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《童話》狙われた子羊

メイちゃんはこの春生まれたばかりの子羊です。囲いの中、ママやみんなと幸せに暮らしていました。
ところがある時、見張り番の犬が病気になってしまいました。
いつも子羊を食べようと狙っていた狼が、そっと柵に近づき、そばにいたメイちゃんに話しかけました。


「柵の外は、自由でもっと楽しいよ。おじちゃんが案内してあげるから、月が出たらひとりでおいで。」

いつも守られて育ったメイちゃんには狼の恐ろしさがわかりません。
今まで見たことのないおじちゃんだったなあ。柵の外は楽しいって言われても、今も毎日が楽しくてたまんないんだけどなあとおいしい草を食べながら考えていました。
でも、せっかく誘ってくれるんだから行ってみようかなとも思いました。


さあお日様が沈み、夜になりました。小屋をそっと抜け出し狼と約束した壊れかけた柵の所へ向かいました。
狼はヒヒヒ。久しぶりにご馳走にありつけるわいとメイちゃんが来るのを今か今かと待っていました。狼はメイちゃんの姿を見ると言いました。
「さあ、その柵の壊れたところからこっちへおいで小さい君ならきっと通り抜けられるはずだから。」
けれどもメイちゃんは言いました。
「私やっぱり行かない。」
「ど、どうして⁈」狼は目の前のご馳走を見ながら焦りました。
「だって、私ママと一緒にいたいんだもの」
「えー!ママ?」
その時、ママのメイちゃんを呼ぶ声がしました。
「私を呼んでる。じゃあね、おじさんバイバイ!」
そう言ってメイちゃんは小屋に向かって駆け出しました。

もうちょっとのところだったのに…。
狼は大変悔しがりました。仕方なくとぼとぼと森の奥に向かいました。
狼は夜空に浮かぶ満月を見上げました。

そして、お袋かー。たまにはお袋の巣穴でも尋ねてみようかとつぶやきました。


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