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単純な言葉の複雑なニーズ

商品企画は机の上で考えるより、ユーザーに直接聞いた方が良いなどと言われます。
顧客は顧客自身のニーズを理解しておらず、例えばPHS全盛の時代にどんな携帯電話が欲しいか聞いたところで、昨今のスマートフォンのような機能を上げる人はいないだろうと言われています。
顧客が自分のニーズに気付いていないことがある一方で、聞き手が顧客のニーズを理解しきれないこともあります。

Q:どんな炊飯器なら買う気になりますか?
A:ご飯が早く炊けるなら買いたいです

こんなやりとりがあったとします。
あなたならどんな炊飯器を開発したら良いと考えるでしょう。
炊飯器には早炊き機能があるので、普通の炊飯器で良いでしょうか。
それとも浸水や蒸らしを短くして一般的な早炊きよりも更に早くするべきでしょうか。
それとも加熱方式や材料の米自体まで手を加えて世界最速を目指すべきでしょうか。
正解は分かりません。何故なら顧客の「早く」に何が含まれているか分からないからです。

炊飯が早いとはどういうことでしょう。
相対的に早いのか、絶対的に早いのか。
待ち時間が短いのか、待っていると自覚している時間が短いのか。
もしかしたら炊飯ボタンを押すまでのプロセスが短いことを望んでいるかもしれません。

顧客に聞く、それは企画を立てる手法の正解の一つです。
正解の一つではありますが、聞き方次第で有益にも無益にもなってしまうのです。
特に主観でしか語れない形容詞には注意をしましょう。

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