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第三巻~オオカミ少年と国境の騎士団~ ③-2

     2
 
 犯人は国境を突破しようと、海辺か山、そのどちらかの町に潜伏しているはず。
 だとしたら、このディンガの町にいる可能性も高い。
「きっと、賞金だってかかってるでしょうし。あたしたちでとっ捕まえれば、国境は開通、路銀だって稼げるのよ。これって、まさに一石二鳥だわ!」
 アージュは翌朝、「とにかく騎士団の本部に行ってみる」と、オードを首にかけて宿屋を出て行った。
 犯人を捜すと言っても、旅人が不必要に町の中をうろつくとあやしまれる。
ならば、「数日の間だけでも、犯人捜しに協力させてください」と、騎士団の仲間になったほうが得だと思ったのだ。オードが同行したのは、元王立騎士隊である彼が、騎士団を見てみたいと言ったからである。
「この町の騎士団は失礼なヤツばっかりだーって、昨日はあんなに怒ってたのに。アージュってよくわかんないや」
「きっと頭の切り替えが早いんだろうね。僕は嫌いじゃないけれど」
 そんなことを、ランとアルヒェが宿の食堂で話していると。
 
「ただいまー。ああ、楽しかった♪ 昨日のうっぷんを晴らしてきたわよ」
 
 ブーツの音も高く、アージュが帰ってきた。
「騎士団の詰め所になってる、町の芝居小屋に行ってきたんだけどね。仲間になりたいなら剣の腕前を見せてみろっていうもんだから、ちょちょいのちょいで、三人もやっつけてやったわ」
 アージュは得意げに腰に手をあて、ランが注文していた山ぶどうのジュースをぐいっと飲み干してしまった。
「ああっ、オレのジュース~~」
「うるさい」
「痛てっ」
「やっつけたって、どうやってだい?」
 興味津々のアルヒェに、
「剣を弾き飛ばしてやったのよ」
 アージュはさっと、剣を払う仕草をしてみせた。
《アージュの剣さばきは実に見事だった。私も昔を思い出して、心躍った》
 興奮した口調でオードも言う。
「さっすが、アージュ!」
 ゼーガント諸島の遺跡で骸骨剣士相手に披露した剣の腕前は、ランとアルヒェも知っている。それに、ディスターナでの剣術大会も。
 けれど、元王立騎士隊のオードに「見事だった」と言われると、改めて感心してしまう。
「まあ、あいつらが全然たいしたことなかったっていうのもあるけどね。アルヒェが言ってたとおり、青年団がそれぞれ納屋で錆びてた剣を持ち寄っただけの、へっぼい騎士団だったのよ。カッコつけて騎士とか言ってるけど、馬に乗れないヤツも多いと見た」
「なあんだ、つまんないなー。それって、全然かっこよくないじゃん」
「まあ、今まで平和だった証拠だね」
 ランのぼやきに、アルヒェが苦笑し、オードも微笑ましく言った。
《ああ、我々が行ったとき、みんな剣を磨いてたよ》
 ランとアルヒェは直接見たわけではないが、ふたりの話でいかにこの町の騎士団が頼りにならないかということがわかった。
「じゃあ、アージュがいちばん強いんじゃないの?」
 ランの言葉にアージュは腰に手をあてて、「あったり前じゃない」と、ふふんと笑った。
「それで、あたしは明日から、青年団、じゃなかった、騎士団の臨時兵として雇われることになったから。……で、あんたたちは?」
 椅子に座ったままのランを、アージュがぎろっと見下ろす。
「え? オレたち?」
 わけがわからず、ランが自分の顔を指さすと、アージュは怒りで唇の端をひくつかせた。
「もしかして、今までなにもしないで、くつろいでたわけ?」
「そうだけど?」
 のほほんとアルヒェが答え、アージュが肩を震わせながらランに近づく。
「わわっ?」
 いきなりがしっと襟元をつかまれ、床の上をずるずると引っ張られたかと思うと。
「仕事、探してこーいっ!」
 ランはアルヒェともども、宿屋の外に追い出されてしまったのだった。
 
 
 
   ♪ 金銀財宝 ざっくざく~~
     おいらは元気な 穴掘り職人
     雨の日 晴れの日 曇りの日
     お宝 夢見て 穴を掘る♪
 
 適当につくった歌を歌いながら、ランはツルハシで穴を掘っていた。
 ディンガの町から少し行った場所に、銀が採れる鉱山があり、ランはそこで働くことになったのだ。もちろん、アルヒェも一緒だ。
「ごきげんだね、ラン」
「うん、こうやって身体動かすのって、なんか楽しくって」
 鉱山の中は道が迷路のように枝分かれしており、ランは「慣れないうちはここを掘れ」と親方に案内された穴を、アルヒェと一緒に掘り進めることになった。
 カンテラに照らされた坑道の壁には、ランとアルヒェの影が映り、ちらちらと揺れている。
 
「お宝、お宝、出て来い、お宝~~っ」
 
 ランは期待を込めて、ツルハシを振り下ろす。
 アルヒェとふたりで町の大きな酒場に職探しに行ったとき、この坑道と酒場の皿洗いとどちらにするか選べといわれたのだが、ランとアルヒェは迷わず、坑道で働くことにしたのだ。
 ランは銀が採れると聞いて「お宝が出るかも~~」と思い、アルヒェは「掘っているうちに古代の壺かなにか発掘できるかもしれないなあ」と、それぞれ動機は違っていたのだが。
「♪金銀財宝、ざっくざくー おいらは元気な穴掘り職人~~」
 ザクザクとツルハシを振るっていると、目の前の岩盤の中から、丸い石のかたまりがごろんと転がり落ちてきた。
「んん、なんだろ?」
 ランはカンテラを片手に、落ちてきたメロン大の石の前に座り込む。
「もしかしたら、宝石の原石だったりして~~」
 お気楽なことを言いながら、ぺちぺちと表面を叩いていたら、
「なにか見つかったかい、ラン?」
 そばでツルハシを振っていたアルヒェが、手を止めてやってきた。
「お、ずいぶんまん丸な石だね〜」
「うん! これ、磨けばキラキラの宝石になるかも!」
 ランがわくわくしながら言うと、
「いやいや、もしかしたら、古代の競技大会で使われた、砲丸投げの球かもしれないよ」
 と、アルヒェが瞳を輝かせた。
「もしかして、このあたりに古代都市でもあったの?」
「ううん、あったらいいなあ、という希望的観測のもとなんだけどね〜」
 アルヒェは、ぽりぽりとこめかみを掻くと、服のポケットから巻き尺を出して、石の大きさを測り出す。
 すると、後ろから声がかかった。
「おい、おまえら、なにをやってるんだ?」
 ヒゲもじゃのごつい身体つきの男が、手押し車を押しながら、訝しげに近づいてくる。
採掘で出てきた余計な土砂を、運び出しに来たのだ。
「ったく、ただの石ころで盛り上がりやがって。悪いガスでも吸ったかい?」
 くんくんと鼻をひくつかせる男に、
「いえ、そういうわけではないんですが……」
 アルヒェは言って、「あれ?」と手押し車に釘付けになった。
「それは、いったいなんですか?」
「は? ただの土や砂だが?」
「ですが、その上に載ってる茶色の石は……ちょっと失礼」
 そして、アルヒェはその石を手に取ると、
「ふーむ、これは珊瑚の化石かもしれないぞ」
 と、観察をはじめてしまったのだ。
 さすがは腐っても学者のアルヒェ、少しでも好奇心を刺激されると、仕事のことなど忘れてしまうらしい。
 そして、数時間後。
「さあさあ、おまえはこっちだ!」
 と、アルヒェは鉱夫に向いていないと外に追い出され、坑道の入り口にあるテントで、掘り出した金属を計測し、ノートに記す記録係にされてしまったのである。
 しかし、アルヒェは落ち込むどころか、「いやぁ、僕にぴったりの仕事だね」と喜び、「なにかおもしろいものが出たら持ってきてね」とランに言って出ていった。
「ちょっと、さびしいけど、しょうがないか~~。ようし、オレひとりでもがんばるぞ!」
ランはツルハシを振り上げると、高々と叫んだ。
「めざせ、一攫千金!」
 
     
 
 お昼を知らせる町の鐘が、坑道の奥までかすかに響いてくる。
「あれ? もうお昼なんだ?」
 おもてのまぶしい太陽の光に目をしばたかせながら、ランは食堂へ向かう。
 食堂は坑道の出口から少し歩いたところにあり、中には長イスと長テーブルがずらりと並べられていた。
 小屋の奥には大鍋がひとつ置いてあり、そこから好きなだけスープを持って行く仕組みになっているようだ。となりのテーブルにはパンもたくさん載っている。
「うわ、おいしそう~~!」
 アルヒェを探すのも忘れ、ランはさっそく食べはじめた。
 コトコト時間をかけて煮られた具だくさんのスープに、ほんのり甘い、バターロール。
「うわあ、このスープ、ほっぺが落ちそうだよ~~。それにこのパンだって、いくらでも食べれちゃう! うわあ、うわあ、うわあ」
 こんなふうに涙を流しかねない勢いで、感動しながら舌鼓を打っていたら、
「となりの席、いいかな?」
 と、さわやかな声がランにかけられた。
 ふと横を見れば、ふわりとした巻き毛の、人懐こそうな青年が立っている。
「急に声をかけてごめんね。君が、あまりにもおいしそうに昼ご飯を食べていたから」
 青年はそう言うと、
 
「ぼくはルージン。この食堂の料理人なんだ」
 
 と自己紹介してきた。
「え? それじゃあひょっとして、このスープもルージンが作ったの?」
 ランはついつい興奮して、スプーンを握りしめてしまう。
「これ、すっごくおいしくて、オレ、めちゃくちゃ感動してたんだ」
「そうかい? それはうれしいな」
 ルージンはにこにこしながらランのとなりに座ると、
「これは、隠し味にコショウとケチャップが入ってるんだ。ぼくの力作だよ」
 と説明した。
 単純で素直なランは、「ホントだ! トマトの味がする! それにコショウのかすかなピリカラ感もたまらないよ~~」と、せっせとスープを口に運ぶ。
「喜んでもらえて光栄だね。ところで君も、国境で足止め食っちゃったクチ?」
「うん。オレ、ラン。ホントはランバートって名前なんだけど、ランでいいよ。今日からここで、仲間と働いてるんだ」
「そっか。ぼくも昨日からここにいるんだ」
 ルージンはちょっと考え込むような顔になると、「ほんとに困っちゃうよね、泥棒騒ぎ」とため息をついた。
「ぼくは料理人兼療術師でね。立派な料理人になるために、世界中を修行して歩いているんだけど。その途中で、国境封鎖に遭っちゃって……。でも、いいこともあったかな? 君みたいな子に、料理をおいしいおいしいってほめてもらえたから」
「うん、ルージンの料理は最高だよ!」
 ランが大きくうなずくと、
「よし、気に入った! 君だけ特別に、味見をさせてあげよう」
 ルージンが食堂の奥の扉――厨房を指さしたのだった。
 


「おいしい! このミートパイ、すんごくおいしいよ〜!」
 ランが叫ぶと、「まだまだいっぱいあるからね」とルージンが笑う。
 調理台の上には魚のムニエルやミートパイ、じゃがいものサラダなどがところ狭しと置いてあった。
「これからの献立の参考にしたいんだ。ランの意見を聞かせてよ」
「うん! どれもおいしいよ! どれを出してもオッケーだよ!」
 一心不乱に食べ続けるランに、
「それじゃあ、参考にならないよ……」
 ルージンがくすっと笑う。
「たとえば、もっと薄味がいいとか、食感はもう少しやわらかめがいいとか」
「ううん、文句なし! これから毎日ルージンの料理が食べられると思うと、オレ、しあわせだな~~」
 ランはミートパイをごくんと飲み込むと、「んまーい」と、うっとりと天井を見上げた。
 それからゆっくり視線を下ろしていくと……壁に取りつけられた棚に、大きくてまるいケーキが載せられているのに気がついた。
 ナッツや干しブドウをふんだんに入れた、チョコレートケーキだ。
「ね、ルージン! あれ食べたい、あれ!」
 ランがテーブルから身を乗り出して叫ぶと、ルージンはたちまち困り顔になった。
「あれは、今はダメだよ」
「ええ〜っ、なんで?」
 
「あれは、チョコレートを生地になじませるために、作ってから何日か置かなくちゃいけないんだ。だから今はダメ」
 
「ふーん? 残念だなあ。それじゃ、食べ頃になったらすぐに呼んでよ。オレ、まっさきに駆けつけるから!」
 ずいずいと身体を寄せてくるランの勢いに押されて、ルージンは「わかったわかった」と両手を広げて、うなずいたのだった。
 
     
 
 一方、その頃、アージュたちは。
「おい、新入り! あやしいヤツがいないか、見回りに行くぞ!」
 騎士団の青年に声をかけられ、町の中を歩いていた。
 アージュと組んだ青年の名前はホルト。今年十八になったばかりで、頬にはうっすらとソバカスが浮いている。
「いいか、新入り! 気を抜くんじゃないぞ! どこに凶悪犯が隠れているか、わかったもんじゃないからな! それから新入り、俺の足を引っ張るんじゃないぞ!」
「んもぉ、新入り、新入りってうるさいわね!」
 ホルトの前を歩いていたアージュが、振り返ってわめく。
「新入りでも、剣の腕はあんたより上よ!」
「ぐっ……」
 痛いところを疲れたホルトの顔が、見る見るうちに真っ赤になる。
「う、うるさいぞ、新入り! 俺の前を歩くんじゃない!」
「あ、そ。じゃ、お先にどうぞ。その代わり、危険なことが起こったら、真っ先にあんたが立ち向かうんだからね」
 どうぞ、と手のひらでうながすアージュの横を、ホルトが鼻息も荒く、ドスドスと歩いていった。瞬間、アージュが大声で叫ぶ。
「ああーっ! その牛小屋の陰に、あやしい人影がっ!」
「ぶえっ!?」
 驚いたホルトが妙な声を出し、その場で飛び上がる。
「な……っ! お、おまえ、この俺をだまそうとしてるんじゃないだろうな?」
「まっさかぁ。ホントにあたし、見たんだもの。ほら、さっさと行く行く! 早くしないと逃げちゃうわよ!」
 アージュにせっつかれ、ホルトはおっかなびっくり、小屋の陰に近づいていった。
《アージュ。今、言ったことは本当なのか?》
 ホルトが充分離れたところで、オードがこっそり訊いてくる。
 ――と。
「ぎゃああっ?」
 アージュが返事を返す前に、ホルトの悲鳴が聞こえてきたではないか!
《いかん、アージュ! ホルトの身に危険が……!》
 転がるようにして、ホルトが走り出してきた。その背中に、牙を剝き出しにした大きな野良犬が追いすがる。
「た、助けてくれぇ!」
「あら? 人かと思ったら、凶暴な野良犬だったのね〜」
 アージュがしれっと言うと、
《わざとだな……》
 とオードが困ったようにつぶやいた。
 そうこうするうちにも、ホルトはアージュの前を横切り、犬に追われてどこかへ消えてしまった。
「まったく、単独行動したいんだったら、最初から言ってほしかったわ」
 アージュはわざとらしくため息をつく。
 そして、しばらくののち。
 アージュが牛小屋の前で休んでいると、身体をすり傷だらけにしたホルトが戻ってきた。
「ふふふ、見たか、新入り! 善良な町の人を守るため、凶暴な野良犬を町外れに追いやってきたぞ! これも立派な騎士の務めだ!」
「……ま、まぁ、そう言えなくもないわね。じゃ、見回りを続けましょーか」
 強がりを言うホルトを先頭に、丸太で造った民家の町を行く。
 すると、ふたりの目の前に、今度は井戸があらわれた。
「これは、何年か前に水がなくなった涸れ井戸だ。もしかしたら、凶悪犯はこの中に横穴を掘って隠れているかもしれん!」
「まっさか~~」
 ホルトの無理矢理な推理に、アージュは半ば、あきれてしまった。
 
王冠を盗んだ盗賊が、この町に潜んでいるかもしれない!
 
という推測は平和な町にとって、とても刺激的なことなのだろうが。
(はりきるのはいいとしても、頭悪すぎ)
「第一、入るのはいいけど、どうやって出るのよ?」
「ふふ、読みが甘いな、新入り。つまり、協力者が縄ばしごをだな……」
「それじゃ、百歩譲ってそうだとして、あんたが言うところの『善良な町の人』がその協力者ってわけ?」
「ぐっ……」
 涸れ井戸をのぞき込んだまま、黙りこんでしまったホルトに、アージュが大きくため息をつく。
「とにかく! 気になるって言うんなら、あんただけで行きなさいよ」
「なんだと、新入り! こういうときは率先して中に入るのが新入りの役目だ!」
「んまぁ! か弱い女の子に、なんてひどいことを言うの!?」
 突然、鼻に抜けるような声で、アージュが瞳を潤ませる。
「それが強きをくじき、弱きを守る騎士団の物言いとは思えませんわ!」
「か、か弱いだと~~? 昨日、俺たちをさんざん痛ぶっておきながら、どの口がそういうことを言うんだ!」
「この口」
「ぎゃ~~っ!」
 アージュに背中を押されたホルトが、頭から涸れ井戸に落っこちていった。
 あとに残ったのは、ぎゃー……ぎゃー……と幾重にも反響する悲鳴だけ。
「きゃああっ、大丈夫ですか、ホルトせんぱーい!」
 わざとらしい声で叫ぶアージュに、「こんなときだけ、先輩言うな~っ!」と切れ切れなホルトの声が聞こえてきた。
《あ、哀れな……ホルト》
 オードの低い声が、山の冷たい風の中に溶けていった。
 
結局、そのあと、騎士団の本部に駆け込んだアージュが「ホルトさんが井戸に落ちちゃいました!」と報告し、ホルトは無事に助け出された。
 幸いにして、すり傷以外に怪我はなかったのだが、ホルトは涙と鼻水を大量に垂れ流しながら、「さ、さようなら~っ」と去っていった。
「ホルトのヤツ、今のは騎士団を抜けるという意味か?」
 騎士団の副団長ヒースが、わけがわからないというような顔をした。
「勇敢な先輩を失って、とても残念だわ~~」
「……君、ホルトになにかやったのか?」
「いーえ、なにも。ホルトさんはさっき、野良犬に狙われたあたしを助けるために、町外れまで追いやってくれた、とても勇敢な方ですよ?」
 しれっとした笑顔で、アージュが答える。
(またアージュの噓が出た……しかも、楽しんでいる)
 お小言のひとつも言いたかったが、ヒースが隣にいるため、オードはうかつに声は出せない。
(しかし、仮にも騎士団を名乗るなら、もう少しちゃんとしてほしいものだ)
 この町の青年団が今回の事件にかこつけて騎士団と名を変え、町の見回りを強化するのは治安的に見ればいいことなのだが。
(騎士たるもの、その職務に誇りを持ち、命を賭ける覚悟がなければならぬ)
 元王立騎士隊のオードは、ひとり密かに正義感に燃えるのだった。
 


(3巻・第三話-3へ続く…)
 

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