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GLIM SPANKY『Next One』

2016年7月20日リリース、GLIM SPANKYの2ndフルアルバム。

なかなかパンチの強いジャケットだと思った。蛍光色の中に2人の男女、双方がドシっとこちらを見つめている。これは通常盤。初回盤の方は、Vo.松尾レミが微笑していて、Gt.亀本は左斜めに俯いている。メンバーはこの2人のみ。


僕がこのグループを知ったのは、2016年。当時の職場の優先から流れてきた「怒りをくれよ」という楽曲。

女性の歌声だけどハスキー寄りで、サビでの擦れた発声と骨太いロックサウンドには衝撃を受けた。この曲からグループを知った人は多いと思う。


どんな人が歌っているんだと思ってPVを観たけど、ミステリアスな美人と男前だった。職場の年上の先輩が、「LOVE PSYCHEDELICOみたいなバンドが現れたね」と言っていた。男女2人組という点で共通だ。サポートミュージシャンは勿論いるけど。


また別物だとは思ったけど、要は同じ編成のカッコいい音楽をするグループが新たに現れたという事で、それだけで興味を惹いた。

そんな衝撃を受けたとしても、人はなかなか聴き始めようとしないものだ。

初めて聴く音楽を新たに開拓する事は、わりとエネルギーを必要とする。ただ聴き流すだけなら簡単だけど、しっかり聴こうとするとそれなりにね。

1曲だけ聴いていたグループだったけど、今回初めて1枚アルバムを通して聴いてみた。



M1.「NEXT ONE」アルバムの表題曲。バスドラムの刻むリズムが特徴的、そのリズムを主体として乗るギターと、やはり松尾の力強い歌声だ。詞も野望に満ちているし、初っ端からエネルギッシュな始まりを告げる。


M2.「怒りをくれよ」このグループを知るきっかけになったリード曲。この曲はとにかく最高、ムカつく気分の時に大音量で聴いて発散したい。こんなコメントを多数見たし、僕もそう思う。奏でる音も歌メロも、王道のロックンロールとガレージが合わさった感じでかなり良い。

ワンピースの映画主題歌だったらしく、しかも尾田栄一郎がオファーしたらしい、凄い。


M3.「闇に目を凝らせば」出だしはストリングスと歌だけで何小節か進行するけど、そこだけ切り取っても結構イケてしまいそう。M2.の爆発したイメージが先行しているから、こうゆったりした曲を歌い上げるのは意外だった。

少しEGO-WRAPPIN'のボーカルの声質にも近いと思ってしまうけど、ハスキーな部分にオリジナリティーがある。これは天性のモノだ。


M4.「grand port」個人的にギターのリフのフレーズが好みな楽曲。少しブルースっぽいという感覚で。ギターソロの場面ではまた違うニュアンスの音作りで、ボーカルの存在感に負けていない演奏をしていると思う。


M5.「時代のヒーロー」超王道のロックンロールナンバーをアルバムの真ん中に。シンプルながら間奏のギターではワウを使用していたり、ただベタなだけでないところが楽しい。詞も男勝りなのも好感が持てる。

M6.「話をしよう」ここまでの流れとは違ったコード進行で歌メロがとても良い、かなり聴きやすい。これはボーカルがアコギを弾いているのかな?弾き語りで演奏してもハマると思うし、こういう系統の曲にも合う声なのかと思った。


M7.「NIGHT LAN DOT」ストレートな詞を書く印象が強かったけど、この曲では文学的な手法で作詞をしている。

抽象的な表現の方が、物語を書くのに適しているし、聴き手の感受性に委ねる事が出来る。この曲は幻想的な雰囲気があるし、実体験というよりは架空の話な気がする。


M8.「いざメキシコへ」題からして期待度が上がるし、聴いてみればやっぱり良い感じ。このグループに求めてる演奏と歌はこれだ。このオールディーズのロックとしゃがれた声。詞もロードムービーのよう。


M9.「風に唄えば」ここに来てまた良い曲が。個人的にはM6.の方が好みだけど、こちらはサビ終わりにオーディエンスも一緒に唄う事が出来る構成になっているので、ライブの時は一体感が出ると思う。


M10.「ワイルド・サイドを行け」最後は得意としているアッパーチューン。M2.の弾け具合とはまた違うけど、こちらもギターが良い音作りと演奏をしている。あとこの曲はサビやCメロ辺りのベースラインも良い。


初めて通して聴いた。ボーカルの声の存在感が強いけど、ギターもわりと前衛的で面白いと思った。

一定のジャンルに偏るかと思いきや、あまり似たり寄ったりの曲がないし、何より声の魅力が本当に凄い。ルックスもサイケっぽさがあって結構好きだし、ライブで観てみたい。

かなり良かったので、アルバムももっと聴く事にする。

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