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RHYMESTER『マニフェスト』

2010年2月3日リリース、RHYMESTERのメジャー5thアルバム。

全ての音楽グループの中で、僕の1番好きなグループ。新作が出れば必ず購入し、そのツアーにも行くし、たまにグッズも買うし、宇多丸の映画批評もよく聴く。

中学の頃にRIP SLYMEを経由してこのグループを知った。シングルが中古で500円、『ザ・グレート・アマチュアリズム』でここからハマって、高校の頃にリリースされたベストアルバムを購入。

その頃に初の武道館ライブが開催されたけど高校生の僕は行けず。グループは一旦活動休止し、僕が大学に進学した頃にRHYMESTERの活動再開、シングル『ONCE AGAIN』。

そしてこのアルバムのツアーで初めてライブに行く事が出来た。Zepp Osakaがまだコスモスクエア駅にあった頃、懐かしい。


私情なので前置きはこれぐらいにしたい。年明けに何故これを選んだのかというと、「ONCE AGAIN」という曲で、今年もまだいける!と自分を奮い立たせたいと思ってしまったりするから。

あと、やっぱり1番好きなグループだからいつか書きたいとは思っていて。興味を持って、聴いてもらえたら凄く嬉しいし、いつももっと流行れ!と思っている。


M1.「午前零時 -Intro」で、次曲が始まるまでの雰囲気が出来上がるイントロ。アルバムにはイントロが必ず収録されていて、ツアーでもSEとして使用されて、思わずテンションが上がってしまう。

M2.「ONCE AGAIN」シングル曲。もはや日本語ラップのクラシックという認識もある大名曲。「B-BOYイズム」も最高だけど、僕はこの曲の世代。

リリックにもドラマが詰まっていて、BACHLOGICプロデュースのトラックも文句なしのカッコ良さ。PVも何回見返した事か。宇、Mummy-D、両者共にリリックが本当に良い。しかもこの曲は10代の頃よりも、もっと大人になって失敗を重ねてきた今の方が響く。

僕自身はまだ人生で言う所の前半のページにいるけれど、それでもこんなに感銘を受けるんだから、永遠に聴いていく曲だと思っている。今でもライブでよくやってくれるけど、たまに泣きそうになる。笑


M3.「H.E.E.L.」ロックテイストなトラックに、題の通りヒール役になりきったリリックで面白い。DJ WATARAIプロデュース。

綺麗事や偽善に一言申したくなる時は誰しもあると思う。同調する方が楽だし安全かもしれないけど、僕もズバッと言ってしまう方なので共感してしまう。少数派上等。


M4.「New Accident」新しいナニカをでっち上げて生み出そうというコミカルな楽曲。

Mummy-Dのフレーズで
"引き出しはあんのに取手がナイ 取手は引き出しの中にアル なら取手取ったって仕方がナイ ナイ!そこじゃナイ!"
が、かなり巧い。というか頭が良いなと思ってしまうようなオチが用意されていて面白い。



M5.「渋谷漂流記」彼らが過ごした80年代と90年代の渋谷でのヒップホップシーンをテーマにした曲で、渋谷という大都会の残像の中を今も彷徨う。

こうしてシーンは今も尚繰り返さているという感じ。この曲から10年ぐらい経って、音楽の楽しみ方も随分変わったけどね。


M6.「Under the Moon」ひたすらダークな雰囲気が漂うトラックで、月の輝く深夜の街に繰り出す人影のイメージだ。

トラックはDJ MITSU THE BEATS、GAGLEではオシャレなトラックを作るイメージがあったけど、この曲はわりと渋い。フックの音がかなりカッコいい。


M7.「付和Ride On」シングル『ONCE AGAIN』のカップリングに収録されていた曲で、このアルバムの中で唯一のパーティーチューンと言ってもいい。ライブでもこの曲をやった後、「もう今回で1番盛り上がる場面終わったからね!」と宇多丸が言っていた。

フックでコールアンドレスポンスがあって、これは盛り上がる。このトラックはメンバーであるDJ JINの作曲で、なかなかこれまでになかった種類のトラックで面白いと思った。和風なんだけどディスコ調という。


M8.「ライカライカ」変な曲で、トラックの癖がとにかく凄い。めっちゃ粘着的な雰囲気、これは聴けば分かる。このリズムと音にラップ乗せるのは絶対に難しい。

ライカ=like a で、どんどん色んなものに例えていくリリックが面白い。特にこの曲では宇多丸の語彙力のセンスが光る。フックで高音と低音でユニゾン、このグループならではの持ち味だ。


M9.「K.U.F.U.」ライブでも定番になっている曲。Mummy-Dのパートではこのオリジナルのトラックを使用せず、Big Daddy Kaneの"Set It Off"をDJ JINが流すのがお決まりになっている。その演出がカッコ良すぎて、しっかりその音源のCDも手に入れたり。

リリックはMummy-Dが最高。この人は天才型だと思っていたけど、そんな事はなくて失敗と挫折も経験して、それでも続けたから今があるしまだまだいける。そんな詞にも自分と重ねてしまうほどに圧巻。3番の宇多丸のパートも、常識に反していて面白い。


M10.「ちょうどいい」休日にゆったり聴くとベストな曲。朝昼晩、どのタイミングで聴いても"ちょうどいい"曲調で、散歩するのもいいし家で椅子に座ってゆっくり聴くのもいい。これもM5.と同じDJが作ったトラックだけど、正反対、イメージではこういう音だ。


M11.「ミスターミステイク」ミスばかりする男を題材にした楽曲。この曲も社会人になったから大共感してしまう。ここでも宇多丸の畳み掛ける早口の所が巧い。ワードセンスも抜群だ。RHYMESTERはコミカルな所に親近感が湧く。


M12.「Come On!!!!!!!!」キエるマキュウのMAKI THE MAGICプロデュース、楽曲にも少し参加している。このアルバムの中で1番ドープな楽曲。

"ミスター宇多丸 いわば逆ジェロ"は面白い、ジェロは黒人が演歌を歌う事で注目を浴びた。その逆で日本人がラップをするという事への比喩だ。"真の意味で独自の道行くイエロー"と繋ぐ。

ビートが止まってからアカペラでラップするMummy-Dのパートの比喩も凄いし、ラッパーだから自身がイカしてるという事をしっかり歌う事も忘れていない。M10.11を経てのこの流れ、このギャップがまた良い。


M13.「ラストヴァース」このアルバムを締め括る壮大なテーマの楽曲。未だに日本人がラップするという事にネガティブな印象を持っている人が多くいる。

けれど、M12.でラップしたように自身の感性を貫いてこの先も生み出し続けるぞという信念が如実に現れていて、もう一生ついていきます!と思わされたのを覚えている。ライブでもアンコールの1番最後だったなぁ。


M14.「ONCE AGAIN (Remix) Feat.DABO,TWIGY,ZEEBRA」

ボーナストラックだけど、これは豪華すぎるキャスト。ライブ映像も観た事あるけど、もうカッコいい以外の言葉が出てこない。特にTWIGYに至ってはライブの時の発声の方が良いし、ライブが上手いなと思わされた。

ZEEBRAの登場がなんだかんだで1番上がる。出だし、"しかめっつらでフード被って固く閉ざされた扉蹴破って‥"が、「口から出まかせ」からのセルフオマージュとなっていて、古くからのファンは胸熱だっだろう。これいつの日か生で観られないだろうか。



いつも1曲ずつレビューするスタイルで書いているけど、今年はスタイルを変えようかな?と思っている。もっと上手く文章が書けたらいいんだけどね。

他のサイトでレビューを読む事があるけど、細かくレビューしている人が意外と少なかった経験があって。

僕自身が細かい説明を読みたいと思ってしまうタイプなので自分が読みたい感じに書くけど、自分が他人の文章を読む時は結構要点だけ抜き取っているので、なんかそこにジレンマを感じてしまう。一言一句読んでいる人は皆無だろう。

細かく深掘りするのは、記憶に留めるには凄く良いんだけどね。自分のために書いているのもあるけど、個人的にそろそろ時間が無くなってくる時期でもあるので、やり方変えるか迷ってます。

今年初レビューなのに小言を書いてしまいました。笑

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