう。感謝しかありません。
 こうなったらもう、次の曲はこれしかない。『ONE』です。ポニーキャニオンからの契約が切れ、根無し草になったマジパンが、ドリーミュージック移籍後に初めてもらえた曲。マジパン再出発の曲。ひとつになって前に進む曲。
「今日を超えて未来を掴んで」
 今日という日に、これほどふさわしい曲はないでしょう。落ちサビを担当するのは、旧体制と新体制を繋ぐ吉澤悠華。頼りなかった私だけど、今はマジパンのエースなんだ。そう言わんばかりの歌声です。ああ、はるるん立派になったなあ。そう感慨深くなります。
 今しか知らないファンに「昔のマジパン、すげえんだぞ」と言いたかった。昔しか知らないファンに「今のマジパン、すげえんだぞ」と言いたかった。
 それが、できた。まさにそんなステージでした。
 記念撮影では、なんと佐藤麗奈も登場します。
「もう、出にくいよぉ」
 そんなセリフとともにぬるっと出てきた佐藤さん。短い会話でもらしさ全開で沖口さんをいじります。これこれ、これもマジパンなんよ。MCでガツガツと、テンポよくメンバーをいじる感じ。すっかり消え去ったように見えて、でもやっぱり今のマジパンにしっかり、さとれなイズムは引き継がれているんです。

 現役メンバーに戻り、ラストスパートです。一発目は『渚のサーフライダー』。宇佐美さんの歌い出しが印象的な一曲。可愛さと楽しさを兼ね備えた新体制での代表曲のひとつ。感動的なステージの湿っぽさなど微塵もなく、会場を盛り上げます。
 続く『あいわなびー』もまた、新体制を象徴する曲でしょう。可愛さ全開、全員での「あいわなびー!」コールも楽しい。でも心の中に「そろそろ終わりかな」という予感も芽生えていて、寂しい。

 本編を締めるのは『これから、私!』です。一聴すると、ただのアイドルらしい可愛い曲かもしれません、でも、マジパンにとってはとても大切な曲です。これまで何度も、ライブの最後を締める曲として歌われてきました。
 もっとも印象深いのは、三人の卒業ライブでのパフォーマンスでしょう。椅子に座りながらのアコースティックヴァージョン。今でも、この曲を聞くと、あのときのことを思い出して胸が苦しくなります。
「大事なものならいちからまた集めればいいじゃん!」
 本当に、そうだよなあ。五人で始まって、一人抜けて、二人増えて、三人抜けて、また一人抜けて、ファンのあの人もスタッフのあの人もいなくなって。この八年間、いったいいくつのものがこの指から零れ落ちていったか。でも、ひとつひとつ拾い集めて、今こうしてZeppの舞台に立てた。まだまだ、これからだよ。
 メンバーがステージ袖へはけていって、すぐにファンからのアンコールが始まります。正直、声を出しすぎてもう喉は限界。でも、そんなのは構わない。これ以上ない音量でアンコールを響かせないと気が済まない。
 そうやって叫びながら「あとなにをやっていないっけ?」と考えを巡らせます。――ああ、あれしかないな。
 Tシャツに着替えたメンバーがすぐに登場。鳴る前奏。ほら、やっぱりあれですよ。
「ああ、未来を指さして、今、走り出した」
 マジパン屈指の名曲『今日がまだ蒼くても』です。いったい幾度、小山リーナによる歌い出しを聞いただろう。それを今、宇佐美空来が歌っている。本当に、宇佐美さん、歌が上手くなったな。表現力がぐっと伸びたな。そう実感します。
 MCでは、アルバムのリリースが告知されます! 沖口さんも言っていた通り、今のご時世、形あるCDがリリースできるのはとてもありがたいこと。
「というわけで、アルバムに収録される新曲をもう一度」
 『マジカル・トキメキハイビーム』おかわり来た! なんと、二度目の披露ではっきり聞こえるほどのコールが入っています。これはもう、対バンライブやフェスでも盛り上がること間違いなし。

 アンコールを締めた(と、このときは思っていた)のは『めろめろーりんぐ』です。そうか、マジパンは8周年ワンマンライブを、最新の2曲で締めたわけか。それはきっと、これから未来へ力強く進んでいく、という宣言です。
 タオルを出し、推しアピールをして記念写真を撮ります。

 こうしてZeppライブも無事に大団円……と思ったら、わがまま娘が駄々をこねます。
「やだやだやだー、せっかくのZeppライブまだ終わりたくない!」
 吉澤さんが、階段に座り込んでそう主張します。なんやねんこの茶番、と失笑した次の瞬間、前奏が鳴ります! 飛び出してくる子供たち。なんと『ぱーりーないと!!』おかわり! サビだけですが、再びタオルぶんぶん回す。超楽しい。
「もー一回!」
 そんな無茶な、と思ったら、また『ぱーりーないと!!』の前奏が鳴る! なんやこれわけ分からんけど楽しい! 回せ!! やけっぱちになってタオルぐるぐる。
 ラストは、マイクなしの生声で。
「ありがとうございました!!」
 そうして、本当に本当に、とてもとても楽しかったZeppライブは、幕を閉じました。

 そのあとの佐藤麗奈をゲストにしたトークショーも、とても楽しくて、書くことは山のようにあるのですが、ラジオ放送時までネタバレ禁止、とのことなので書きません。
 ただ一点、トークショーが始まるまでは「公開収録かー、マジキューションいらないからさとれなとのトークがっつりやってほしかった」と思っていたのが、終了後「マジキューションありがとう最高すぎる」になった、とは書いておきます。こうご期待。

 五人のメンバーについてそれぞれ、短く。
 宇佐美さん。本当に歌が上手くなったな、表現力がアップしたな、と実感したライブでした。本人もライブ前日「どう歌ったらいいか苦しい時期があった」と吐露していました。はっきり言います。今進んでいる道は、正しいよ、そらっち。そのまま進んでいった先にきっと「アイドル界ナンバーワン歌姫」の称号が待っているはず。

 山本さん。Zeppの広いステージをところせましと走り回る様は、ある意味今のマジパンの象徴でした。OGとのトークでも、メンバーの中で一番頑張って切り込んでいた。相変わらずから回ることもありますが(苦笑)ぐいぐい前へ行く勇気と根性は、きっと山本さんの一番の武器であるはず。情熱の赤を背負う山本さん、これからも期待しています。

 益田さん。「クール」なんていったい誰が言ったんだ? そう言いたくなるほど、特にこの日は表情が弾けていました。作った表情じゃなく、素のままの表情。こんなパフォーマンスができるなんて、三年前は想像もしなかった。益田さんが楽しそうにしていることが、なによりファンに笑顔をもたらしているにちがいありません。

 吉澤さん。本当に、本当に本当に、この三年間、成長した。久しぶりの先輩たちの前で、昔のようにはしゃいでみせる反面、堂々としたパフォーマンスを先輩たちに見せつけられたんじゃないかと思います。それが、我がことのように誇らしい。あと、さとれなさんに衣装を褒められてうれしそうなのが、本当によかった。

 沖口さん。とにかくただただ「ありがとう」と言いたい。あなたが続けてくれなければ、この日のハッピードリームはなかった。あなたがマジパンの魂です。最高のプロデューサーです。微塵もネガティブなことを匂わせず、ひたすらハッピーな空間を作り上げたこと。本当に、感謝しかありません。あと、セトリはマジで完璧だった。ありがとう。

 それに付け加えて、ひとつ。今回OGが出演してくれて、本当によかったなと思うのは、益田さん、山本さん、宇佐美さんに、OGたちのパフォーマンスを見せられたこと。だって彼女たち、六人時代のライブを生では見ていないんですよね。さとれなに関しては、会ったことすらない。マジパンの歴史を継承するという点で、これからのパフォーマンスにおいて刺激になるという点で(特に宇佐美さんが小山さんの歌を聞けたのはとてもよかった)これ以上ない貴重な機会だったんじゃないかな、と思います。

 というわけで、冒頭に戻ります。なぜ僕は、ほとんど泣かなかったのか。
 その答えはただひとつ。
「ただただ楽しかったから」
 それに尽きます。これはメンバーや佐藤さんも後に言っていたことですが「同窓会」だったよなあ、と。懐かしのメンバーが集まって、わいわい。そりゃあ、感慨深くはなります。でも、同窓会って、泣かないですよね?
 たしかにZeppは、夢の舞台です。でも、夢の終着点じゃない。あくまで通過点なんです。たとえば、昔の映像を編集した感動的な動画を流したり、涙なしには読めないような感動の手紙を読んだり。そういう風に、もっと感動を煽るような演出はできたはず。
 でも、しなかった。MCや演出は控えめ、新旧どちらのファンも楽しめるよう配慮したセトリで、とにかくライブを詰め込んで、ハッピードリームな空間を作り上げて。
 そこに、涙はいらないんですよね。
 もちろん、感動の涙を流した人を否定する気持ちは一切ありません。でも、涙以上に、幸せで楽しい「ハッピードリーム」があふれた空間だったな、という気持ちのほうが強い。
 カラー変更、戦える超楽しい新曲発表、ニューアルバムリリース。マジパンは、前を向いていますから。
 ライブを見ていて、強く思ったことがあります。Zeppっという広い舞台に、マジパンのパフォーマンスはまったく負けていないって。むしろ、狭いぐらいだって。マジパンには、もっと大きな舞台に立つだけのポテンシャルがある。そう確信するライブでした。
 Zeppが、ひとつの大きな区切りだったのはまちがいない。でも、沖口さん自身が口にしたように、次は椅子ありではなくオールスタンディングで埋めたいし、もっと大きな会場でもライブしたい。
 一ファンとして、思います。今が勝負所だ、と。
 Zeppソールドアウト。そのニュースは、必ずアイドルファンの間に回っているはずです。完売とかすげえじゃん、マジパン勢いあるな、と。
 人は、勢いがあるところ、楽しそうなところに引き寄せられるものです。そしてその「楽しそう」を発信するのは、我々ファン以外にありません。
 ライブに足を運ぶこと、友人を誘うこと、SNSで発信すること、特典会に参加すること、現場を新規さんが入りやすいいい雰囲気にすること。そしてなにより、自分自身がめいっぱい楽しむこと。
 その先にきっと、Zeppよりもっと大きな舞台が待っているはず。そう期待させてくれる、とてもとてもとても楽しいライブだった。最高のハッピードリームだった。
 そんな未来への祈りを込めて、この稿を締めようと思います。


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