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[小説・ユウとカオリの物語] ユウの憂鬱 -ユウ目線 その2-

 昨日のあの人...…カオリさん、か。あの、懐かしい香りと懐かしい感じはなんだったのかな。どっかで会った覚えもないし。だけどそのせいなんだろうか。初対面の人の前であんなに泣くなんてな。普通びっくりするよなぁ。自分でもびっくりしたけどさ。だけどカオリさん、全然驚きもしなかったんだよな。僕が話してる間もカオリさん、ずっと気配を消してるみたいだったし。だけど優しい人だったな...うん、ほんと。優しさがオーラみたいに、にじみ出てたよな。それにさ、僕のこと何も聴いてこなかったし。僕は男っぽいナリはしてるけどさ、いつだって女ってわかられるもんな。それなのにずっと僕って言ってたのに。そこは何も聞かずにいてくれて。来週会おうなんて約束してくれたんだよな。優しいし、だけどクールでさ。カッコ良かった。なんか不思議な人だったよな...…あぁ昨日に戻りたいよなぁ...…なんで今日が来たんだろう。

 だめだ。もう逃げないって決めたんだ。僕は腹を決めたんだよ。これから、謝罪。ちゃんと行く。正直アイツからの呼び出し、逃げ出したかったけどさ。カオリさんのおかげで、腹がやっと決まった。なに、殺されやしないって。そんなバカなマネ、アイツはしない。でも一体なんて言えばいいんだろう。いや、言い訳なんていらないよな。昨日カオリさんも言ってた。ただひたすら謝るだけでいいって。言い訳は必要ないよな。すまなかったって、心から謝ろう。そうだ。どうにかして逃げれないかなんて思う自分がダメなんだ。そんなことではカオリさんにカッコよく会えないよな。よし、もう恐れないぞ。ちゃんと向き合うんだ。だって僕は来週、カオリさんに会う約束したんだからな。僕ちゃんと頑張りましたよ!って、胸をはって言いたいもんな。

 姉ちゃんに話したら「私がついて行こうか?!」なんて言ってたけどさ。いつまでもそんなことじゃだめなんだ。僕が自分で解決しなきゃ。だから謝罪の場は、社長に事情を話して、みんな帰った後に会議室を借りることにした。その方がお互い冷静に話が出来そうだし、姉ちゃんも納得してくれたしな。姉ちゃん着いてきたら、食って掛かりそうだもんな。話が余計にややこしくなるじゃないか。ちゃんと、僕がやってしまったことだけを、謝るんだ。絶対やっちゃいけないこと、やっちまったんだからな。社内の人間も見てるSNSにアイツの悪口を書くなんて、社会人失格だよな。でももう...失格なのかな...会社も辞めなきゃダメだよな。責任、取らなきゃな。あぁ…僕の未来はどうなるんだろう……いや、今はアイツに謝ることだけを、考えよう。そうだ。腹決めたんだからな。カオリさんと約束したじゃないか。それに、とても大切なアドバイス、教えてもらったんだ。もう僕のここには、カオリさんがいるんだ!


読んでくださりありがとうございます。
2人でそれぞれの目線から、2人の物語を書きあっています。
マガジンにアップしていきますので、良かったら最初から読んでみて下さいね。
ユウとカオリの物語|https://note.com/moonrise_mtk/m/mafeab246795b

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