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YOASOBI『THE BOOK』

2021年1月6日リリース、YOASOBIの1st EP。

昨年大ヒットしたグループの初CD作品。EPという定義が曖昧だが、インストとアウトロを含め全9曲収録されているので、ほぼアルバムと言っていいと思うが、その内容は"既存曲が5曲+新曲は1曲"となる。

小説のテーマを元に楽曲制作を行うというコンセプトがあるため、CDのみ販売という方式は取っていない。CD+付属品、何種類かあるようだが1番安価なものでも4,900円、レンタルも開始しない様子なので、Apple Musicで音源を聴く事に。(追記:TSUTAYAアプリを眺めていると、レンタル開始日が1/23となっていたので、あるみたいです。すみません!)


現物は確認していないけれど、おそらく書店にも並べられるだろうし今度見かけた時にどんなものか見てみようと思う。インターネット小説を、物"として実際に手に取れるような企画だから、物語が好みだった人には嬉しいだろう。


YOASOBIという名前を知ったのが昨年の夏頃。流行というものはいつも急なので、このグループがどういうバックグラウンドで人気になったのかを調べるが、瑛人の「香水」と同じくTikTokなどSNSが発端となっていた。

無名のアーティストが数ヶ月で全国区の知名度を手に入れられる時代だ。ネットの力は本当に侮れない。

初めて聴いた時、Vo.のikuraの歌声の透明感とそのグルーヴ感にはびっくりした。1発で引き付ける力がある。Ayaseの作るトラックも面白く、ボーカルが楽曲にかっちりハマっていて、アルバム作品として聴ける日を楽しみにしていた。



M1.「Epilogue」イントロ曲、だけど木になるのが題が"エピローグ"である事。最後のトラックを確認するとこちらは「Prologue」。何らかの意味を持たせていると思うけれど、とりあえず次へ。


M2.「アンコール」このEP、唯一の新曲。詞の始まりが"明日世界が終わるんだって 君にはもう会えないんだって"となっていて、M1.をエピローグとしたのはこの曲へ導入するための仕掛けだったのかもしれないと考察する。

曲調はピアノが主体となっているけど、ひたすら重いビートで進んでいき、打ち込みで作曲している持ち味が活かされていると思う。

元になっている小説は、YOASOBIのオフィシャルサイトへ。小説ごとに各リンクが貼付されているのですぐに読む事が出来る。

ちなみにこの小説においては、物語も抽象的だったため、YOASOBIの詞においても理解まで及ばず、ただ音楽を楽しむだけに留まってしまった。一応、自分なりの解釈はあるけれど。笑


M3.「ハルジオン」ダンスビートというか、このリズム感の上に情緒的な歌メロを乗せるのがYOASOBIの持ち味で、それが今のトレンドでもあるので受け入れやすい要因だと思う。

とにかくメロディーのセンスが良いし、詞の事は今は考えずにこの天使のような歌声に魅了されたいという時間が過ぎる。小説も短く、30ページ近くで読めるので後日読む事にする。ちなみに他の作品はショートショートなので、もっと短い。


M4.「あの夢をなぞって」この楽曲は途中にギターソロパートがあって、バンド演奏でもしっくり来るような曲構成となっている。サビのボーカルの伸びが心地よい。この曲の小説は分かりやすかったし、詞ともリンクしやすかった。


M5.「たぶん」ダンスビートな曲の印象が強いので、ゆったりした曲は新鮮味がある。ただ滑らかなメロディーではなく、一語一語がハネているようなメロは一貫している。口ずさむと気持ち良いというような。

物語も読んでみたけど、これは結構好みの作品。照らし合わせて考えると、曲の明るさとは裏腹にちょっと虚しさが残る塩梅が何とも言い難い気持ちにさせる。


M6.「群青」この曲からYOASOBIを聴き始めた。知った頃にiTunesチャートで1位だった。聴いた時に、ボーカロイドみたいだなという印象を抱いたけど、あながち間違いではなくて。

それでも人間が歌っている事による効果だったのか、ボカロっぽいという勝手な解釈で終わらない魅力があった。小説においては、小説というより詩を読んだ感覚に近い。読み手に語りかけてくる手法で、闇に光りが差し込むような感覚になる。


M7.「ハルカ」この曲においては、楽曲の方よりも小説の方にフォーカスしたい。まず作者が放送作家の鈴木おさむで、物語は少女の成長を描いた物語。

それを見守る"モノ"の視点‥物凄くグッと来る。まるで絵本のような暖かみがあって、自分の私生活においても色んなモノを大切にしたいと思ってしまった。ちなみに「ハルカ」はその少女の名前から取っている。この小説が1番好き、めちゃくちゃ良い‥。


M8.「夜に駆ける」もう説明不要な気がするけど、昨年大ヒットしたナンバーで先日は紅白歌合戦にも出演していた。生放送を観ていたけど、かなり緊張していたのが分かった。デビューして1年ほどだからそれは当然だ。

この曲は文句なしに傑作だと思う。初めて聴いた時は、最後のサビの転調の部分で鳥肌ものだった。小説もなかなか良いオチが用意されていて良かった。

最近、この曲をカラオケで歌おうとチャレンジしているけれど、メロディーが細かく覚えるまでに時間がかかる‥とても難しい。


M9.「Prologue」M8.のテーマ的に、"プロローグ"を最後に持って来る意図が汲み取られる。終わりの始まりというよりは、終わりから始まる‥と感じる。


全9曲で30分と短尺で、何も考えずに聴き流しているとあっという間に終わってしまう。それだけでも楽しめるんだけど、小説に目を通しててから楽曲を繰り返して聴くと更に楽曲への思い入れや深みが出てくる。

とか言いつつ「ハルジオン」だけ読んでないけどね。笑

あと余談ではあるけど、このEPと同時にシングルも配信されていた。

こちらは「怪物」という楽曲で、アニメ主題歌として使用されている。『BEASTARS』という作品で、Netflixでも配信されているので、また観てみようと思う。

この曲も良かったけど、EPに収録するのはまたコンセプト違いなのかも?漫画原作だから、小説を元にというコンセプトとは外れるもんね。

YOASOBIの今後リリースされる作品も楽しみだ。

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