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【IDと教員研修2】TOTEモデルの活用

本記事の図は,インストラクショナルデザインの道具箱101(北大路書房)で紹介されている鈴木克明先生の図を参考に作成しました.


TOTEモデルは,Test(テスト)→Operate(操作)→Test(テスト)→Exit(出口)の頭文字を組み合わせたモデルです.

研修の設計を考える際に,このモデルのように,入口と出口を決めて,試行錯誤していくサイクルをイメージすることが大切です.

研修の場合
「出口」は,学習成果が達成されたことを示します.
「操作」は,学習活動そのものです.
「テスト」は,学習が必要であるかどうかを確かめることです.

Test(テスト)を考えることで,どんな受講者をターゲットにするか明らかになる

「出口」や「操作」は,これまでの研修でも意識的に行われている内容だと思います.どんなゴールに向かって,どんな活動を行うのかを考えることです.

「テスト」は,その活動が必要かどうかを判断するために行います.

例えば,事前のテストを実施して,講座に必要な知識等が備わっているかどうかを確認します.事前テストで合格ラインがとれていれば,操作(学習活動)を行う必要がないからです.活動は行わずとも次のステップに進むことができます.

事前テストで不合格であれば,操作(学習活動)を行い,知識や技能を習得したり,学習目標を達成するためのスキルを身につけたりすることになります.そして,事後テストを行い,合格すれば次のステップに行くことができます.
このようなサイクルがTOTEモデルです.

教員研修におけるターゲットの多様性を踏まえると

事前テストに合格すれば次のステップに行ける.
事前テストに不合格だと,操作を行い,事後テストで合格するまで取り組む.

これは,学習者中心の設計で大切な視点です.
Aとなれば次へ,Bとなれば別のフローへ.という仕組みであるため,次のステップに行くかどうかを自主的に判断することになります.

とはいえ,教員研修の多くは,一斉に進む場合が多く,事前テストの合否に関わらず,全員受講となっていることが多くあります.つまり,研修そのものの設計を行うためには,適用が難しいことが考えられます.

このように考えると,TOTEモデルは,試行錯誤しながら自主的に研修を進めていくための教材設計の理論といえます.次回は,全員受講することが前提の教員研修において,TOTEモデルの考え方で教材をつくってみるとどうなるのかを考えたいと思います.

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