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Snow Manを認知した一週間後に映画「おそ松さん」を見に行った話

これはいきなりSnow Manにドはまりしたアラサーが、元々は否定的な目で見ていたはずの映画おそ松さんを見に行った話である。
超天変地異みたいな急転直下の沼落ちに、自分が一番びっくりしているのだが、まあ、鉄は熱いうちに打てと言うことで、テンションが高いまま徒然と落ちた経緯と映画感想を書く。(長いし、後半特にまとまっていないのでご注意を。)

ようはハマりたてで誰かに話したくて話したくて仕方ないのである。

何故沼に沈んだのか

当方80年代後半生まれのアラサー。正確には四捨五入してアラフォーに片足を突っ込んだのだが、微妙に認めたくないお年頃である。
この世代と言えば、思春期がジャニーズJr黄金期。Kinki、TOKIO、V6のデビューをリアルタイムで見てきた。8時だJ、タキツバ、嵐に友人皆が盛り上がっている中、ひねくれていたのでジャニーズには若干距離を置いていた。

え、一番好きなJr? (Jr限定か…)そうだな……、生田君が天てれ出ていたのを見てたから、応援してるかなー? 演技もうまいよねー

くらいのテンションで話を合わせて乗り切っていた。
なのに、この年齢になって急激にこれだ。
自分が一番びっくりしている。(2回目)

Snow Manを認知した経緯

今回沈んだSnow Manも、なんか最近(といっても2年前)ジャニーズで同時デビューしたグループいたよねー、くらいの認識だった。
音楽番組もあまり見ていないので、曲は聞いたことあるかもしれないがイマイチ分かっていない。

ねえ、それぞれ何人グループ? SixTONESってなんて読むの?
いやさ、もう最近若い男の子見分けがつかないんだよねー

って状態だった人間が、現在認知から10日でファンクラブ加入検討してるくらいのテンションになっている。
何故か。
きっかけはTiktokだ。
もはや流行に乗る気もない人間が、何故Tiktokなんてハイカラ(?)なものを始めたかといえば、答えは単純。
推しバンドがTikTokアカウントを作ったからである。
推しへの愛は流行嫌悪も、テクノロジーの壁も超える。
折角インストールしたのだからと、推しアカチェックついでに他の動画も見ていた。スワイプしていると、知らない高校生が踊っている動画とかが自動的に出てくる。いくつか見ていると、頻繁に流れてくる曲があることに気づいた。中国語で数を数えているフレーズに、カンフーっぽいポーズを取っている動画が流れてくる。

その曲がどうも妙に耳に残る。

これが「ブラザービート」を認識したきっかけだ。
で、軽い気持ちでMVを見てみた。

まあーーーーーーーー、キレッキレでダンスがかっこいい。なのにちょいちょいコミカルで真似したくなるキャッチ―さもある。歌も妙に耳に残る。ラップが心地よい。
しかし、このグループ9人もいるのか、多いな。
どんなメンバー構成なんだろ。
そんな感じでSnow Manのタグを見てみたら、関連動画でSnow Manの過去のテレビ出演動画が出てきた。
(多分違法アップロードもあるので、あまり褒められた行動ではない。)

最初に見たのはデビュー前のドッキリ映像だ。メンバーが恐怖や驚きの良いリアクションをしているなか、妙に冷静に対応している人がいた。壁を破って突撃してきた仕掛け人に対して、みんなが固まっているのか、すっとローテーブルに手をかけ、反撃体制を取っている。
ちゃぶ台を返すのか、いざとなったらちゃぶ台をひっくり返して反撃するつもりなのか。
何だこの人、判断能力が高すぎる。

次に見たのはデビュー後のバラエティー。罰ゲームで女装してパラパラを踊るメンバーのところへ、赤いつなぎをバサッと脱ぎ捨て、隠し着ていた白スーツと決め決めの表情でパラパラを踊り始めるサプライズをしかけた人がいた。
パラパラのキレがとにかくいい。周りのメンバーも罰ゲームしてる本人も、驚きで動揺し切っているのに、終始真剣にきめた表情。
あ、これさっきの人と同一人物か!

こうして宮館涼太、通称「舘様」沼に片足踏み入れて、そのままドボンと落ちた。

グループ内の位置づけとしては、貴族、ロイヤル、国王様。
こういうキャラ、本来私は苦手なはずなんだ。でも最近のバラエティー出演を見ると、貴族キャラなのにボケる。芸人に突っ込まれて妙にウケている。発言への絶妙な間が大変面白可愛い。
……なんというか、唯一無二の存在感?
自分で作劇していて、こういうキャラクター自分だけで生み出せる気がしない。一歩踏み間違えたらめちゃくちゃ寒くなりそうなラインなのに、不思議と外さず笑いを生み出している。
そして何よりやはりダンスのキレのよさと、個性が発揮されたフリのアレンジがどんどん癖になっていく。
上記の「ブラザービート」のMVではなく、Dance Practiceを見てほしい。

推したいのは3:12あたり。まーーーー、腕のキレがよいし楽しそうだし、ついついリピートしてしまう。
他のMV見ても、体幹がとにかくよい。どの動きでもぶれずに決めていく。

こんなの……、ハマるっきゃねえだろう!!!

あとはもう、底なし沼に沈むだけである。
更に詳しく調べ始めたら、もうね……、ダメ。どんどんグループ全体が好きになる。個性豊かなメンバー、クオリティの高いパフォーマンスに、メンバー内でバランスの取れたバラエティーセンス。
ボケる、ボケる、ツッコむ、ツッコむ。アイドルって何だっけ??
そのかっこよさ、ユニークさの後ろにある、デビューまでの苦労、受け入れた変化とその末に掴んだデビュー。
……こんなのハマるわ。
他メンバーについても語りだすと一万字超えそうなので省略するが、ここまでSnow Manを認知してから大体2日くらいだった。
過去色々なものにハマってきたが、知ってからの速度はダントツである。
コンコルド(マッハ2)も超えるぞ。

(余談だが、本来の最推しである某バンドの某ベースに関しても、
いっぱい動き回ってて活きがいい所が好き、体幹ヤバイ~と常々言っている。多分動きにクセのある人がツボなのだ。改めて実感した。私は推しの体幹がツボなのか…、そうか……、なんで???)

アニメ「おそ松さん」を利用したメタメタ構造

アニメ一期の幻の一話目

おそ松さんに関しては、アニメ一期一話目を見てドはまりしていた。昭和の「おそ松くん」から平成の「おそ松さん」へ変化するメタ的な流れ。作中では作者の赤塚先生の存在も示唆されている。そこに各所から怒られないのか心配になるパロディにつぐパロディ。最高だった。
(実際怒られたのか、話題になりすぎたのか、一話は配信されていない。)
キャラクターや作風は把握しているので、元々実写化決定と聞いたときには、
そもそも実写映画って外れと当たりの差が激しいし、しかもジャニーズの若手アイドルグループでしょ??? 演技力心配……
って地雷感しかなかった。

だから見に行くつもりもなかった、沼に落ちるまでは。

Snow ManにハマってTwitterのファンTLを見ていると映画の評判がいい。
けど、映画.comではそこまでではない。そうなると、やっぱりファン受け狙いの作品なのかな?と見えるし、もっとその時間良作の方を見た方がよいのでは?とも躊躇はあった。

でもさ、舘様の殺陣とオールバックは見たいよね!!!!

欲望に負けて見に行くことになった。
ニンゲン欲望ダイジ。
万が一、凡作であったとしても、推しの新しい姿を見ることが出来ればオタクは満足なのである。物書きを目指す人間としてはどうかと思う。

そして、Snow Manが9人グループであると知った日から一週間後、メンバーの見分けと性格がつかめた状態で映画を見に行った。
結果、この文章を書くにいたるくらいに楽しめた。
ただ、けして万人受けするとは言い切れない。劇場内でゲラゲラ笑うほどではなかった。Snow Manに沼落ちした状態で見ているので、何も知らない状態で見ていたら感想は違ったかもしれないという予感も若干ある。
良作を見た時の映画への没入感とはまた違い、この映画を見ている自分をずっとメタ的に見ている感覚だった。結構独特な感覚。
とはいえ、今作はかなり挑戦的で稀有な実写成功例だと思う。「おそ松さん」の持つメタ性と、アイドル主演作品であることを上手く扱った作品だと思う。

以降、そう感じた理由を徒然書く。

※以降ネタバレ注意。

そもそもおそ松さんってメタい

アニメ「おそ松さん」はブームにはなったけど、本来万人受けする題材ではないはずだ。大ブームになった時に、ラジオで声優さんたち自身が驚いていた記憶がある。
上記で書いた通り、アニメではちょいちょいメタ表現が出てくる。毎期一話目は特にその傾向が強く、アニメ三期では声優さんが本人役で出演していたりもする。
本編内でも六つ子が本人でありつつ別人の役をしていることも多い。

そのメタ性が、実写映画でも存分に表現されている。
冒頭からもう六つ子本人が、「実写だと生々しい」「髪型と服だけでは無理がある」というような内容を話していて、その前置きをベースにどんどんストーリーが広がっていく。本来の主軸の物語からどんどん離れて行ってしまうのだ。
「養子になる一人を決めるために争う」というのが主軸のはずが、気づけば
おそ松とチョロ松は可憐な少女と出会い青春映画あるあるを繰り広げ、
一松とトド松はカイジや賭ケグルイのようなデスゲーム世界観で争い始める。
カラ松は筋トレ中に川で流されアメリカにたどり着き、記憶喪失のままアクション映画の世界で悦に入り、
十四松は雷に打たれて七人の侍のような白黒映画の世界へタイムスリップしている。
どんどん収集が付かなくなっていく。
この辺りは何かしらのオマージュが入り込んでいるので、この流れは本来のおそ松さん好きに多いであろう、サブカルや映画に詳しい人ほど楽しいと思う。

Snow Manを見たい観客へのサービス

このシナリオから離れていく流れで、最初に提示した六つ子の象徴である揃いのパーカーではなくなったところから、キャラクターでありつつも若干役者個人を生かしたイメージに寄って行った印象がある。
例えば、三男チョロ松はドルオタで女性に不慣れなところを直そうとして、ホストになり闇世界に足を踏み入れていく。それがまあ、グループ内でもイケメン度の高い目黒さんが演じるから、説得力があり似合っているのだ。ここはSnow Manファンのサービスを感じた。

そもそもの配役からして、楽曲の振り付けも担当して、SASUKEにも出ている岩本さんがカラ松だったり、最年少愛されキャラのラウールさんが末弟トド松だったり、Snow Manを知っていれば知っているほど配役に納得が出来る。
見分けられないことをネタにしていた原作「おそ松くん」と違い、色や髪型で明確に見分けが付けられるようになった「おそ松さん」は、同じ顔でありつつも個性的だ。
この個性のところに、配薬された各人の親和性が高いのだ。六つ子として顔が似ていなくても、なんとなくしっくりくる。
特に再現度が高いと感じたのは、一松と十四松だ。
一番突拍子もないキャラの十四松を、アニオタでアクロバットを得意とする佐久間さんが声など含めかなり忠実に再現しており、一松の深澤さんもビックリするほど似ていた。純粋に猫背と顔立ちかもしれないが、うわ、本当に存在してる、って思えるくらい一松にはびっくりした。

こうしてメタに走れば走るほど、おそ松さんであり、Snow Manである状態でカオスになり様々な姿を見せることができる。これがアイドル主演作品として、面白く作用していた。
Snow Manが主役である以上、観客はどうしてもSnow Manファンが多くなる。アニメに忠実な実写映画が見たい観客ばかりではない。観客はSnow Manが輝くところを見たいはずだ。
それをおそ松さんのメタ設定を利用することで、おそ松さんを損なうことなく両立させていたように思った。

超メタ的存在の物語終わらせ師

この本筋から脱線した六つ子を戻すために登場するのが、一番のメタ存在である物語終わらせ師だ。物語の登場人物ではあるが、彼らの詳細な説明はない。作家の潜在意識の表れというか、映画の良心から派遣されているような立ち位置の存在だ。
私もぜひ困ったときに力を借りたい。

彼らは突如現れ、複数同時に進む物語を「あるある設定」を使って終わらせ、本編に戻そうとする。しかし対するのはクズで一筋縄でいかない六つ子たち。全力で抵抗されて、どんどん世界が改変され、他の世界と混ざって、カオスになっていく。
見る前まで、実写映画のオリジナルキャラとか嫌な予感しかしない立ち位置だなーと思っていたが、「きちんと映画を進めてくれよ!」って気が付けば六つ子ではなく彼らを応援している。メタ存在にしていることで、世界観にもう訳が分からない感じで組み込まれていて気にはならなかった。
まあ、オリジナルキャラクターなせいもあり、ほぼ本人じゃん?って思うシーンがないわけではない。けどまあ、ファンじゃなければ気づかないし、ファンはそれはそれで楽しめる。
だって内一人は舘様だし。
アクション素晴らしくて悦である。

こうして六つ子と終わらせ師でぐちゃぐちゃになったまま、最後は爆発?ビルが崩壊して元の日常に戻る。ある種の爆発オチサイテーとも言えそうな流れだが、作中でどれだけ何があっても全て元に戻るおそ松さんらしい姿である。

結局、実写映画が苦手な理由って、キャラクターイメージから離れてしまうことや、映画ということでのストーリーの省略可などがあると思う。
今回はもう全てメタだから!
ってことで、この辺りをクリアしているように感じた。他の作品で同じことが出来るとは思わないが、元々が本筋があるようでなくて、メタ要素盛りだくさんなおそ松さんだから許されることではある。
かつ、Snow Manファンであれば9人の個性を把握しており、周りを安定した役者の方々が補強しているバランスも良かったんだと思う。
ただやっぱり、本筋があるようでないので、苦手な人は苦手だと思う。

ある種の演劇作品らしさも感じたんだけど、脚本がシベリア少女鉄道の土屋亮一さんだということで納得した。

徒然と書いたが、落ちを見失ったのでここらへんで終わる。
気楽に見れてある種の充足感は得られたので、もう一回見てもいいかなという気持ちになっている。
けして、本編後のおまけ映像目的だけではないよ!

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