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第2章《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》パンセクシャルの感覚(カオリのつぶやき)

ユウと付き合い始めてみたら、おかしなことに、ユウは付き合う前より固くなってしまった。なんだか、自分に厳しくなった?気負ってるのかなぁ。。

付き合う前は、わたし専用のtwitterか?っていうくらい、その時々に感じてることを送ってきてた。
わたしはそれが面白くて、仕事の合間に見るのを楽しみにしてた。そんな彼女の日常に触れているうちに、どんどん惹かれていってたのよね。

そうなのよ。ユウはいろんな姿をそのまんま見せてくれてて、どんどん惹かれちゃったんだ。
出逢いはボロボロだったユウ。ボロボロだったけど、純粋で一所懸命・・ってか、純粋で一所懸命だからボロボロになってたんだった。それから、個人レッスンに来てくれてやりとりするようになったら、かわいくて楽しくて。なのに、ユウは付き合い始めてからちょっと遠くなってしまった。

夜パソコンを閉じてからも、請負仕事のロジックを考えていた。そんなときのわたしは、LINEの返事がそっけなくなるらしい。気持ちがユウに向いてないからだ。
「忙しかった?ごめんよ。」という文字に、寂しさが漂ってハッとなった。寂しんぼのユウがかわいくて、気持ちはユウへ向かった。
「あ、わたしこそごめん。もうパソコンは閉じたの。だから、大丈夫。」

「甘えたらだめだよな。ごめん、、もう甘えない。お仕事頑張って。」

え?なんで??
ユウにとってはわたしは甘えられない人になってしまったの?付き合ってみたら違ったのかな。甘えるユウもかわいいのにな・・

こんなやりとりが何度かあって、わたしは途方に暮れてしまった。こうなれば、ストレートに聞いてみるのが早い。だから、直接会ったときに聞いてみた。
「付き合ってるんだから、お互いに甘えることってあっていいんじゃないの?わたし、優しくないかな?甘えられない?」
ユウは言った。「だって、女子は甘えさせて欲しいよね?甘えられるのは嫌じゃない?」

ユウの返事が意外すぎて、一瞬目が点になったのだけれど、次の瞬間吹き出してしまった。
「え?なにそれ。意味わからない。それに、今更何言ってんの?Roseで初対面のときに大泣きした人が。」
「あ、、確かに、、」ユウは苦笑いした。

そうだった。ユウは頼りがいのある男の子を頑張ってきたんだった。そうでなければ、シス女子を振り向かせることはできないって。
「よく頑張ってきたねぇ、よしよし。。」
わたしが頭を撫でると、ユウはちょっと恥ずかしそうに、けど嬉しそうに笑った。
か、、かわいい!!

パンセクシャルに対する理解はなかなか得られない。
わたしはジェンダーはシスジェンダーだ。自分を女性としか思えないし、ファッションもメンズは着ない。もちろん、生まれてこの方男性に間違えられたことなんか一度もない。しぐさや立ち居振る舞いが女性らしくて素敵と言われるし、そういう自分が気に入ってる。
ただ、恋愛対象に性別の区別がある感覚は全くわからない。「男性しか好きにならない」とか「女性しか好きにならない」とかいうのは「血液型がA型の人しか好きにならない」とか「左利きの人しか好きにならない」というくらいの違和感がある。
好きになった相手が、たまたま男性だったり女性だったりトランスだったりノンバイナリーだったりするわけで、性別は恋愛フィルターにはならない。

だから、ユウが無理に男性ポジションを取ろうとする方が、わたしには違和感がある。自分を自由に見せられないのは遠くなってしまった感じがして寂しいのだ。

「ユウはユウだもの。どんなユウも大事で愛しいのよ。わたしはそのまんまのユウに惹かれたんだからね。」

☆☆ 二人で小説書いてます。「ユウとカオリの物語」シリーズ ☆☆
過去のものも、よければ読んでください。
https://note.com/moonrise_mtk/m/mafeab246795b


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