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ユウとカオリの物語

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LGBTQ+当事者カップルの2人が描く恋愛小説。ユウ目線でのお話と、カオリ目線のお話を2人で書きあっています。セクシャルマイノリティの世界ではない、ごく日常の中で出逢った2人の物…
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2023年7月の記事一覧

第2章《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》パンセクシャルの感覚(カオリのつぶやき)

ユウと付き合い始めてみたら、おかしなことに、ユウは付き合う前より固くなってしまった。なんだか、自分に厳しくなった?気負ってるのかなぁ。。 付き合う前は、わたし専用のtwitterか?っていうくらい、その時々に感じてることを送ってきてた。 わたしはそれが面白くて、仕事の合間に見るのを楽しみにしてた。そんな彼女の日常に触れているうちに、どんどん惹かれていってたのよね。 そうなのよ。ユウはいろんな姿をそのまんま見せてくれてて、どんどん惹かれちゃったんだ。 出逢いはボロボロだった

第2章[第4話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

第3話はこちら 「時々すごく男の子の顔になる時あるよね!おもしろーい」 昔片思いで好きだった女性に言われた言葉を、ふと思い出していた。男の子の顔の時、か......それはきっと、好きな人と話す時だったからだよな。あの時は深く考えてなかったけど、だったら女の子の顔の時もあったってことだよな。うん。でもそれが振られた原因になったんだよな。 あ、でも、そか、カオリが言ってたな。 「あなたは相手に合わせてきただけよ」 うん、そうだ。カオリに言われて気づいたんだった。 好きな

第2章 [第3話]《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

第2話はこちら だって子供でしょ。 子供時代の自分を、 子供扱いしてあげてよね。 ※ ※ ※ 通勤途中、最寄り駅までのいつもの田舎道。ここの風景が僕は大好きだ。 特に夏は、真っ青な空に浮かぶ動物みたいな雲を数えながら歩くと、揺れる青い稲が目の前一面に広がって、そこを抜けると大きな向日葵が僕を待っていてくれる。小さかったあの頃、僕を勇気付けてくれたあの道のあの風景みたいだからだ...... 幼稚園に入園した日僕は、母と離れるのが不安で1日中泣いていたのを今でも何故か覚え

第2章[第2話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

第1話はこちら 相手に合わそうとしてきただけなのよね。 相手に合わせて生きてきたから、 気持ちを隠そうとしてしまうのね。 やっぱりわたし達、似た者同士なのね。  ※ ※ ※ それからも僕には幾人か、好きになった人はいた。だけどどれも片思いで、いつも言われるのは「友達じゃダメなの?」という言葉だった。「友達として失いたくない」とも、何度言われたことか。そしてその都度僕は、苦しみながらもその言葉を受け入れてきた。 その愛の種類が何でもいい。愛する人に、必要とされる人でいた

第2章[第1話]《ユウとカオリの物語-ジェンダー編-》

どんなユウも、わたしの好きなユウよ。 こんなに可愛い人がわたしを好きになってくれるなんて。 こんな幸せはないわよ。  ※ ※ ※ 僕はずっと子供の頃から、着ぐるみを着て生きてる気がしていた。 着ぐるみは何着も持っていて、その時々で周りの人たちが笑ってくれる着ぐるみに、僕は着替えるものだと思っていた。着ぐるみを脱ぐのは両親の前だけで、着ぐるみがないと他人とは接することができなかった。 10代の頃は色んな着ぐるみを試しては変えて、いつしかその中にいる本当の僕のことなんて、いっ