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【怪談実話112】茨城の祖母宅

一九八〇年代。
小学三年生だった裕子さんは、夏休みに家族とともに祖母の家に泊まりに行った。茨城にある平屋建ての一軒家だ。

夜、仏間で寝ているとふと目が覚めた。襖を隔てた隣の部屋から、話し声が耳に届く。両親や祖父母が集って何やらぼそぼそと会話しているようだ。兵士だの、お祓いだのという単語が聞こえてくる。

「かつて、その家で起こっていた怪奇現象について話しているようでした」

断片的に聞こえてきたのは、以下の現象だ。

(1)
その家屋の周囲を、軍服の兵士がぐるぐると歩き回っている。
(2)
家の廊下の突き当りに、軍服の兵士が直立している。
(3)
夜寝ていると、天井の照明がチカチカと明滅する。次いで、掛け布団がぱあんと上に弾け飛ぶ(祖母が体験しており、この現象に関しては祖母からも直接聞かされた)。
(4)
その家で暮らしていた叔父(当時二十代)が夜寝ていると金縛りに遭い、軍服の兵士が馬乗りになって両手で彼の首を絞めた。叔父は無事だった。

「叔父の首絞めがあってから、いよいよマズいということになり、その家の土地の過去を詳しく調べたんだそうです」

その結果、祖母宅が建っている土地は、戦争時に棺桶置き場として使用されていたことが判明した。その後にお祓いしてもらうと、怪現象がぱたりと止んだそうだ。

裕子さんはこの一連の話を襖越しに聞いてしまい、既に怪現象は収まっているとはいえ、それ以降に祖母宅に行くのが怖くて仕方なかったそうだ。祖母宅では夜ひとりでトイレにも行けず、廊下も歩けないほどだった。

・・・

二〇十五年頃。
お盆の時期に、裕子さんは両親とともにこの祖母宅に泊まりに行った。
その際、裕子さんの母親が不思議なものを目撃している。

「母は、丸くて兎のような形の白いものが家の外から仏間に次々と入ってくるのを見たそうです。その時、バルコニー側の室内の両側にも同じような白いものが2つだけ宙に浮かんでおり、その間を多数の白いものが通り抜けて室内に入ってきたらしいです」

お盆のために先祖らが帰宅してきたのではないか、と裕子さんは推測している。

現在この祖母宅は空き家で、近々取り壊される予定だそうだ。

・・・
まとめ

画像1

兵士Aは、家の周囲をぐるぐる歩き回る。
兵士Bは、廊下の突き当りで直立している。
兵士Cは、家人に馬乗りになり首を絞めた。
白いものXとYは移動せず、その間を複数の別の白いものが通過して仏壇の方に向かった。

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