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ガガガSP『無責任一家総動員』

2005年3月9日リリース、ガガガSPの4枚目のアルバム、メジャーでは3枚目のアルバム。

ガガガSP、まずその名前から興味を唆る。Vo.コザック前田のルーツであるフォークソングとパンクロックを融合したサウンドで、当時のキッズ達を魅了した。僕もその中の1人だ。

初めに知ったのは「卒業」という楽曲で、ボーカルの声と説教くさくて詰め込み過ぎの詞に衝撃を受けて、一気に引き込まれた。

間奏で畳み掛ける台詞も、めちゃくちゃカッコいいと思っていて、詞を見ずとも言えてしまうぐらいには覚えていたし聴いた。

大学生になってからライブに行くようになり、本当に激しいモッシュやダイブを体験したのもこのバンドが初めてだった。

ファンの比率も4:1で男が圧倒。電柱が飛んでくるようなボディーブローを食らったり、まさに「ライブは戦争、曲は実弾」。

今回取り上げるこの作品は、ジャケットの渋さに反して聴きやすい曲ばかりで構成されているので、ガガガを聴いてみたい人に初めにおすすめしたいアルバムだ。



M1.「祭りの準備」シングル曲。学園祭の準備に行く事で君に会う事が出来て、このまま学園祭の日になんてならなくていいのに、という青春真っ盛りな恋心を歌う。

サビは思わず口ずさみたくなる歌メロとフレーズだ。確かにクラスで何かを準備するあの期間って、異性とも距離の近くなるきっかけでもあったと思う。僕は特に何もなかったけれど‥。"一生準備で終わればいいのに"という詞が純朴で良い。


M2.「ヘイミスターアンダーグラウンドマン」好きな子の事を考えて妄想しているだけで、僕はただ幸せなんだと歌う学生。

アングラ共とは違うぞという気持ちだけど、その好きな子とは全く接点がない自分も根暗なタチという自虐的な曲で面白い。


M3.「私鉄沿線」野口五郎のカバー?と思うけどオリジナル曲。私鉄沿線のある街で君と出会い、別れもこの私鉄沿線のある街だった。失恋の曲だけど、アップテンポな曲と歌謡的なメロディーで切なさを加速させる。

ガガガSPは失恋の曲に名曲が多い。1番代表的な曲は「線香花火」とか。曲調に合わせて情景が思い浮かぶような曲ばかりだ。


M4.「僕は君のおもかげを追っているんだろう」パンクな楽曲が中心だけど、こうしたシンプルなミディアムナンバーも良い。特にこの曲ではギターソロにおける音作りが良く、丁寧な印象。

"学生という時期は年をとるたびに風化するけど 忘れたくても忘れられない思い出の倉庫のようだ" にはグッと来る。めまぐるしく過ぎて行く日々を過ごしているけれど、あの黄金のような時間は間違いなく存在した。


M5.「新・ドント節」曲自体はカバー曲で、詞は自作のアレンジした物となっている。ハナ肇とクレイジーキャッツの「ドント節」を自分達の味にアレンジ。

この曲でクレイジーキャッツの存在を知り、後に聴く事になったのでちょっと感謝している。好きなアーティストのルーツは辿りたくなる。


M6.「はじめて君としゃべった」シングル曲。アニメ『NARUTO -ナルト-』のEDに起用された曲で、知名度の高い曲だと思う。

かなりポップで、詞も詰め込んだ感じではないけどしっなりガガガ節だ。この曲はコザック前田ではなく、Ba.桑原が作詞作曲を担当しているが、こんなに聴きやすい曲を作れるのかと思った。


M7.「雨の日曜日」Gt.山本が作詞作曲をしていて、この曲もかなり聴きやすく良い曲で、M6.に続きコザック前田ではない楽曲が堪能出来る。

前田は泥臭いけどカリスマ性のある楽曲という印象だが、他メンバーはもう少しポップス寄りでウケの良い曲を書く印象が付いた。曲調の違いはあれど、ボーカル以外の他メンバーも同じ路線の詞をテーマに出来るのは強い。


M8.「神戸無責任時代」自意識過剰な自分は捨てて、好きな事はパーっとやっちまおう!と鼓舞してくれる曲。悩んだ時に何も考えたくなくなったらこの曲を爆音で聴けば良い。

この曲は後に歌詞をアレンジし、「全国無責任時代」という曲で、「つなひき帝国」と一緒に両A面でシングルカットされる。さらにケロロ軍曹のOPとして起用。つまりこのアルバムは、歌詞は違えど実質アニソンが2曲収録されている事になる。


M9.「忘れられない日々」シングル曲。サビの歌メロが最強にエモーショナルな曲。聴いた時は1st、2ndアルバムの楽曲とは違った路線の楽曲作りを明白に現した曲だと思った。

曲のイメージでは、夏の終わり頃の夕暮れに聴くとバッチリだと思う。


M10.「恋にいのちを」実質のラストを飾る楽曲はM4.と同じ路線のミディアムナンバー。激しい曲は本当に勢いと若さで圧倒されるけれど、しっとりした楽曲の中には感傷的でロマンチストな一面が体現されていてる。

"君と僕との人生の共演は失敗に終わったのさ お別れの前に せめて君の匂いだけを" 過ごした日々を"共演"と表現する辺りが、なかなか作家だなと思わせてくれる。


M11.「祭りの本番」この曲はほぼボーナストラックという立ち位置。M1.が準備で、ここで本番だ。曲調はモロにハードコアで、思わず笑ってしまう。まあ祭りの本番だから。笑 

曲が終わってからしばらくすると真のボーナストラックが始まる。メンバーでの「晩秋」の弾き語りバージョンを聴く事が出来る。アコギと手拍子のみで、とても楽しそうだ。

大学時代にロックバンドのライブでよく足を運んだのがガガガSPと10-FEETで、MCなどでも大切な事をたくさん教えてくれたバンド。MCを聞きにいくためにライブに行くみたいな所も実はあったり。笑

ガガガSPを聴くと、本当にライブに行きたくなる。このバンドがいる限り、一生僕の青春時代が終わる事はない。

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