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SUPER BEAVER『愛する』

2015年4月1日リリース、SUPER BEAVERの4thフルアルバム。

2015年のRUSH BALLに出演していた時に少しだけ観て、歌と演奏の一体感に圧倒されたのを覚えている。

Twitterで、邦楽ロックのサビの部分だけ切り取ったbotみたいなのが当時あって、そこで「証明」のPVが流れた時にその詞とメロディーと演奏の勢いにやられてすぐに音源を求めた。

そんな1番好きな「証明」という曲が入っているアルバム。


M1.「誰か」このアルバムのイントロとしての立ち位置、1分半ほどの短い曲だけど作品のテーマをここで明確にする。
"さあ誰の話?「誰か」の話ではない ねえ誰の話?「誰か」の話ではないんだよ"


M2.「らしさ」アニメ『ばらかもん』のOP曲。このアニメは観ていたんだけど、作品の主旨にとてもリンクしていて、もうこの曲以外に考えられないと思ってしまうぐらいにハマった。

書道家が田舎の島で島民たちとのスローライフを経て、自身を見つめ直して感性を磨くという
ほっこりする作品だったし、本当合っている。

"個性を出さなきゃいけない そういう流行りの無個性で 悟ったように一歩引いた 匿名希望の傍観者" って、ネット見てたらよくそんな風に思ってしまう。それも"誰か"ではないんだよと、自分とも重ねてしまったりね。


M3.「証明」この曲でこのバンドを好きになった。Vo.渋谷の歌声とメッセージを伝える説得力が圧倒的。ただビーバーの殆どの楽曲ははGt.柳沢が詞曲共に作っていると知って驚く。

サビではメンバー全員で歌う所が熱すぎる。"大袈裟なことがないと実感出来ない僕らは何度 愛を雑に扱って壊して 一人と独りを履き違えた"

この"一人"は全員で、"独り"は渋谷のみが歌うというところまで拘っている。一人の人間ではあるけど、独りでは生きていけないのが人間だ。
ラストのサビ、"生まれて死ぬまで一人なのは 誰も独りきりではないという証明" で一気に心を奪われる。演奏が終わるその瞬間までひたすら熱い曲。


M4.「結果論」"もっと大事にすればよかった"‥この想いも"全部 結果論です"と言い放つ。これは全員が共感出来る詞で、悔いが残る前に行動するべきだと教えてくれるような詞。それでも気づけないのが人間で、どうなろうが結果論でしかない。

説教されたような感覚に陥るが、最後には"「この夜を越えた先にある また一つ初めての朝へ」"と優しく終える。


M5.「わたし」凄まじい熱量の楽曲から少し変わってバラード枠。ここでも詞が良い。

"ただ目の前のプライドは 誰かさんが言った常識で 素直さをひねた屁理屈で上手く隠すから そんなの捨ててみたいかい?"

大人になってくるに連れて、世間は刷り込みで形成されているような気もしているし、"自分をしっかり持つ"事も意外と難しいけど、こういう詞を聴くと何とか保てるような気もしてくる。


M6.「Q&A」ゲストボーカルとしてSCANDALのGt.MAMIが参加していて、渋谷との掛け合いやコーラスが楽しめる楽曲となっている。男女の会話が詞になっているような感じがして、なかなか新鮮だ。SCANDALをほぼ聴いた事がないんだけど、ボーカル以外の人もなかなか歌えるんだと思った。


M7.「おかげさま」コード進行や歌メロがM2.とそこそこ似ている箇所があるけど、これがこのバンドのカラーなんだと思う。サザンがサザンらしい曲を何曲も作っているような感じ。

"全てに意味がある"という考え方は一時期思っていたけど忘れていたな。失敗にも絶対に意味があるし、そのおかげで今日がある。そこに気づいて感謝出来れば無敵だけど、そうはいかないよね。笑


M8.「言えって」ここでもまた熱い詞の曲が登場。"当たり前である事が当たり前であるように"、何十回も何百回も言葉にしようと願う。好きな人に"好き"と伝える事や、ちょっとした事への"感謝の言葉"は、日頃から出すべきなんだと、思い直す。


M9.「生活」前半は歌とアコギのみの演奏で、このまま行ってもいいなと思いきやバンドサウンドへ。どちらにしても良い曲だ。この曲は他の曲よりはやや抽象的というか、聴き手全員の共感というよりは私情が垣間見られる。


M10.「愛する」アルバムの表題となっている曲。あなただけを愛するのではなく、"あなたが愛する全てを愛する"って凄く良いフレーズだと思う。

"あなたが全てでは無い"と歌う理由が明確にあって、それが良い意味で裏切られるからかなり響いた。ラブソングの名曲だと思う。歌メロも良いし、歌唱力もさすが。


M11.「ILP」最後にかなり激しい曲、特にギターが大暴れしている。題のスペルが何の略なのかは分からないけど、この曲の詞も良い。

"「わかる人だけがわかれば」「わかる人だけに届けば」そんな便利な言い訳 言いたくはないな" そして、お前にも分かるように、お前でも分かるように‥と全ての人間に対してメッセージを届ける姿勢と説得力は圧巻。


SUPER BEAVERはどのアルバムを聴いても熱量が半端なく、リリースを重ねる事に凄い作品を生み出していると思う。この曲シングルでリリースしたりしなくていいの?と思うほど、全曲のパンチが強かったり。

Vo.渋谷のキャラクターも好きで、メディアで観るたびに本当に良い人なんだろう。優しい人だからこそ、暖かい表現が出来るんだなと思う。

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