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ニュージーランドが合わない人/私が思うこの国の良さ

バーテンダートレーニングで仲良くなった中国の友達が、「来月からオーストラリアに行く」という。
ニュージーランドでのワーホリVISAは、私と同じあと9ヶ月残っているのにも関わらず。

理由を尋ねると
何もないから

そうか!と驚いた。

彼女は過去に上海に住んでいて、
ニュージーランドは交通の便が悪いし、
街は小さいし、店はすぐに閉まるし、
オーストラリアに比べて給料は低いし、
「つまらない」のだそう。

もう、本気でニュージーランドが嫌そうだった笑


ある程度、有名な観光地を1ヶ月かけて1人で全部回ったらしく、もういいや、ってなったらしい。

そうか〜悲しいけれど、やっぱり有名場所ではなくて、私はローカルな人しか知らないスポットとかにこそ楽しみが詰まってると思うなぁ、と思いつつ。

彼女はあまり積極的にしゃべる方ではなさそうに見えたので、もしかすると心躍るような出会いもなかったのかもしれんなぁ、とも思いつつ。

そして1人で全て回るのは相当、寂しかったんだろうなぁと思いつつ。


確かに同じようなことを言ってニュージーランドにもう飽きている人は結構沢山見てきた。

彼らのフィルターを通してみるニュージーランドは「何もない」かもしれないが、

私というフィルターを通して見るニュージーランドは、「豊か」でしかないと思っている。


確かにニュージーランドは、交通の便に関していうと本当に不便ではある。
最も栄えたオークランドのバスではキャッシュが使えないという謎システムであるし、
ほとんどの都市に電車はないし、バスは1時間に一本くらい。
北と南に別れた国の島の移動では、橋がないのでフェリーを使わなければいけないし、
ガソリンも高い。家賃も高い。
水道もガスも、野菜も高い。

なのに、オーストラリアと比べたら賃金が低い。

人は少ない。遊べる場所もない。


不便な点はたしかに頷ける。


お金、人、街、交通、何か物質的な「豊かさ」を求める人には、この国は向いていないと思う。


ニュージーランドに向いている人は、私が思うに「非物質的な豊かさ」を求める人。

もっと言うと、
物が溢れた社会から抜け出し、
資本主義から少し離れたところで、
お金や便利さでは測れない「価値」を見出したい人。


私が思うに、
オーストラリアは「稼ぎたい」「仕事を得たい」「便利で整った生活がしたい」といったことを求めている人に向いていて、

ニュージーランドは、
「不必要な物を捨てたい」「物質的な社会から抜け出したい」みたいな、僧侶みたいに何かをそぎ落としたい人に向いていると思う。

私がこの国に来て豊かだなぁと感じるのは、

  • すぐにアクセスできるところにある
    壮大な自然

  • LGBTQ、マイノリティ、フェミニズムへの意識の高さ

  • オーガニック、サステナブルへの意識の高さ

  • フレンドリーな人が多く、
    みんながお裾分けし合い、助け合える社会


といったところだろうか。

ちなみに、ガスや水道の公共料金が高いのは、
原子力発電に一切頼っていないから。
それらに頼れば、料金も安くなる。しかし自然や国民の安全を守るために、ニュージーランドは徹底的な核禁止国。
電力の8割以上が、再生可能エネルギーでまかなわれているそう。(凄い!)


またオーガニックの野菜やサステナブルな日用品だって、普通のものと比べたら値段は「高い」けれどニュージーランド人はこぞって
「地産地消」「オーガニック」「サステナブル」な商品手に取る人が多い。


アニマルウェルフェアの意識も高い。
卵を買うときは「フリーレンジエッグ」。
柵のない環境で育った卵を買うのがもはや当たり前のようになっているし、


レストランやカフェに犬を連れて食事をとることも当たり前になっている。


「値段」では測れない「価値」。
金額の安さや便利さという「手っ取り早い」豊かさではなく、
大切な自然を守ること
マイノリティへの徹底的な支援
動物を大切に思うこと
などの長期的な目で見た豊かさに価値を置き、尊重している。
すごくシンプルで彼らにとっては当たり前のことなんだけれど、


その選択が、いつも格好いい。


政府の決断も、いつも潔くて格好いい。
そんな選択が社会全体で出来ている国って、
なんて豊かなんでしょう。


私が1番、この国で一番すごいなぁと感じることは、「人間関係の豊かさ」かなぁと。

何かあったら必ず誰かが助けてくれる国上位であるのは間違いないと思う。

理由は私が思うに、人口が少ないからと、人を助けることに見返りを求めない国民性が理由なのでは、と思っている。


田舎に行くと完全オフグリッドな生活(一切電力に頼らないこと)や
自給自足で生活している人もいて、
野菜や果物などはお隣さん同士で分け与えるのが日常茶飯事。
またこの国では、「家の手伝いや掃除をすると、家賃無料」のようなお金に頼らない「ワークエクスチェンジ」も頻繁に見かける。


多くのバックパッカーズで、清掃をしてくれる住民を無料で住まわせたり、
私が通っていた語学学校では、午後清掃をする代わりに授業料が無料、という制度があった。

人口が少ないから、日本のトヨタのような大企業はまずないし、だからこそ資本主義の影響をあまり受けていないようにも感じる。


スキル交換で十分にまかなえる国の小ささだから、ボランティアやお金のやり取りが発生しないような人助けにも、積極的なんです。きっと。


ニュージーランドの人って、人を助けることが回り回って自分を助ける事になる、ということを自然に知っているような人達だなぁと。

見返りを求めないギブアンドギブな姿勢がこの国は本当に素晴らしいと感じる。


あとは時間。
この国では時間の使い方も豊か。

ほとんどの人が残業をしない文化。
ニュージーランド人は「働かない」Lazyな人が多いと言われているけれど、
それはみんなのライフワークバランスが「ライフ」の方に重きを置いているからかなぁと。

家族や恋人と時間を過ごしたり、
1ヶ月休みをとってホリデーへ出かけたり。

皆んなが定時に上がっても、
レストランやスーパーが早い時間に閉まっても、
この国の給料は上がり続けているし、
人々の幸福度ランキングは常に上位!

日本では、一億人以上の人がいて、
あれだけ沢山の人が残業をしているのにもかかわらず
給料が上がらない、、、。


全てのことを全力でパーフェクトにこなすのが美徳であると、日本にいたときはなんとなく肌で感じていたけれど、
こっちの人は全く反対で、
みんながほどほどに働いて、できない分は
「みんなで助け合おう」みたいな感覚。

何に優先順位をつけるかって本当に大事。
仕事?  家族?  お金? 人生?
身を粉にして働いている人を本当に沢山見てきたし、
家庭環境が崩壊していても、夜遅くまで残業しているお父さんも沢山見てきた。

何があなたにとって本当に大切なのか、
私自身も自分の人生でしっかりと優先順位を付けてこれてなかったなぁ、と今感じている。

そしてお金のやり取りがなくても、「スキル」の交換でお互いが豊かになるというシンプルな気付きと、みんなで無理せず助け合って生きていくこと。

それで豊かに成り立っている国をこの目で見ると、日本人が学ぶべきところなのかも、と思ったりする。




お金、便利さ、モノ、仕事。
多くの資本主義国家で「豊かさ」の基準になっているものは、果たして本当の豊かさなのかと。
何故私はそう思って生きているの?
もう少し証拠が必要なのでは?
と最近は考え始めた。

この国で学んでいることは、

私が求める豊かさとは、
「人と人とが助け合って生きていくこと」
「手つかずの自然がそこにあること」
「愛」

だなぁ。


と日々感じています。



もちろん、ニュージーランド以外の国も素晴らしい国は沢山あって。
北欧も行ってみたいし、ドイツの教育環境、スイスの働き方環境も本当にフレキシブルで素晴らしい。日本のサービスのPoliteness(礼儀正しさ)は間違いない。
どんな国だって素敵な国と思う!


でもなんだろう、
この人口の少ない、
なにもかもが「不便」で小さな国だからこそ、
私はニュージーランドから「学びたい」と思ったし、一生ここにいたいと思っている。


人の価値観は人それぞれなんだなぁ、と本当に感じた出来事だった。


私の親友もストレスフルなアメリカ社会から抜け出して永住権を取ろうとしている。

彼がいうには
ニュージーランドは「Less is more(少ないからこそ豊か)な社会だ、と言っていた。


Less is moreって「足るを知る」のような
日本人にとっても「禅」や「仏教」で馴染み深い思想。


やっぱり、
マオリと日本人の祖先は、似ているところがあるなとここでも感じます。


ニュージーランドって、

「私って何がしたいんだっけ」

というような、人生に疲れて一旦リセットしたいような人にとっての、「リトリート」のような場所でもある。
人生の断捨離がしたい人、
精神的な「豊かさ」を求めている人には
是非ニュージーランドはお勧め。


来てよかったな、って毎日思う日々。
こんな経験をさせてくれて本当にありがとう

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