[小説・ユウとカオリの物語]共通点 │ユウ目線6話
フフ......
あなたとわたしの共通点、
まだまだたくさんあるのよ?
それはまた、その内ね。
いよいよ、今日がレッスン初日。10時からなのになぁ、ずいぶんと早く目が覚めちゃったよ。まるで遠足前の子供、だよな。まったく。昔からずっと変わらない。仕事の時は中々起きれないのに。どうやったらこの子供っぽいところが治るんだろうな。やれやれ。
朝の5時半に目が覚めた僕は、ブツブツと言いながらもやけに気分の良い目覚めに、2度寝は諦めてカーテンと窓を開けて、外の風を入れた。まだ2月。暖房で温まった部屋に、冷たい空気がサーっと入ってきた。
うぅ……寒い!
朝の日課にしている筋トレを軽くやって、シャワーを浴びて、朝食。いつになく食欲もあって、ご飯がやけに美味しく感じた。
ふう、なんだか良い朝だよな。天気もいいし。気分も良い。なんてったって今日はレッスン初日だもんな!だけど、カオリさんってやっぱり不思議な人だよなぁ。この前はウイスキーも進んで、かなり話し込んじゃったけど。お酒強いよなぁ。でもあんなに自分のこと、色々話してくれるなんてびっくりだった。SEやってて、プログラマーの僕と職業が似てて。他にも好きな本とか歌とか、色々共通点があって。そうそう、生まれた日にちも月は違うけど同じだったんだよ。だから話盛り上がったよな。うん。共通点が色々あるって嬉しいな。でも......共通点、まだまだあるって言ってたけど、なんだろう。いつか教えてくれるかなぁ。
僕はカオリさんのあのいたすらっぽい笑顔と話を思い出して、ニヤニヤしながらご飯を口いっぱいに頬張った。
だけど僕の突然のカミングアウトには顔色一つ変えなかったよな。ま、女子なのにずっと「僕」なんて言ってるんだもん、ククク...わかるか。それにしても、カオリさんのあの時のあの反応だよ。
「わたしもセクマイの友達が何人かいるのよ。FTMの友達もいるわよ」
なんて言ってたけどさ。いくら友達がいるからってセクマイじゃない人がセクマイとかFTMなんて言葉使うだろうか?......もしかしてカオリさんも......いやいやいや、何考えてんだ僕は。期待しちゃってるじゃん。それに、カオリさんは僕なんて範疇にもないんだろうよ。10コも下なんだし。カオリさんからしたら、僕お子ちゃまだよなぁ。バツイチだって言ってたけど、どんな人が好きなんだろうなぁ......って......いやいやいや。何考えてんのよ?いや、まて!だよ?今日がレッスン初日じゃないか。マジメにいかなきゃ。どんな顔して行くつもりなんだよ。ニヤついちゃってへんなヤツだと思われたらどうすんのよ。
あーーーっ!!ダメだダメだ!
せっかくこれから新しい勉強を始めるんだよ?余計なことは、考えない!真面目にいこう!
僕は心の葛藤と興奮を抑えながら、これから教わるであろうWEBプログラミング言語の本をカバンに入れて、家を出た。
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