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月長石の京都ぶらり ~祇園祭~

 世間は暑くなってきた。京都も連日、尋常じゃない蒸し暑さで、すっかり参ってしまう。
 そんな夏の入り口で、京都の町を彩るものといえば祇園祭だろう。
 修学旅行などで行ったことのある方も多いかも知れない、八坂神社のお祭りで、7月1日から神事が始まる。関係者はこの間、断面が八坂神社のご紋と似ているから、という理由でキュウリを食べないとか。

 祇園祭は疫病封じのお祭りとして始まったが、コロナ禍真っ盛りだった時は、人混みを避けるため、巡行がなかったり出店が出なかったりと、少々本末転倒なことが起きていた。仕方がなかったとは言え、神様も寂しさをおぼえたかも知れない。

 今年(2023年)はどうやら通常に戻るようで、京都の夏が来るな、と改めて感じている。

 しみじみする一方で、私にとっての祇園祭の印象はズバリ「熱中症」だ。前前夜祭の宵々山や前夜祭の宵山、山鉾巡行の当日、どの日に見に行くかは関係なく、行くと必ずバテて、家でぐったりしていた。宵々山、宵山の場合は夜なので、多少マシなのだが、先にも書いたとおり、京都の夏は耐えがたい蒸し暑さである。夏に弱い私なのに、一応はしゃいで浴衣なんか着たりして、草履の鼻緒が痛いのも我慢して、友達とかき氷を食べたりクレープを食べたり、あれやこれやと楽しむのだが、あとでしっぺ返しを喰らっていた。
 当時はまだ「熱中症」とは言わず、「熱射病」という言葉が一般的で、「水をこまめに飲む」などの習慣は今ほど根付いていなかった。ハンディファンもなかった。私が撃沈していたのは、きっとそのせいだと思っている。

 とはいえ、鉾の上から聞こえてくる、祇園囃子の「コンチキチン」の音を聞くのは、何だかワクワクするものだ。

 他県に進学して、祇園祭に行かなくなって久しいが、つい最近、人手不足の鉾町の友人に頼まれて参加している、という若い男性と話す機会があった。
「もう、あッついよ!めっちゃ大変!ダラダラ歩いてるうちに溶けそうになるよ!日焼けもすごいしね!」
 と、今年も参加する予定の彼は言っていた。大変そうだな、と思う一方で、動き出す日を待つ山鉾の堂々たる様、眺める人たちの笑顔、出店から聞こえる楽しげな声などなどを思い出すと、また行きたくなってきた。

 手術した膝が完治して、何の制限もなくなったら、新調した浴衣を着て、またはしゃいでみようか。

 とりあえず、今年の祇園祭が恙なく行われることを祈っている。

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