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印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵@郡山市立美術館

連休を前に、印象派展が地元へ巡回してきた。

年度はじめの多忙にやられ、東京で展覧会へ行く体力を失っていた私にとって、ちょうど帰省のタイミングでの観覧はビッグチャンスだった。

激混みと聞いたので朝イチで向かったが、開館前に並ぶという前代未聞の事態だった。

メインビジュアルとその画家の威力◎

今回来ていた《睡蓮》、素晴らしかった。
幻想的な色合いや、ひとたび目を離せば画面の様子が移り変わっていくような感覚。やっぱり作品の前に立つと感銘を受ける。
それなりに色々なバージョンを観てきた気がするが、これは実際に観ることができて良かった。

個人的には、展覧会のもうひとつのメインビジュアル、《花摘み》のチャイルド・ハッサムがめちゃくちゃ良かった。

特に《朝食室、冬の朝、ニューヨーク》。喧騒と静寂とを分かつカーテンと、その手前で今にも揺れそうな花瓶の水のきらめきがたまらない。

ただ、本作購入時の手紙や請求書なんかも展示してあったのに...いざ展示室を出たらグッズひとつも無い!
こんなに期待させといて嘘だろ。《花摘み》に《コロンバス大通り》もポストカードあったのに...。

ウスター美術館には、ぜひ本作のアクスタを作ってもらいたい(カーテンをバックに、人物と花瓶をそれぞれ手前に差し込んでセットする形式がいい)。

バルビゾン派がもたらす効果

第1章にはバルビゾン派の作品がいくつかあり。
バルビゾン派は大好きだけど、第2章の冒頭にブーダンが展示されていて、「ここからでも良くないか?」とか思ったりしてた(ごめんなさい)。

でも、第4章「アメリカの印象派」に入り、グリーンウッドの《リンゴ園》を観ながら序盤のコローを思い返すとき...。

「アメリカ的」印象派がどういうことかよくわかる。ありがとうバルビゾン派の画家たち。

さいごに

東北唯一の巡回ということもあり、開館30分で駐車場が満車に。今まで行った郡山市立美術館の企画展のなかでぶっちぎりで混んでいた。

実は、これを東京都美術館で観るかどうかで迷っていた。あの重厚感のある壁面や照明から受ける非日常感。もともと都美のことは大好きで、充実した体験になることは間違いないと思っていたからだ。

郡山市立美術館は中心街から少々離れ、阿武隈川を越えて広葉樹林の丘にぽつんとあるのが特徴だ。
そんなに便利な立地ではないので、よくこの展覧会を引っ張ってこれたなと感心する。

が、今回の訪問は、作品だけではなくて美術館そのものと周辺環境が一体となり、予想を大きく上回る満足感を得た。

川の水面に光が揺れ、雑木林の木漏れ日が風でちらちら動くようす。
印象派展はほんとうに郡山市立美術館の雰囲気に合っていると思わざるを得なかった。他の巡回先のどこよりも。

いつも素敵な鑑賞体験をありがとう。また帰省したら行きます。

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